カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 せっかくの“山ガール”デビュー準備と、毎朝の裏山への登坂訓練の甲斐も無く、9月の台風接近で中止になった「上高地レディーストレッキングツアー」(第1012話)。随分楽しみにしていたので、代わりにシルバーウィークに初心者向けのコースへ行ってみることにしました。
“海無し県”の信州ですが、トレッキングとなれば県内至る所にコースがあるのは有難い限り。初秋で、山の上から紅葉が始まっていますが、初心者向けの歩き易い(アップダウンのあまり無い)コースを前提に、松本からのアクセスもふまえて候補に挙げたのは、雄大な白馬連峰を望む栂池自然園、白樺林の八千穂高原と紅葉の名所白駒池、そして山頂からの360度の展望と“花の百名山”で知られる富士見町の入笠山。勿論、上高地を始め乗鞍高原や美ヶ原など、松本周辺(今や全部市内です)にも幾つもコースはありますが、今回は初めての場所を前提に選んでみました。

 ネットで調べた結果(ライブカメラもあって今は便利です)、今回は栂池自然園に決定。入笠山は花の時期を過ぎ、カラマツが中心という黄葉には少し早そうですし、白駒池の見頃も10月上旬とか。一方、白馬山麓の2000m近い高原では既に紅葉も始まっていて、トレッキング気分が味わえるのではと考えた次第。初心者向けとしては、入笠同様、栂池もゴンドラリフトで上がることが出来るので、湿原の中を歩くコースが中心となります。

 朝8時前に、通勤用のSUVではなくハスラーで出発。奥さまは、栂池への急坂を登れるか心配の様ですが、軽とは言えSUVのハスラーなら大丈夫でしょう(多分)。松本からは、途中の市街地の渋滞を避けて、平瀬橋を渡り国道147号高家バイパス経由でこども病院横を通って、安曇野ICから県道306号高瀬川沿いのバイパスで木崎湖まで抜けるコース。到着まで2時間を見ましたが、ゆっくりと走っても信号が殆ど無いので順調に走行し、1時間半で小谷村栂池高原スキー場に到着。
広大なゲレンデは、戦後一世を風靡したという「鐘の鳴る丘」のロケ地としても有名(モデルとなった高原寮は穂高の有明に実在)で、今でもゲレンデ内にモニュメントがあり、その名も「鐘の鳴る丘ゲレンデ」。栂池には会社の先輩たちとスキーで来て以来ですので、少なくとも35年振り。
国道148号を信濃森上付近から姫川沿いに一旦下って、白馬大池からスキー場までのつづら折りの急登。当時、先行車が立ち往生すると後続も雪でスリップして登れず、良くチェーンを巻いた記憶があります。ヘアピンカーブなど多少拡張されたようですが、道路状態は当時と然程変わっていません。奥さまにご心配いただいたハスラーですが、Sモードにするまでも無く(むしろ下り坂でのエンジンブレーキで使用)、アクセルの踏み代にまだ十分に余裕を残して、難なくつづら折りを登り切りました。悪路ではありませんが、軽のSUVとしてハスラーの実力はなかなかのモノ。(帰路は、ナビ画面で、栂池高原から岩岳を経由する県道433号があるのが分ったのでそちらへ。国道148号を走り、白馬大池からのつづら折りを登るより、急坂も無く走り易く拡張整備されているので、栂池へは県道の方が遥かにお薦め。信濃森上付近で国道に合流)

