カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

b前回(第673話)の丸善書店で、探していた本が漸く見つかりました。
それは、加治将一著「幕末維新の暗号(上・下)」(祥伝社文庫)。

 ある時、たまたま聞こえてきた本の話題で、「明治天皇の写真」、「二人の帝(みかど)」、「明治維新での混乱」という三つの単語しか手掛かりが無く、その時は、題名は勿論、著者も出版社も分からず仕舞い。

 丸善松本店は3フロアを使った県下最大規模という大型店なので、結構広い文庫本スペースがあり、久し振りに読む文庫本を探して決めた後、何気なくそのまま見て行ったところ、「幕末維新の暗号」という表題が目に飛び込んできて、何となく閃いて「もしや・・・?」と思い手にとって見たところ、正しく!でありました。

 新宿への高速バスでの往路の車内で、あっという間に上巻を読破してしまいました。
それは、幕末に長崎で撮影されたという、薩長土肥の若き志士たちなどが写る通称「フルベッキ写真」の謎に迫るというストーリー。そして、そこには大久保利通、高杉晋作、江藤新平、坂本竜馬、西郷隆盛、勝海舟という維新の英傑達が長崎で一同に会して写っているという“俗説”。そんなことが、果たして物理的にありえたのか?写真が無いと言われる西郷隆盛は本物なのか?そして、やがてストーリーの中核となる、写真の中央に写る正体不明の一人の若者・・・?。
そこで検証として挙げられる数々は、ナルホドと思わせるものもありますので、もし事実と著者が信じられるのであればノンフィクションで書けば良いのにと思いますが、一方で人物特定の判断がいくら小説とはいえ早すぎて、もっと科学的な検証が必要ではないかと思える部分もまた少なくありません。その意味で、これは小説の形式を取ったのではないかと勘繰ってしまいます。しかし小説仕立てとはいえ、脅迫する架空の秘密結社や、明治維新の黒幕としてフリーメーソンが登場するとなると、個人的には些か胡散臭い気がどうしても拭いきれません(著者のあとがきによると、出版にあたって少なからぬ妨害や“脅し”があったとのことですが・・・)。

 ただ、史実を題材にしたフィクションとして見れば、大変興味深く、あっという間に読み終えてしまいました。
「しかし、良く出版できたなぁ!」というのが、仮にフィクションにせよ、読み終えての一番の感想でした。

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