カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 じっくり、大事に、三度繰り返して読んだ高田郁著『みをつくし料理帖』(ハルキ文庫)の第5巻「小夜しぐれ」。
相変わらずで、読む度に心地よい余韻に浸りました。ストーリー展開も良く練られています。

 物語はさておき、舞台となる料理屋「つる屋」がある九段坂下。長屋のある神田から通いの途中の飯田川にかかる飯田橋と俎(まないた)橋。そして今回は、武家屋敷のある神楽坂方面が描かれていました。


次女が3月に大学を無事卒業して神楽坂から引っ越してしまい、楽しみだった神楽坂界隈に行く機会がなくなりましたが、江戸時代の描写を読みながら、あっ、あそこだと懐かしく思い出しています。
今度出張の折にでも、一人で「みをつくし」に掲載されている当時の地図を見ながら歩いてみようかな・・・。江戸が坂の町であることを実感しながら。

 しかしいつもながら、「みをつくし」を読むと、赤の他人同士なのにどうしてこうも他人を思いやれるのだろうと思いますね。
所詮物語の世界だから・・・。いえいえ、被災地の様子を知るたびに、今回はそうした他人への思いやりが、実際のエピソードとして幾つも幾つも新聞などで綴られてきました。

 そう言えば、米国でラテンアメリカからの貧困層の移民の人たちの送金を支援するマイクロファイナンス事業を立ち上げた杤迫篤昌氏が、多くの日本人が小口ながらも出資に応じてくれたことを紹介する中で「この国の人たちには他人を思いやる気持ちがある。それが同じ日本人としての私の誇りです。」と言われていたことを思い出しました(第160話参照)。

【追記】
盛夏。我が家の定番の酒の肴も、娘が連れて行ってくれた神楽坂の焼鳥屋さん(「鳥焼き金太郎」)で知ったクリームチーズの味噌漬け(第225・238話)から、自家菜園のキュウリも順調に収穫出来ていますので、「みをつくし料理帖」に登場する「忍び瓜」(第304・366話)に既に選手交替しています。
(これまで「澪つくし」と記載していましたが、良く見ると「みをつくし」でした。謹んで訂正いたします)