カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 人間ドックの翌日。幸い発熱が無くほぼ平熱に近かったので、当初の予定通り上京することにしました。前日、先生に恐る恐るお聞きしたところ、通勤で1時間車を運転するよりも、乗っているだけの方がまだマシとの御託宣。但し、発熱したらダメという条件付きでした。

 私の発熱騒ぎで、前日行くのを諦めた奥さまを早朝の高速バスに送り、私メは荷物を持って戸締りをして、ナナをペットホテルに預けてから出発。母はショートステイが取れず、妹が面倒をみてくれることになりました(オカタジケ!)。念のため体温計を持参。朝起きてから定期的に測りましたが、発熱は無し。

 新宿で、別件を済ませた奥さまと合流。ランチにインドカレーか久し振りにルミネ地下のトムヤムクンヌードルを所望しましたが、刺激物はまだ体に良くないからと言う奥さまの仰せに、止む無く同じルミネ地下の隣にある出汁茶漬けの店(「えん」)の鯛茶漬けでアッサリと遅めの昼食を済ませました。
奥さまは、「せっかくだから、バーゲンセールを見たい」と言うので、(発熱の無いことを確認した上で)私メは独り上野へ行くことに。

 この時期都内で開催中の美術展の中での私のお目当ては、東京国立博物館の「始皇帝と大兵馬俑」展。昨秋から2月まで開催されています。
平日でしたので入場制限をするほどの混雑でもなく、会場の「平成館」へ入場。館内ロビーには正月らしい花も飾られ、何となく華やいだ雰囲気です。
今更説明は不要ですが、初めて中国を統一し、それまでの王を越える存在として初めて「皇帝」を名乗った秦王朝の始皇帝。西安郊外で発見された、その巨大陵墓(始皇帝陵)を守る(或いはピラミッドの“太陽の船”同様に甦った時のための)地下軍団。人間を象った俑だけで、その数8千体余。1974年、地元民による井戸掘り最中の偶然の発見以来、今も続く発掘と研究成果の数々。今回、その本物の俑と、群雄割拠した春秋・戦国時代から秦の統一までの流れが分る出土品などの文化財が併せて展示されています。
単純に武力だけではなく、初めて官吏による中央集権体制を確立し、度量衡と貨幣の統一をした始皇帝。政治の面でも卓越していました。しかし一方で、焚書坑儒に代表される強権による弾圧や、生前に建設を始めた始皇帝陵の大規模工事で国力が衰え、領民の不満も高まり、始皇帝の死後、秦は僅か15年という短い歴史を閉じますが、その基礎が次の漢に引き継がれ、二千年後の清まで続く中国統一王朝に繫がって行きます。
 今回は、兵馬俑で発掘された将軍俑や跪射俑、官吏俑といった俑(人形)、そして始皇帝の乗る1/2の大きさの精巧な銅車馬(複製)ばかりでなく、発掘された咸陽宮殿の瓦や建材、度量衡を統一するための両詔権(皇帝の宣言を記した基準の重さ)など、紀元前6世紀から2世紀に掛けての貴重な文化財も展示されていて、正に中国悠久の歴史の源流に触れたようで、その興味が尽きることはありませんでした。また兵馬俑の展示の脇に、発掘された兵馬俑坑を模して、記念撮影用に兵馬俑のレプリカが並べられたコーナーも用意されていました。
 終了後、案内を見ると国宝「松林図屏風」が特別展示中との掲示があり、閉館時間間際でしたので駆け足にて拝観。前回の等伯展の時ほど混んでもおらず、今回は近くでゆったりと見ることができました(フラッシュを焚かなければ撮影可能とのこと)。暫し“屏風の中の大宇宙”に瞑想・・・。
お陰さまで、何とか(体調にはともかく)目の保養をすることが出来ました。

 この日は発熱も無く、興味のあった「兵馬俑展」も見学出来たので、奥様と新宿で再合流して、その日の夕食は(病み上がりで些か疲れたこともありますが)、デパ地下でお弁当を買って帰ることにしました。
「えっ、珍しい!お弁当で本当にイイの?」
と家内は訝し気(きっと、体調不良を疑われたでしょうね)
奥さまが娘の所から帰って来る時は、良く新宿駅の成城石井でお弁当や生春巻きなどのお総菜を買って来ますが、この日は小田急の地階の食品売り場へ。さすが東京の“デパ地下”には、普段でしたら目移りするほどに、今半のすき焼き弁当とか、なだ万や美濃吉の会席弁当とか選り取り見取りですが、洋風や中華風弁当を含め、コッテリ系にはこの日食指が動かず、結局選んだのはアサリご飯の深川飯(深川太郎)のお弁当。私メが穴子弁当で奥さまは珍しく鰻弁当。しかも、カウンターの店員の方から、
「もし、今晩9時までに食べられるようでしたら、値引き商品がございますので、そちらにされては如何でしょうか?」とのこと。
「深川めし穴子弁当」が通常の税込1296円から200円引き、「深川めし鰻弁当」は同1782円から300円引きとのこと。器一杯に詰めた深川飯の上に煮穴子3枚が敷き詰められていますし、鰻も一切れですが大きめの蒲焼がデンと載せられていて、それぞれ厚焼き卵も添えられていますので、元値でも決して高くは無いと思います(産地不明ながら)。
まだ6時前で、ホテルに戻ってすぐ食べるつもりでしたので、お薦めに従いそちらを購入させていただきました(ラッキー♪)。
ホテルへ向かう途中のコンビニでビールと「体調管理のための」“百薬の長”の小瓶、奥さま用のカップコーヒーを購入しホテルへ。
ホテルの電子レンジで温めて食べた「深川太郎」の深川飯。
 いや、本当に期待以上の美味しさでした。温めたこともあるのでしょうが、穴子もホクホク(薬味には粉ワサビ)で、味付けも濃過ぎず実にアッサリ。甘過ぎずにやや塩味を効かせた厚焼き玉子も実に美味。この日の体調には最適の味付けで、「旨かったー!」と二人共完食。
想像以上でしたし、ホテルの部屋でゆったりとくつろいで食べられ、今回はデパ地下で大正解だったかもしれません。翌日をふまえ早めに就寝しました。