カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 9月7日の土曜日。松本市の城北、安原、大手、白板の四地区の公民館による合同企画「上高地ウォーキング」が開催され、事前に申し込み、我々も参加しました。当日は、3㎞と7㎞の2コースがあり、我々は当然上高地バスターミナルから明神池までの7㎞のコースです。以前、シンガポールから帰任しての夏休みに最初の家族旅行で行ったのが上高地。山の無いシンガポールから信州に戻り、山の雰囲気を子供たちに見せたかったこともあり、小梨平のコテージに泊まって、御船神事の行われる明神池より先の、「氷壁」の舞台でも知られる徳澤園までトレッキングをしました。途中、崖上からカモシカが孤高の雰囲気でじっと我々を見下ろしていたのが印象的でした。今回は、シニア層が参加の中心なのか、それより短い河童橋から明神池までの梓川沿いを歩く往復7㎞のコースです。

 当日、朝8:20分に松本教会前に集合。お弁当や水筒は参加者自身が持参で、上高地往復は市の公用車の中型バスをご厚意で使わせていただけることもあって、参加費は無料。いくら市の公民館の企画とはいえ、もし二人で上高地へ行けば交通費だけで往復でほぼ一万円するのですから(特に我々の様な年金生活者にとっては)大変有難いことです。
城北地区の参加者は20名。上高地線稲核地区の道の駅で4地区のバスが集合し上高地へ。多分、子供の頃から数えて4~5回目の上高地。マイカー規制前のは自分で運転して岩肌剥き出しで水が滲み出ていた釜トンネルを越えましたが、改良されて随分道も良くなりました。今でも奈川度ダム手前のヘアピンカーブ解消のために新しいトンネルが掘られていて既に貫通している由。
中部縦貫道はいつになるのか分かりませんが、松本・高山間のアクセスも更に快適になります。実際、ヘアピンを曲がりダム手前のトンネルに入る右手に、貫通しているという新しいトンネルの大きな口を見ることが出来ます。
 松本平からも、この日は北アルプスの峰々が遠く白馬までクッキリと見えていましたが、上高地も本当に雲一つない快晴で絶好の登山日和です。短い3㎞コースに参加されるお年寄りや家族連れなど大半の皆さんが大正池で先に降り、残り7名の参加者が終点のバスターミナルへ。
4地区40名弱が7㎞の明神池コースに参加。上高地での写真撮影の必須ポイントでもある河童橋は大混雑。私たちも全員での記念の集合写真を撮影してもらってから、10:30分に出発。河童橋を渡り、付き添いの市職員の方々の案内で一列になって対岸の梓川右岸の岳沢湿原を経ての散策路を歩きます。
年間120万人が訪れるという人気の上高地。この日は快晴で憧れの穂高連峰がくっきりと目の前に聳えています。しかも夏山シーズン終盤の週末だけに、上高地のシンボル河童橋は物凄い人で大渋滞。
但し、登山者は遠回りの3.7㎞の右岸ではなく3.0㎞の左岸を明神池まで歩きますので、右岸は涸沢から槍穂高を目指す登山者ではなく、上高地散策を目的の観光客が殆どです。
途中、立ち枯れた木々が残る岳沢湿原と梓川沿いの河原で小休憩。深い森の中で鳴き声が聞こえると思ったら、我々の前を家族なのか子連れの猿の一群が歩いて行きました。エサのせいか、野菜や残飯を漁るという穂高有明地区の猿よりは小型ですが、動植物の捕獲や採取が禁止されている国立公園内ですので暮らすには遥かに安全なのでしょう。
明神池には12時頃到着。3.7㎞の散策路を1時間半掛けて歩いて来ました。ここで解散し、バスターミナルに2:30集合とのこと。お弁当持参とのことでしたが、
 「これなら嘉門次小屋で名物のイワナの塩焼き定食(1600円とのこと)を食べても良かったなぁ・・・。」
