カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 エッセイなどを読んでいて、如何にも「ああ、この人は信州人だなぁ・・・」と感ずる方に、藤原正彦氏と太田和彦氏がいます。
 藤原正彦先生と言えば、かの数学者(お茶の水女子大名誉教授)にしてエッセイスト。何年か前の前の大ベストセラー『国家の品格』と近著『日本人の誇り』の著者でもあり、作家新田次郎と藤原てい(満州からの引き上げを描いた名作『流れる星は生きている』)ご夫妻の次男。
信州人(正確にはご両親が諏訪地方出身で、ご本人は満州生まれ)とは知らず、当時『国家の品格』を読んでいて、何となく理屈っぽくて親近感?を感じていたら、先輩からその出自を教えられ、「あぁ、やっぱり信州人なんだ!」と納得した次第。特に、本当は“愛する”奥様への悪口は、信州人気質そのもの(!?)ではないでしょうか?

 もう一人の太田和彦氏。松本市のご出身で高校の大先輩。本職はグラフィックデザイナー(既に退官されました、以前は東北芸術工科大の教授でした)ですが、一般的には「居酒屋評論家」で知られています。因みに、今はBS-TBSの「酒場放浪記」の吉田類さんの方が人気ですが、太田和彦さんの方が先駆者です(だと思っています)。
“評判”という権威を鵜呑みにせず、「嫌なら出て行け」的な有名店では、客への応対が悪いと主人とケンカして飛び出し、本当に居心地の良い居酒屋を探し回る。
“いい酒、いい人、いい肴”をモットーに、酒、肴だけではなく、その店のご主人や女将さん、そしてその店に集う人たちへの愛情溢れるその著書『居酒屋放浪記』は、言わば依怙地な飲兵衛のバイブルです。地元松本の出身にして高校の大先輩。TVではBS11の「ふらり旅」という番組で全国の名居酒屋巡りをされています。
 このお二人の信州人に共通するのは、「自虐的ニヒリズム」だと個人的には感じています。少々捻くれていて、何となく人前では照れ屋で素直になれずに卑下してしまうくせに、本当は純粋で熱き心を持っている・・・とでも形容したらいいでしょうか。
 そして、ある意味その対極にあるのが、私メも時々メニューの参考にさせていただくなど私淑していた?、以前日経新聞に『食うあれば楽あり』というコラムを連載されていた発酵学の権威である小泉武夫先生。東北・福島のご出身でご実家は造り酒屋。
東北出身故か、この開けっぴろげの大らかさは、「味覚人飛行物体」の別名通り信州人からするとまるで異星人を見るような気がします。