カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 戸隠神社中社の門前、大鳥居のすぐ前に店を構える戸隠蕎麦の「うずら家」。常に行列が絶えないという、蕎麦処戸隠だけに留まらず、県内でも屈指の超人気店です。
昨年8月末に来た時は、奥社参拝の後、中社への参拝途中で良く調べずに寄ったこともあり、2時間待ちの行列と言われてすごすごと諦めた店。
前回「どこでもイイから」と代わりに入った店が、イマイチ(サン!)だったこともあって、今回のお礼参りでは「何としても、一度は食べてみよう!」ということになりました。
そのため、休憩無しのノンストップで信濃町IC(長野市街通過の渋滞回避)から奥社を素通りして、先に中社へ下って確認すると、まだ11時(10時半開店とか)でしたが、既に30分待ちとのこと(店から奥へ150mほど行った先に、第3まである駐車場も、最後の一台分を残して満車)。店頭の受付表に名前を記載してから、その間を利用して先に中社へお参りをしてきました(お店の方も、都度呼び出すので、時間を有効に使って先にお参りして来るようにと薦めてくれますし、仮に戻れずに順番が飛んだ場合は、時々そうしたお客さんの有無を確認されていました)。

 待っている間にも、観光客(殆どは県外車)中心に次から次へとお客さんが来られ、我々の順番間近の頃には1時間待ちとのこと。この中社周辺には、さすが本場戸隠らしく、幾つもの蕎麦店(或いは蕎麦を出す宿坊)があるようですが、どうやら行列になっているのは「うずら家」のみ(差し詰め、成田の鰻の「川豊」みたいなもんでしょうか)。イヤハヤ大したものです。

 40分程待って案内されて入店し、一階椅子席へ(厨房がある一階よりも、座敷の2階席の方が広いようです)。ざるの大盛り(1050円)を二つ注文したら、同じ量を大きなざる一枚に盛る「権現盛り」(1950円)の方が、お得とのこと。
すぐさま、そば茶とお茶請けの漬物(この日は白菜の切り漬け)が供され、また薬味の生山葵の芋が卸し金と一緒に運ばれてきました。
木曽の「時香忘」も同様ですが、こちらの芋の大きさは倍くらいあり、奥様の友人のアドバイスに沿って、今回も茎に近い部分までしっかりとすり卸しました(先端部分に比べ辛みは落ちるが、茎に近い部分の方がワサビの香が強いそうです)。
 運ばれてきた、大盛り二人分となる権現盛り。
ネマガリダケ(千島笹)の竹細工で編んだ大きな円形のザルに、戸隠流で一口ずつ束に巻かれて盛られています(「ぼっち盛り」と呼ぶ戸隠独特の盛り方とか)。ただ、ざるの編み目が粗く、水が垂れるのでお皿に乗せてあります。例えば義弟の蕎麦店「丸周」で使っている「みすず細工」のざるは、もっと細かく編んであり、一滴も水が零れないのだとか。折角の地元の伝統工芸ですから、PRも兼ねてもっと目の細かいざるを使えば良いのにと思います。
そばつゆは、信州にしては濃い目で、寝かせた返しに節の出汁の効いた江戸前風。肝心の蕎麦は二八の細打ち麺。而してその味は・・・?。
「どんなに美味しいのだろう!?」という、我々の期待値が高過ぎたのかもしれませんが、極めて普通。勿論、それぞれ味の好みがありますので、人によって感じ方は違うと思いますが、それにしても、これ程までして並んでも食べたい理由が、少なくとも私たちは見つけられませんでした(石臼引きした新そばを、いくら冷凍保存していても風味は落ちるでしょうし)。
量も、一人前の大盛りとしては決して多くはなく、その後更に大盛りを一枚追加しました。
 次から次へと来られるお客様を明るくてきぱきとさばく、店頭の店番の方の手際は見事。そして、店内を忙しくもきびきびと動き回る、年配の方を含めた店員の方々の応対も笑顔一杯で愛想も良く、また忙しくてもいい加減にならずに丁寧で、実に感心させられます。評判店に相応しい、気持ちの良いサービス振りでした。
しかし、それが理由でこうまで繁盛するとも思えず、まして肝心の蕎麦の味は、「丸周さんの方が美味しいよネ!」という家内の囁き評価は身内ゆえ横に置いても、個人的には、二八であれば「井川城」(粗挽き)の方が遥かに上。
また、久しく行っていませんが、同じように観光客の行列店である「安曇野 翁」も味は上ですが、接客は「うずら家」の方が客本意でしょう(翁では、客の着席数を増やすために、途中二度も席を移動させられました)。
しかし、天下に名だたる戸隠蕎麦ってこんなレベルなのでしょうか。家内は、昔入った「戸隠そば打ち体験道場」の食堂で食べた蕎麦の方が、遥かに美味しかったと言います(その時は、蕎麦好きの次女も高評価でした)。
ただ「うずら家」は、蕎麦の量は些か少な目ですが、値段は良心的で、ざる一枚850円(だったか?)、大盛り1050円は安い方だと思います(季節柄で皆さん注文されていた、山菜天婦羅の盛り合わせも量が多く、コスパは良さそうでした。信州では、お年寄り中心に「蕎麦には天婦羅が付き物」という人が多いのですが、我々は天ぷらには全く興味なし)。
 初めての来訪では、県内トップクラスというネット評価でのランキングも含め、残念ながらついぞその評判の理由は分かりませんでした。