カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 民放の様に、番組視聴率でCMスポンサーの意向を気にする必要の無いNHK。だからと云えばそれまでですが、最近のNHKの番組制作での番組内容で、本来公共放送ゆえに保守的と言われていたNHKの方が、民放よりも革新的、或いは挑戦的・冒険的な姿勢が目立ちます。
例えば、3昼夜定点観測をする「ドキュメント72時間」や街頭インタビューだけの「ガイロク」(ただこれらは、民法の「池の水全部抜きます」や「ポツンと一軒家」、「Youは何しにニッポンヘ」など、筋書きの無いドキュメンタリー風バラエティー番組とも類似性はあります)。
個人的には、朝ドラ「なつぞら」の主題歌にスピッツを起用してくれたのにも感謝。ハイジ風のアニメがタイトルバックに流れる、久し振りのスピッツらしいメロディーに感激しています(月曜日は、主題歌がなぜか半コーラス分だけ長く放送されるので、出来るだけ月曜日に聞くようにしています)。

 NHKのその冒険的?な姿勢を個人的に今一番感じているのが、朝ドラ昼の再放送の後、平日午後一時から放送されている「ごごナマ」です。
番組コンセプトは“大人の井戸端”で、ターゲットは40台以上の主婦と60代以上の(ドンピシャターゲット?の、私メの様なリタイアした?)男性の由。
平日の生放送で、進行役のアナウンサーにベテランの阿部渉アナウンサー(次女が出場して銅賞を受賞した97年だったかの、NHKホールでの“歌コン”全国コンクール小学生の部のMCが若き阿部アナウンサーでした)を配してはいるものの、MC役に俳優の船越英一郎氏と美保純女史を起用。

 芸能界に関係するゲストが多いので芸能界に関する知識は当然とはいえ、船越さんの芸能界に留まらぬ博識ぶりにはさすがだなぁと感心しますし、“泥沼の調停騒ぎ”の時もそのまま起用し続けたNHKの英断にも感心しました。
そして、それを上回る、ある意味“英断”が美保純女史のMC起用。
齢56才とは思えぬ、いまだ少女の様に天真爛漫な“純ちゃん”のコメントは、編集可能な録画ならともかく、生放送ゆえに“放送事故”のリスク大だと思うのですが、実際、美保さんが何か言いかけて、「あっ、それはダメ!それ以上言っちゃダメ!」とでも言うように、目配せをしながら無言で何度も横に首を振る阿部アナウンサーを時々拝聴します。
しかし、そんなリスクを超越する様な、純粋で率直な、しかしある意味核心を突く様な“歯に衣を着せぬ”予想外な彼女のコメントに感心することもしばしば。
例えば、ゲストの若い女優さんが悩んでいるケースなどでの、「私だって・・・」と自分の過去も赤裸々に語りながら、「だから、そんなの気にすることないのヨ!」と言いながらの含蓄あるアドバイスに、
 「ナルホド、そう来たか!」
そんな場面を見る度に、いくら朝ドラ「あまちゃん」でNHKでも起用済みとはいえ、そこは台本のあるドラマでのこと・・・。
 「そうか、これが彼女を生放送のリスク承知で番組MCに起用した理由なんだ!!」
と、彼女の“天然”というよりもむしろ“自然”な、少女の様な性格そのままの天真爛漫なコメントに、大いに納得感心するのです。

 「NHKなのに凄い!」と最近特に感じたのが、先日の「午後ナマ」に女優の白川和子女史がゲストとして登場した回でした。
今では演技派女優としての女史も、スタートはご存知“にっかつロマンポルノの女王”。そして聞き役の美保純さんも“にっかつロマンポルノ”でデビュー。従って、当然のことながら、一世を風靡したその頃の話題が中心になるのは必然でしたし、しかもナント白川女史主演の「団地妻」シリーズの映像が“天下の”NHKの昼番組で流れたのですから、いくら日本映画史の重要ピースとはいえ、ある意味画期的と感じた視聴者(特に私メの様な中高年のオッサンズ)は多かったのではないでしょうか。

 他にも、朝ドラのナレーションへのユニークな人物の起用や、BSの「心旅」への火野正平の起用。多分オファーされた正平さんご自にも、当初は戸惑いがあったと思います(ヘビースモーカーの彼には、上りの坂道での自転車は絶対にキツイ筈!)。自転車で回るという設定自体もユニークではあるのですが、正平さんの起用自体がスマッシュヒット。最初は「えっ?」と思いましたが、なかなかイイ味出していて、今や彼無しでは語れぬ“旅”番組になりました。しかも先週は久し振りの信州へ。
長野県には伊那谷から入り、松本から北アルプスに沈む夕日を眺め、佐久を経て、最後に白馬三山を望む茅葺集落の「青鬼」地区の白馬村から次の山梨県へ。
信州に限らず、途中農作業をされているお年寄りまでもが「あっ、頑張ってくださぁい!」と声を掛けるのですから、「心旅」はBS放送なのに、全国津々浦々老若男女を問わず結構浸透しているようです。