カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 東京美術学校創設に尽力した橋本雅邦と、その門下で“四天王”と称された西郷孤月、横山大観、下村寒山、菱田春草の作品を集めた美術展が、今月下旬(31日)から一ヶ月間、松本市美術館で開催されます。
 西郷孤月は地元松本出身、菱田春草は飯田出身。その将来を嘱望されて、橋本雅邦の娘婿となりながら、僅か一年で離縁して中央画壇を離れて“放浪の画家”となった孤月を、同じ信州出身である春草は、盟友として気に掛け励ましていたと云います。
昨年3月に東京都美術館で開催された「日本美術院再興100年特別展」(第834話参照)でも、橋本雅邦の一番弟子として、その創設の中心メンバーでありながら、身から出た錆とは云え、その後の経緯により、勿論展示作品の中にも、また美術院の年譜の中にさえも「西郷孤月」の名前はありませんでした。
 今回は、それぞれの作品が展示される中で、何と言っても目玉は“良くぞ故郷信州へ”と感謝すべき春草の二作品。いずれも細川家縁(ゆかり)の永青文庫蔵(熊本県立美術館寄託)の「黒き猫」と「落葉」(いずれも重要文化財指定)が、揃って“里帰り”(飯田ではなく松本ですが)することではないでしょうか。春草の作品120点が集まった、2011年の県信濃美術館での没後100年の特別展(第538話)にも貸し出されることはありませんでしたから。
それともう一つ。個人的な関心は、松本市美術館蔵「台湾風景」という西郷孤月の最晩年の作品。春草36歳で夭逝の翌年、孤月が38歳で亡くなる前に、描写旅行に出掛けた台湾で描かれた作品なのですが、これと同じ絵が4年前に見た山種美術館(第571話参照。掲載の写真は山種蔵)にもありました。「2枚あるのか?」と気になっています(他にも、橋本雅邦の、以前美術展で見た静嘉堂文庫蔵の重文ではなく、宮内庁所蔵という「龍虎図」や孤月の藝大美術館蔵「春暖」も展示されます)。

 それにしても、春草の重文2点が、ここ松本で見られるなんて・・・、
 「これは凄い!絶対に見に行かねば!」
但し、この二作品は前期、後期に分けての展示とか・・・。従って2回見に行くつもりです(熊本は勿論、東京での美術展へ見に行くことを思えば、遥かに楽ですから)。
・・・と断言出来るくらい、有難いことに、いくら彼が信州出身とは言え、こんな地方の美術館で開催されるのが不思議な程、凄い美術展だと思います(展示数は分りませんが)。開催に向けて尽力された方々に感謝です。
ただ、そんな凄い美術展なのに、これまで何のPRもTVや新聞で目にすることもなく、たまたま返却に行った中央図書館でチラシを発見!
 「何と勿体無い、もっと宣伝すれば良いのに・・・」
もしこのブログを見て、一人でも多くの市民、県民の方が見に行っていただければ幸いと思い、微力ながらのPR・・・と思った次第です(しかし、ホント凄い!)。
【ご参考:お得情報!】
先週末、早速2回分の前売り券を購入しに、買い物に出たついでに市美術館へ行って来ました。すると、受付で勧めていただいたのには、リピーター割引というのがあって、もし同一展を複数回見学する場合は、前回に行った時の半券を次回も忘れずに持って行くと、前売り券(800円)よりも安く(600円)入場出来るのだそうです(・・・ということで、前売り券を一回分だけ購入して来ました)。