 平日を挟んだとはいえ、連休最後の週末で、お馴染みのクラブツーリズムの大型ツアーバスも停車しているなど、広い駐車場(有料500円)も9時半で既に8割方埋まっていました。隣接のゴンドラリフトから、ロープウェイを乗り継いで、一気に1829mまで昇ります。自然園の入場料(300円)込みで往復3600円。30分程の空中散歩ですが、残念ながら途中からすっぽりとガスの中。真っ白で何も見えません。70人乗りのロープェイを降り、5分程なだらかな坂を歩くと、自然園入り口のビジターセンターへ到着。
栂池自然園は中部山岳国立公園の標高約1900mに拡がる高層湿原で、広さ100hという広大な湿原の中に一周5.5㎞の遊歩道が設けられています。ミズバショウ湿原が標高1860mで、コース途中の展望台が2020mとか。80%は木道が敷かれていて大変歩き易いのですが、200m近い高低差があるので、途中登坂路のアップダウンもあり、雄大な白馬連峰を望みながらトレッキング気分が味わえます。この日は雨の心配は無さそうですが、生憎のガス模様。手前の白馬乗鞍を始め、白馬連峰(後立山連峰の主峰、2932mの白馬岳を中心とする山群の俗称)の山容を拝むのは難しそうです。
自然園を一周する5.5㎞のコースは、所用時間3時間半。10時頃から歩き始め、二人共初めてなのでゆっくりと焦らずに4時間を予想。公式ホームページに注意があり、事前に購入した熊除けの鈴もリュックに付けて歩きます。ビジターセンターには、熊の剥製の横に、園内での目撃情報も記載されていました(園内では、5人に一人くらい鈴を装着されていたように思います。注意書きは、特に単独行での装着を勧めていました。現地でも購入可能)。
 最初のミズバショウ湿原からワタスゲ湿原へと、整備された木道を進みます。山容は望めませんが、草紅葉を含め、ナナカマドやダケカンバなどの紅葉が見頃を迎えつつあり、赤と黄の対比が色鮮やかです。これに空の青が加われば尚一層・・・と、少々残念。途中、ハナウドの白い花や、オヤマリンドウの青紫の花が夏の名残に咲いていました。
楠川を超えるとアップダウンが始まり、浮島湿原から銀名水を通って展望湿原へ。こちらでは、ベランダの様な木の広場で皆さん休憩中。晴れていれば、目の前に白馬大雪渓を正面に白馬三山が雄大に聳えているのが望める絶好のビューポイントとか。残念ながら、この日は終始ガスの中。
その後、結構急なアップダウンがあり、園内最高地点の展望台へ。ここで、朝家内が作ったおにぎりで昼食。山で食べるオニギリは最高です。日本人で良かったなぁ・・・。
「あれっ、オカズは・・・?」
「重くなると悪いと思って、何も持ってこなかった。オニギリだけー!」
・・・素晴らしい景色がオカズです。
 展望台からは、ヤセ尾根の急な坂を足元に気を付けて一歩一歩下ります。登山道脇の真っ赤な紅葉はサラサドウダン。途中、さっとガスが晴れて少し遠くまでの視界が開け、見事に広がった錦の絨毯に慌てて写真撮影。坂を下り、モウセン池を過ぎて浮島湿原へ戻ります。一時ガスが晴れて、後ろの白馬連峰は見えませんでしたが、手前の天狗原(2200m)と白馬乗鞍岳(2437m)から小蓮華山(2766m。新潟県境に位置し、新潟県の最高峰)への山肌が少し姿を現してくれました(高山らしい山容に感激!)。
 途中、写真を撮り、紅葉を愛で、展望湿原で一休みして、展望台で昼食。まだ結構な人出で、途中狭い場所ではお互い待機して譲り合ったりと、随分ゆっくりと歩いたつもりでしたが、一周終わってみると3時間でした。山が見えなかったせいかもしれませんが、標準3時間半のコース設定ですので、景色を楽しみ高山植物を愛でながら、もっとゆっくり歩いても良いのかもしれません。また、ビジターセンター内には、山や植物の説明資料が展示されていますので、事前に見学してから出発した方がより興味深いかもしれません。

 今回に備え、奥さまはちゃんとトレッキングシューズを購入(本格的な登山ではないので、柔らか目を勧められた由)。私メは、結構古いReebokのウォーキングシューズがあるので、あまり使っていなかったこともあり、お互い毎朝ウォーキングの練習で足慣らしもしての本番。
週末前に雨模様だったこともあって、園内は結構ぬかるんでいて、木道の無い所、特に下り坂で木の根が剥き出しになっている登山道では、何度も濡れた木の根に靴が滑りました。家内は全く滑らなかったので、やはりここはちゃんとトレッキングシューズを買った方が良いと反省。
また、掲載した写真(スマホ内には圧縮保存)を含め、今回のトレッキングには首から提げると歩行の(特に坂道では)邪魔なので、一眼レフではなく“レンズカメラ”QX-10を使用。スマホに装着したままジャンバーのポケットにすっぽり入るので、携行には便利です。山の中でのWi-Fi接続に不安もあったので、途中から常時接続し、ビジターセンターへ戻った所で、ちょうど充電切れ。フル充電での連続使用3時間弱でしょうか(往路はガスの中で撮れなかったので、冒頭のゴンドラリフトは帰路にスマホでの撮影です)。
 今回は、残念ながら白馬連峰を望むことは出来ませんでしたが、真っ赤なナナカマドや黄色いダケカンバなどの見事な紅葉を楽しむことが出来ました。山は逃げないので(特にリタイアしたら、いつでも天気の良い日を選べるので)、また紅葉を愛でに来ようと誓い合って、栂池を後にしました。

 「あぁ、疲れた。じゃ、松本まで寝て行くからネー!」
 「へーい、こっちはしっかり安全運転して行きます故・・・」
もっと朝早く出発して、帰路日帰り温泉で疲れを取ってから帰るのも一興だと、温泉の横を走りながら反省した次第・・・(ゴンドラリフト横の「栂の湯」始め、木崎湖までの国道148号線沿いに幾つも温泉施設がありました)。
それに、信州なら、他にもたくさん良いコースがありますし・・・。

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