カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 今回の京都滞在中、学生時代の“思い出の味”だった「らんたんラーメン」を45年ぶりに食べに行けたものの、京都のラーメン店でもう一軒行きたかった京都駅近くの塩小路高倉に在る「新福菜館」へは、ホテルの在る岡崎から一人でバスや電車に乗って行くのが面倒臭くなり、結局は行きませんでした。

 四泊五日での京都旅行の最終日は、朝早めに京都を出て東海道を東へ450㎞。東京で娘をピックアップするため、この日は東京の港区に在る長女のマンションに一泊して翌日一緒に松本へ帰ることにしていました。
都心でも降雪予報が出ていて、そのために首都高での一部計画的通行止めの区間がありましたが、結果は降雨で道路は特に問題も無く、無事に娘のマンションに到着したその日の夕食。
彼女はこの日重要な会食予定があり、家内はマンション近くのお気に入りというベーカリーでまとめ買いをして来たパンで十分とのこと。私メは夕食のパンにイマイチ食指が動かず、運転疲れはありましたが、
 「じゃあ、どこか近所で何か食べて来ようかな・・・」
すると、娘曰く、
 「麻布十番に新福菜館があるけど・・・」
というナントモ耳よりな情報が・・・。
 「えっ!?あの京都の、ラーメンの、新福菜館??」
と、思わずそこでバカな質問をしてしまいましたが、間違いなくその“京都のラーメンの「新福菜館」”が麻布十番に出店しているのだそうです。
麻布台にはロシア大使館があるのですが、余談ながら日本の警察が24時間周辺警備をしていて、特にウクライナ侵攻後は警備が強化された由。お巡りさんたちが常時いてくれるだけで周辺の治安にも好影響があるでしょうから、親としては安心感があります。(因みに今、この周辺は麻布台ヒルズの建設工事も終盤で、まさにカオスとも謂える様な凄まじい状態ですが・・・)
麻布台からは、そのロシア大使館の横の狸穴坂を下って徒歩10分とのこと。そこで、京都では行くのを諦めて食べられなかったあの「新福菜館」へ、ナントこの東京で食べに行くことになりました。

 雨の中、Googleマップを頼りに辿り着いたその場所は、幹線道路には面しているものの、首都高の高架下のすぐ近くで周囲に他には店は無く、あまり目立たない場所。しかもL字型のカウンターと二人掛けのテーブルが3卓あるくらいの10席ちょっとの狭い店内で、京都の本店の1/5くらいの広さでしょうか。夕方6時くらいでしたが、この日は都心での降雪予報で前日から早めの帰宅を促していたせいか店内は空いていて、先客の二組のお客さんがおられましたがカウンターは私一人だけ。外の券売機が故障中とのことで、店内で現金引換えでの注文。