但し、週末の大混雑で戸外のテーブル席を含め満席状態でしたので、自由時間が食べるだけで終わってしまうリスクはありますが・・・。
何度か参加されている方曰く、嘉門次小屋で豚汁がテイクアウト出来るので、それだけ買って、暖かい豚汁と持参したお弁当を一緒に食べるのも良いとのこと。
皆さん、それぞれ思い思いに昼食休憩です。我々は、先に穂高神社奥宮に参拝し、神域となる明神池を散策しました(拝観料300円が必要です)。
 北九州志賀島を本拠とした海洋民族の一族である安曇族。その守護神穂高見命(海神ワダツミの子)を祭神とする穂高神社。その奥宮がここ明神池に建ち、毎年10月に池に船を浮かべての御舟神事がこの山深い地で行われるという神秘。ご神体は正面に仰ぎ見る明神岳(標高2931m。実際は前穂から張り出した尾根の一つ)。この峰が本来の穂高岳であり、ここが神降地でもあった上高地の正面。従って、現在の上高地のシンボルとなった河童橋からの西穂や奥穂などの穂高連峰の景観は、実際は端から見ていることになります。
天然イワナやマガモが平和に暮らす明神の一の池、二の池。静かで神秘的な雰囲気を太古の昔から伝えているであろう明神池の畔に腰を下ろし、ご神体の明神岳を眺めながら何人かの参加者の人たちと一緒にお弁当を頂きました。明神橋袂の涼やかな梓川の川岸で食べる選択肢もありましたが、神秘的な明神池での昼食も何とも素敵な雰囲気に包まれてのお弁当タイムでした。
 昼食後明神橋を渡り、明神館から梓川の左岸の歩道を下り、河童橋に向かいました。この左岸は河童橋まで右岸より短く、ちょうど3.0㎞との標示。この日は徳沢か横尾山荘泊まりか、宿泊用のリュックを背負った登山者とすれ違います。観光客は別として、登山らしく皆さんお互い挨拶を交わしてすれ違います。槍穂高縦走か、しっかりとヘルメットをリュックに提げた登山者もおられ、「コンニチワ」、「行ってらっしゃい」と挨拶をしながら無事の山行を祈ります。中には欧米人のカップルや、家内も参加したクラブツーリズムの登山教室(彼女は女性だけのツアーですが)の年配者中心の一行もおられ(列のしんがりが以前同行してくれた女性の山岳ガイドさんだった由)、羨ましさが募ります。でも、我々には槍穂高は無理かなぁ・・・。せいぜい、この上高地からは涸沢止まりか蝶ヶ岳でしょうか。

 帰路の途中、河童橋手前の小梨平で、テントの張られたキャンプ場に隣接して丸太小屋風のコテージが何棟かあり、四半世紀前に、山の無いシンガポールから帰任した子供たちに山の風景を見せたいと、帰国後初めての家族旅行での上高地に来て、泊まったロフトのあったコテージだったのを思い出し、暫し家内と二人で懐かしんで眺めていました。
帰路は、河童橋に1時間で到着。まだ集合時間までに1時間あるので、ここでコーヒーを飲みながら休憩をすることにしました。
時間より早めにバスターミナルへ。マイカー規制の走りだった上高地。広いバスターミナルですが、団体客の観光バスで満車。しかも、出発直前までエンジン停止。そのためエアコンが効かないので、皆さん車外で待機。
まだ時間があったので、バスターミナルにある水飲み場の蛇口で新たに水筒に補給。岩を模した給水場に8つくらいの水道の蛇口があり、上高地の水源は清水川の湧水ですが、天然のミネラルウォーターが無料で汲み放題です。これから登る登山者は皆さんここで給水していくようです。これも上高地の大いなる恵みです。
 帰路、我々の城北地区だけ沢渡のバスターミナル隣接の足湯公園にある沢渡温泉の無料の足湯に立ち寄って、少しだけ足の疲れを取ってから松本へ帰りました。
 今回初めて参加させていただいた、市内4地区公民館合同企画の上高地ウォーキング。四半世紀振りの上高地ということもありますが、自分たちだけでのトレッキングやウォーキングと違って、勉強にもなり楽しめた日帰りウォーキングでした。