カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 新居からは松本駅は徒歩10分。実際には早歩き気味だと、7~8分で到着します。駅が近くて(車を使わずに歩いて行けるので)便利です。
さて、この日は奥さまが横浜の次女の所にヘルプに行っていておらず、「たまにはラーメンが食べたいなぁ!」(家内はラーメンが好きではありません)ということで、選んだのは松本駅のアルプス口(旧西口)に在る「谷椿」です。
こちらは昔からやっている良心的な焼肉屋さんで、会社員時代に夜は何度か(肉食系の若い連中を連れて)伺ったことがあって、昼は7年前に外出した際に一度だけ食べたことがありました。

 夜の「谷椿」は、焼肉やホルモンを格安(一人前の量も半端ない)で提供してくれる昔からの松本の人気店。年配のご夫婦が営む店内は、長年の油が染み込んでいて(年季の入ったジンギス鍋を火に掛けると、自然に脂が滲み出て来ます)お世辞にもキレイとは言えませんが(ちゃんと掃除はされているので清潔です!)、何とも言えない“昭和の雰囲気“が漂う庶民的な店(一見ややディープな雰囲気で、煙と熱気に溢れた店内は少なくとも若いカップルのデート向きの店ではありません)。コロナ禍以前の当時は、夜は常に外に溢れんばかりに満員でしたが、昼はそうでもありません。なぜか入り口の引き戸が二ヶ所にあり、最初はどちらから入れば良いのか戸惑いますが、どちらも入店可(店内が狭いので、混んでいる時はどちらからでも出入り可能となる様にしてある由)。
この日は平日の12時半だったのですが、8席のL字型のカウンターと4人掛けのテーブルが2つの店内に、カウンターに私より年配の方とテーブル席に家族連れの若いご夫婦の二組だけでした。
さすがに今回は7年振りなので少し値上げされていましたが、それでもラーメンが450円。大盛りで600円。日替わりランチが600円という、今でも破格の値段(昼は焼肉メニューはありません)。日替わり定食(この日はポークソテーで、これにご飯と味噌汁、煮物と漬物の小鉢が二皿付きます)はワンコインランチとは言えなくなりましたが(当時は定食が500円、ラーメンは400円でした)、今でもラーメンは450円と500円玉でお釣りが来ます。今回は大盛りを注文しました。それとこちらの名物は、まだ食べたことはありませんが、牛めし。ハーフサイズもあるそうです。チェーン店の牛丼とは別物の、焼肉用の牛肉の切れ端を使った分厚い切り落としを煮込んだ肉丼です。
 駅ビルの改装(東西自由通路増設)に併せて整備された、松本駅の西口となる現在のアルプス口。諏訪へ電車通勤していた時は、駅裏に自腹で月決めの駐車場を借りていて、いつも西口の改札から入場していました。整備前は小さな木造の西口で、道路を挟んですぐ横に民家や薬局などが立ち並んでいて、「谷椿」もその中の一画。駅舎改装後の西口は、ロータリーと駐車場も整備されたので随分南側に移ってしまいましたので、店舗は駅舎からは少し遠くなりました。そういえば大糸線と上高地線のホーム(6番線&7番線ホーム)には「駅蕎麦」店があり、0番線ホームにある駅蕎麦店よりも美味しいという評判でしたが何年か前に閉店してしまいました。
西口の駅前の様相が随分変わっても、この「谷椿」だけは当時のままで何も変わっていません。そんな昭和レトロな店内同様に、ラーメン(この日オーダーしたのは大盛りです)も昔懐かしい“The 中華そば”風のあっさりした鶏ガラベースの醤油スープに、チャーシューが2枚とシナチクにこれまた昔懐かしいナルトと刻みネギ、細いちぢれ麺という王道派のラーメンです。洒落た“無化調”などとは一切無縁。しかもレンゲが付いて来ないので、スープは丼から直接啜らなくてはいけませんが、これでイイ!と思わず唸りたくなります。お茶と一緒にお新香として自家製の白菜漬けが付いて来ますが、浅漬けかと思ったら少し酸味がする程に良く漬っていて私好みの味。何となく、漬物上手と云われていたお祖母ちゃんを思い出しました。
ラーメンは、進化系とか“ばりこて”とか、煮干しだ鯛だ甘エビだ・・・と、最近は色々目新しさを競い合っているようですが、自分は例え古臭いと言われても、これぞ“支那そば”とか“中華そば”或いは嘗ての“東京ラーメン”と云われた様な、飽くまで鶏ガラベースの醤油ラーメンが好み。
だからこそ、こういう昭和風の店内で“絶滅危惧種”の様な懐かしい醤油ラーメンを食べる、そんな“一杯のかけそば”ならぬ“一杯の醤油ラーメン”の幸せをしきじみと味わっています(ただ、もう少し麺が堅めの方が個人的には好みなので、今度来た時は頼んでみようかと・・・)。なお、写真に写っている古びたアルミの鍋蓋は、夜の焼肉用のガスコンロに被せたものですが、これまた何とも言えないレトロな雰囲気を演出しています。
 余談ながら、ご主人はお疲れ気味だったのか、この時はテレビを見ながら奥の部屋で休まれていて、女将さんが調理から片付けとお一人で切り盛りされていましたが、夜の焼肉はご主人が対応されているのかもしれません(ただ、以前夜の焼肉の時は、気さくなご主人が当時はコップ酒片手にお客さんと談笑していましたが・・・?)。どうか、いつまでもお元気で、たとえ時間が掛かっても構わないので、この懐かしい昭和の味を出来るだけ長く続けて欲しいと思いながら店を後にしました。

 「どうも、ごちそうさまでした!美味しかったでーす。」