カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 毎週土曜日に配達されて来る、別刷りの日経プラス1(One)の「何でもランキング」。

 1月12日に掲載されていたのは、全国の「冬こそ訪れたい夜の城」のランキング。そして、全国のお城の中から専門家の投票で選ばれた堂々の第一位が、我が松本城でした。因みに、第2位は夕方5時以降2000個の電飾で星形に彩られるという函館の五稜郭で、3位が背景のビル群のイルミネーションとの対比も美しいという大阪城。国宝5城では、姫路城が5位、彦根城は8位でした。なお、城好きとして個人的に雪の冬に訪れてみたいお城は、第6位の会津若松城と、ランク外で掲載されてはいませんでしたが、越前大野城です。
 紙面に掲載されていた、松本城を1位に選んだ方々のコメントを記すと、
・「その均整の取れた姿は絵画を思わせ、雪の積もる夜は情緒ある光景が現れる」(夜景フォトグラファーの丸山あつし氏)
・「澄んだ空気の中で凛と佇む質実剛健名天守群は別格。時間を忘れる」(城郭ライターの萩原さちこ氏)
そして、説明文でも『400年以上風雪に耐えた漆黒の天守は別名「烏城」と呼ばれ、「白鷺城」の名を持つ姫路城と対比をなす。公園内の地面が堀の水面とほぼ同じ高さにあり、堀に「逆さ天守」が映り込む。』と、松本城の魅力を記してありました。さらに、『松本の住民らが修理を重ね、今も子どもたちが城内の床磨きをする』とも・・・。
 「やっぱりなぁ・・・。さすが、分かってんジャン!」
と、些か(かなり?)“親バカ”的感覚ではありますが、松本市民としては「我が意を足り!」でありました。
 1月25日の夕刻。「食蔵バサラ」での例会に参加するために、家内が不在でバスの便も丁度良い時刻の便が無かったので、ゆっくり歩いて行ったのですが、松本城公園を横切っていくと、ライトアップされた松本城が先述のコメント通りに立っていて暫し見とれていました。確かに凛とした冬の松本城も素晴らしい。
それにしても思い出すのは、城郭ライターの萩原さちこ氏が「松本城ほど市民に溶け込んでいるお城は無い」と評されていたのですが、その理由は、高校の先輩である“居酒屋評論家”大田和彦氏の、
「(見上げなければいけない平山城ではなく)松本城が平城であり、いつでも市民が自由にその周囲の公園に毎日の通勤通学時など立ち入ることが出来るが故に、日常的に市民の視線や目線の中に松本城があることが、市民から松本城が愛された理由だ。」と仰っていたのが、個人的にこれまでで一番納得出来た説明でした。また、以前TVの旅番組で、地元の市民の方が松本城を評して、
「松本藩の藩主は配置換えで次々と代わったので(注:初代石川数政以来、最後の戸田光則まで7代6家)、藩主さんには余り愛着が無い。だからその分お城に愛着を感じるのではないか?」
というのも、確かにそうだなと合点がいく気がしました。
だからこそ、市川量蔵から小林有也先生、そして現代の小学生に至るまで、松本城を市民の宝として大切に感じ大事にしているのだろうと思います。
 先日、朝のウォーキングを兼ねて、娘たちのイベント成功を祈って四柱神社にお参りに行った際に、お城を通るとたくさんの外国人観光客の方々がいました。西山には残念ながら雲が掛かっていましたが、雪をいただいた常念の真っ白い頂上が雲の上に覗いていました。また、松本城公園の西側の梅林には、2月中旬だというのに、一番南側の梅の木がもう綻び掛けていました。今年のお城の桜も早いかもしれませんね。そして、西の端には柵が設けられ、中で発掘作業が進められているようでした。陳情して、何とか国を動かしてでも(法律を変えてでも)、そのために住んでいた方々にもせっかく移動してもらって市が取得した土地ですので、何としてでも、何年掛かろうとも、外堀をちゃんと復元させて欲しいと思います。
 多分、雲の様子や雪化粧など、二度と同じ景観など無いであろう周囲の景色を従えて、石川親子による1597年とも云われる天守の築城以来、420年を超えて聳える現存最古の松本城の天守閣。
明治新政府からの廃城令により解体されて売られたりした全国の天守閣の多い中で、行政の力ではなく、市川量蔵等による市民運動で買い戻された松本城天守閣。地元の人たちの寄付だけで建設された旧開智学校同様に、そういう“市民運動”の土壌が松本にはあるのかもしれませんが、地元の“宝”だという彼等の先見性に感謝するしかありません。そしてその理由も、おそらく大田和彦氏の言われた「日常的に市民の視線や目線の中に松本城があった」からだろうと感じています。

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