カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 今回の滞在でも楽しみにしていた、金宇館の懐石料理の夕食。
改装に伴う二年間の休業中、老舗の銀座の割烹で更なる修業を積まれたという四代目のご主人が作られる一品一品は、休業前に比べ更に洗練さを増したように感じます。前回は初夏でしたが、今回は冬ですので〆にはご飯物に代わってご主人が打つ手打ち蕎麦が供される筈。

 我々のグループには小さな子供がいますので、他のお客様の迷惑にならぬよう、一階の大部屋のダイニングルームでは無く、前回同様に2階の個室ダイニングを占有させていただいての夕食です。
金宇館の懐石コースは、地産地消で出来るだけ地の季節の旬の食材を使った創作料理です(頃合いを見計らって一品毎サーブされ、「お品書き」が無い代わりに都度スタッフの方が丁寧に説明してくださるのですが、酔いに任せてのウラ覚えなので、もし違っていたらお許しください)。

先ずは先附として、春菊の餡だったかが上に敷かれ、二層になった茶わん蒸しからスタートです。上に添えられているのは菊芋のチップスとか。続いて、柚子味噌の上に載った海老芋のアラレ揚げ。
次に季節の八寸として、お正月らしく黒豆(以下時計回りに)、ゆり根の胡桃和え、牡蠣の南蛮漬け、牛蒡のかき揚げ(何処産か忘れましたが旨味のある天然塩で頂きます)、自家製という生ハムとカラスミに生ウドのスティック、そして甘く煮たキンカンの白和え。旅館の駐車場脇の生垣からか、ツバキの蕾が演出で添えられていました。
椀物として、千切りにして素揚げしたじゃがいもを載せて、珍しい銀杏のすり流し。
そして、今回も絶品のヒレ肉の馬刺し。ニンニク入りの唐辛子味噌を付けて頂きます。
焼き物は、正月らしく干し柿と和えた紅白なますが添えられた鰆、鴨と根菜の炊き合わせ、そして柚子味噌が添えられた大根の炊き合わせの上に盛られた信州牛のしぐれ煮。そして最後に、〆として秋冬限定の手打ち蕎麦。

デザートに干し柿とレーズンのアイスクリームでコースの終了です。
因みに、一階のメインダイニングだと、隣のラウンジに移動してデザートと丸山珈琲を一緒に頂くのですが、二階だと丸山珈琲は食後にラウンジでのセルフとなります。
年を取ると量より質なので十分に満足の料理内容ですが、若い人は例えば〆の蕎麦などはもう少し量が(追加料金で構わないので)増やせたら更に良いかもしれません。
毎回感じる器と盛り付けの素晴らしさも相まって、信州松本で頂ける懐石料理としては、今回も個人的には十二分に満足でした。

 翌日、私メは早朝のお風呂の後、一旦家に帰ってワンコたちの朝食を済ませてから金宇館にまた戻り、8時から朝食です。こちらも二階の個室ダイニングで全員揃って頂きました。
金宇館の朝食は、目にも鮮やかな漆器を使った“おばんざい”風の料理が並びます。
器毎に盛られた厚揚げと根菜の煮物、鰊の煮付け、ホウレンソウのお浸し、切り干し大根、香の物として自家製の野沢菜漬けと蕪漬け、そして山形村産長芋のとろろ汁。地元松本産の麦味噌のお味噌汁と、お櫃に入れられた安曇野産のコシヒカリ。そして食事の最後の方で、熱々の茶わん蒸しも出て来ます。
柔らかく煮られた鰊が美味しい。自家製の野沢菜漬けも甘目で美味。集落で漬物名人と云われていた祖母の野沢菜漬けを思い出します。糖分を加えると発酵が進んでしまい、その結果酸っぱくなってしまうので、もし漬物を長持ちさせるなら塩味だけの方が良いのですが、それだと土産物店などで売られているパック入りの野沢菜漬けと同じで、塩味だけでただ“しょっぱい”だけで味気ない。だから個人的にはこの方が遥かに美味しく感じます。これだけで(もし量が多ければ)もう一杯ご飯が食べられそうです。
炊き立ての安曇野産コシヒカリのご飯も含めどれも美味しくて、ここではいつも食べ過ぎてしまいます。でもせっかくなので、二杯目のご飯をとろろ汁で。
結局今回も食べ過ぎてお腹が一杯になって・・・。信州松本的には、「ご馳走さま」よりも、ここは「いただきました!」でしょうか。
 朝食後、皆もう一度お風呂に入るというので、私メはJazzの流れるラウンジで丸山珈琲をセルフでいただき、のんびりと・・・。
深夜の降雪で白く薄らと化粧した中庭では鯉の泳ぐ池からは湯気が立ち上っていて、松本の冬のこの時期に池が凍っていないのはおそらく温泉が引かれているからなのでしょう。三つあるという美ヶ原温泉の源泉の一つ「御母家の湯」は、子供の頃は他に「おぼけ荘」とかが在った記憶があるのですが、今では「金宇館」だけだそうですので、源泉も余っているのかもしれません。
中庭を見ながら寛いでいると、娘たちもお風呂から上がってきて、チェックアウトの準備にそれぞれの部屋へ。
チェックアウトが少し遅めの11時というのは有難い限りですが、他のお客様方は他にも観光目的があるのでしょう、10時前後には皆出立されて行かれ、最後は我々だけになったようです。先に車に荷物を積み込みます。
金宇館では必ずご主人や女将さんが出て来られ、お客さんの車が見えなくなるまで見送りをされるのですが、我々はチャイルドシートに孫を乗せたりするのに手間取ったりしますので、その旨お伝えしてご挨拶いただいてお引き取りをいただきました。
 「では、またのお越しをお待ちしています。」
 「次回は必ず連泊で来ますネ!」

 たった一泊ではありましたが、今回も満足の松本美ヶ原温泉の“鄙の宿”「金宇館」でした。

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