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広島県警が、広島市内にあるネットカフェを風営法違反の疑いで家宅捜索


今日のニュースですね。

さて、「風俗営業」と聞いて皆さんはどんな業種を想像しますか?

ファッションヘルスやソープランドなどの性風俗店を想像される方も多いのではないでしょうか?

しかし、「風営法(正式には”風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律”)」に定められている”風俗営業”は、以下の通りです。

 1.キャバレー
 2.社交飲食店
 3.ナイトクラブ
 4.ダンスホール
 5.低照度飲食店
 6.区画席飲食店
 7.マージャン店・パチンコ店
 8.ゲームセンター

前記ファッションヘルスやソープランド等は、「性風俗特殊営業」にカテゴライズされる営業です。

さて、今回の広島の事件。
当該ネットカフェはどのような風営法違反の容疑がかけられているのでしょうか?
それは、「無許可営業」。
ここで、マンガ喫茶やネットカフェといった所謂”複合カフェ”の店内を思い出してください。
お客さんのいる場所は仕切りなどで区切られた個室になっていて、やや薄暗い感じになっていませんか?

では、ネットカフェなどの”複合カフェ”は、上記の風俗営業の1から8の何処に該当するでしょう?

6の”区画席飲食店”に該当すると思われますよねえ。
とすれば、今回の広島のネットカフェは。風俗営業の許可を取得していなかったから摘発された?

ここからがポイントです。

全国に何店舗あるか分かりませんが、おそらくほとんど(”全て”かもしれませんが)ネットカフェ等の複合カフェは、風俗営業の許可を得ずに営業しています。

ん?
ということは全国のほとんどのネットカフェが風営法違反だってこと?

いえいえ。
実はネットカフェは「風営法の適用外」とされているのです。

というか、正確に言うと、「風営法の許可を受けなくてもいいような店作りをしている。」のです。

風営法における「区画席飲食店」として許可を受けることを要するのは、「区画席を設けて飲食を提供する店で、その区画席(個室)の広さが5平方メートル以下で、他から見通すことが困難な場合」です。

もう一度、ネットカフェの店内を思い出してみて下さい。
ほとんどのネットカフェは、上記の「区画席飲食店」に該当すると思いませんか?

じゃあ何故ネットカフェは、風営法の適用外なのでしょうか?

ここで、三度ネットカフェの店内を思い出してみて下さい。
特に、個室への入り口を。

これも全てとは言えませんが、ほとんどの店舗は”スイングドア”になってませんか?
あの西部劇ものの映画で目にするバーの入り口の扉です。(例えが悪いですか?)
あの「キー、パターン。」ってなるやつです。(もっと悪い例えですかねえ?)

この”スイングドア”が肝なのです。
「区画席飲食店」としての許可が必要になる「個室が、他から見通すことが困難な場合」という部分の解釈が極めてグレーなのです。
つまり、完全に他と遮断してしまうと、風営法の許可が必要になるけど、スイングドアなら完全に遮断していないことになるというわけです。

いわゆる苦肉の策ってやつです。

「何故、そんな苦肉の策までして風営法上の許可を取らないことを選択するのか?風営法の許可を取って堂々と営業したほうがいいのではないか?」

仰るとおりです。
許可取って営業したほうが気分的に楽に決まってますね。
でもねえ、一口に”許可を取る”と言ってもなかなか困難なんですよ。特にネットカフェの類は。
何故なら、風営法の許可を取る為にクリアしなければならない条件が、ネットカフェを営業するには厳しいものなのです。
特に出店できる場所に関する要件(例えば、近所に病院や学校があれば出店できないとか)や、営業時間に関する要件(24時間営業できないとか)は、ネットカフェやるには厳しい条件だと思いますよ。

そんな中、今回広島県警が風営法違反の容疑で動いたことは大きな意味があるような気がします。
ネットカフェが”ほぼ完全個室”状態で営業していることによる弊害、つまり、個室の中で男女がいかがわしい行為に及ぶとか、置き引きなどといった問題が多発していることに関して警察も目をつぶるわけにはいかなくなってきたということではないでしょうか?
グレーな部分を黒だとするようになるかもしれませんね。

ちなみに風営法上の8種類の営業全てにおいて、他から見通しを妨げるような1メートル以上の高さのものを客室内に設置することが禁止されています。