カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 ちょうど一ヶ月前の9月11日のことでした。この日の松本は、未明の午前1時頃から雨が降り始め、朝7時頃まで途中結構土砂降り状態の降りもあったりしました。 
午前2時過ぎに目が覚めて眠れなくて、久し振りの雨音が気持ち良くて、ベッドから起きてベランダに出て、暫くの間雨音を聞いていました。
 以前も書いた様な気がしますが、雨音にはヒーリング効果があると云われ、雨音を聞くことで、脳波にアルファ波が増加し、リラックス、ストレス軽減、集中力向上などの効果が期待出来ると云われています。

これは、雨音や川のせせらぎ、浜辺の波音など、自然界の音に含まれる、完全ではなく不規則でありながらある程度の規則性を持った「1/fゆらぎ」や、人間には聞き取れない高周波「ハイパーソニック」が脳を心地よく刺激するためで、特に穏やかな雨音はこれらの効果を高めるとされているからです。
実際に、YouTubeにも雨音やせせらぎの音など、癒し効果の音が色々登録されているので、例えば雨が降らない日でも寝る前にタイマーをセットして、YouTubeの雨音を聴きながら寝ることもあります。
そうした中で、TV画面からの音ではなく“生”の雨を見ていると、聴覚の音だけでなく視覚的にも目の前に拡がる雨に煙る実際の世界は、ネクラな性格にも依るのかもしれませんが、何となく心を落ち着かせてくれるのです(雨の写真は無いので、これまで行った“川のせせらぎ”の写真の中から、瀬音が聞こえて来そうな“阿寺ブルー”の阿寺渓谷と、同じく美ヶ原への三城からの沢沿いの登山道のせせらぎ、そして馬籠峠から妻籠へ下る途中で見つけた小さな滝です)。
 そんな風にベランダからボーっと外の雨降る様子を眺めていたら、視界の中に何だか違和感のある“黒い線”があるのに気づきました。
それは、ベランダの天井にある黒い筋の様な“物体”でした。
雨降りの深夜の暗闇の中、目を凝らすと・・・次第に視界の中で焦点を結び、その形を脳が認識して理解したのが・・・トンボのオニヤンマだったのです。
大きなオニヤンマが、しっかりとベランダの天井を掴んでぶら下がっていたのです。どうやら、このオニヤンマは久しぶりの土砂降りで、真夜中に雨宿りの場所を探して、結果、我が家のベランダの天井をその場所に決めた様なのです。
そこで、せっかくの雨宿りの邪魔をしない様に、またこの土砂降りの雨の中に飛び出して行かぬ様に、驚かしては可哀想なので、そっと静かにその場を離れてまた寝ることにしました。

 5時過ぎに起きて、雨が止んだので7時頃からのワンコたちの散歩の後、7時半過ぎに戻ってワンコたちにご飯を食べさせてから見てみると、まだベランダの天井にオニヤンマがそのまま宙吊りで止まっていました。
体長が10㎝位ありそうな、結構大きなオニヤンマです。
このオニヤンマ(鬼蜻蜓、馬大頭、学名:Anotogaster sieboldii Sélys,)は、トンボ目オニヤンマ科に分類されるトンボの一種で、日本最大のトンボとして知られます。因みに、学名の種小名"sieboldii" は、日本の生物研究に功績を残したフランツ・フォン・シーボルトに対する“献名”なのだとか。知りませんでした。
オニヤンマは、小川や水路など水際ぎりぎりの浅い水底の柔らかい泥や砂の中に産卵し、産卵から1ヵ月ほどで孵化するのだそうです。そして、何度も脱皮を繰り返し、3~5年かけて成長するのだとか。6月頃から羽化し、9月頃までの夏の間に見られ、そして漸く羽化した後の成虫は僅か1~2ヶ月の寿命なのだとか。成虫のオニヤンマは、頭部から腹の先端までの体長が9 ~11 cmほどに達し、メスの方が大きいのだそうです。
 雨宿りをしていたこのオニヤンマも、この夏に羽化した成虫で、夏の終わりと共にその寿命は尽きてしまうのでしょう。オニヤンマにとっては、ホンのひと時の平和な雨宿りだったのでしょうか。
雨の日に見つけた、夏の終わりのオニヤンマでした。