今回は夕飯ということもあり、前回3年前の京都では食べなかったもう一つの「新福菜館」名物の念願のチャーハンも食べるべく、中華そば(並)+焼きめし(小)のセット(1150円)をオーダーしました。併せて、この日の長距離ドライブへの自分への慰労に生ビールも追加して、
 「長時間の運転、お疲れさま!」
先ずは焼きめしから戴きます。ラーメンと共に新福菜館名物のヤキメシ(何となくビジュアル的には中華風に炒飯と呼びたくなります)。ラーメン用の黒い醤油ダレを使うのか、新福菜館のラーメンスープと同じで真っ黒なヤキメシです。でもラーメン同様でコクはありますが、決してしょっぱくはありません。炒めるが故に香ばしさがより一層増した感じです。今回は中華そばを「並」にしたので、ヤキメシはセットメニューの中の「小」にしたのですが、これでも十分な量があります。
 続いてお待ちかねのラーメン。あぁ、念願の新福菜館の中華そばです。
以前、新福菜館本店の直営店は府立医大前だけと聞いたことがあるので、こちらの麻布十番店は直営店ではないのかもしれませんが、京都で食べられなかった新福菜館のラーメンが、まさかこの東京で食べられるなんて!・・・この日、京都から東京まで450㎞の長距離運転へのご褒美でしょうか?・・・。
新福菜館の「中華そば」と云えば、何と言ってもこの真っ黒なスープが特徴です。創業者である中国浙江省出身の徐永俤さんが日本全国を探し回ったという濃い口醤油がベースのタレと、豚骨と鶏ガラで取った出汁のスープは濃過ぎず、決してしょっぱく(塩辛く)もなく、焦がし醤油の様な旨味とコクがあります。
1938年(昭和13年)に徐さんが京都で屋台で創業し、戦時中の1944年には現在の本店の在る場所に店舗を構えたという新福菜館。
その“京都ラーメン”の元祖らしく、トッピングされた山盛りの九条ネギと、その下にシャキシャキの茹でモヤシ。更にシナチク、そして柔らかな薄切りのバラチャーシューが「並」でも結構な枚数添えられていて、これまた新福菜館の名物です。そしてスープに絡む中太のストレート麺。3年ぶりの舌の記憶ですが、まさしく京都の新福菜館の味でした。
カウンターに囲まれた厨房では、スタッフの方がオーダーされたラーメンを調理する以外の時間も、事前にその日の必要量を常備するためなのか、一心に中華鍋を振ってヤキメシを調理していて、また自動のスライサーで柔らかく煮たチャーシューの塊が次々にカットされていました。
3年前に初めて食べた本店で、普通の大盛りのつもりで「特大」を頼み、麺の量が3玉は優にありそうな程に多過ぎて、チャーシューや具材とスープは食べ切ったものの、申し訳なくも麺は全部食べ切れずに結局残してしまったのですが、今回はしっかりとスープも全部飲み干して(勿論生ビールもですが)、焼きめしと中華そばのセットメニューでお腹も満腹になって、氷雨が降り続く中、また狸穴坂を上って娘のマンションに戻りました。

 京都では食べられなかった「新福菜館」の中華そば。それがここ東京の麻布で食べられるなんて・・・。しかし、いくら“狸穴”とはいえ、まさか狸に化かされた訳でもあるまい・・・・と。

【追記】東京でラーメンもう一杯・・・『八王子ラーメン』
 翌朝、車で松本へ帰る途中、10時過ぎまで前日からの中央道の降雪に由る通行止めが解除されなかったので、中央道石川PAで朝食を兼ねて一時間程の時間調整です。
家内はドトールでパンとコーヒー。娘と私メは、普段はあまり立ち寄ることの無いせっかくの石川PAですので、朝食代わりに「八王子ラーメン」です。
 「えっ、二人共朝からラーメン食べるの!?」
 「イヤイヤあるでしょ、朝ラー!」
 「うん、あるある!」
ご当地ラーメンの一つである“八王子ラーメン”・・・その特徴は、醤油ベースのスープで、そのスープが冷めるのを避けるために使うラードが麺に絡んで旨みを引き立て、アクセントにみじん切りにしたタマネギのシャキシャキとした食感と甘みが特徴・・・とのこと。
地元のラーメン店が普及のために「八麺会」なる団体を作り、八王子ラーメンの定義として、『醤油ベースのタレ、表面を油が覆っている、きざみ玉葱を具として使用していること』という三つのルールを定め、この石川PAの店もその「八麺会」の会員とのことでした。
味はアッサリとした甘さを感じる醤油味のスープに中細の縮み麺。たっぷりの刻み玉ネギに厚手のバラチャーシューが二枚(ちょっと脂身が多過ぎて、娘は食べられず)とメンマ、そして普通のネギと海苔がトッピング。
人によっては(特に女性は?)ラードが気になる方がいるかもしれませんし、いくらバラチャーシューとはいえ(やはり女性にとっては?)ちょっと脂身が多過ぎでしょうか。また特徴の刻み玉ネギは食感だけで、あまり味のアクセントとしては感じませんでした。でも、高速道路のSAやPAで食べられるラーメンとしては十分に合格点ではないでしょうか。
ただ、何故か我々の注文した内の一杯は刻み玉ネギを入れ忘れ。こちらの指摘で初めてトッピングされたのは、ご愛敬とはいえ些か減点でしたが・・・。
ご馳走さまでした。

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