カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 信州の秋と云えば“新そば”の季節でもあります。
残念ながら、全国有数な規模で期間中16万人もの人が集まるという人気の「信州・松本そば祭り」は、コロナ禍で今年も中止になりました。
(「松本そば祭り」は、どちらかというと各地の有名店ではなく、全国各地の蕎麦俱楽部といった蕎麦打ちの愛好家の皆さんの出店が殆どなので、我々はこれまで一度も行ったことはありません)
思うに、もう少し工夫すれば何とか実施するための方法(例えば、従来の松本城公園だけではなく、あがたの森公園や中町通りをホコ天にしての分散開催。もしくは今年だけ広大なアルプス公園や県下最大という都市公園の信州スカイパークでの臨時開催。またチケットの事前予約などに拠る人数制限等々)はあったようにも思うのですが、長野県民は或る意味“クソ真面目”過ぎるのか、県内では他にも大きなイベントが中止になりました。
例えば、7年に一度の御柱も基本的に地元の氏子のみでしたし、温暖化で最近では殆ど見られない御神渡りに比べ、毎年必ず実施され、打ち上げのその数が実に3万発という諏訪湖の花火大会は諏訪にとって(特に観光業にとって)最大の観光イベントの筈なのですが、片や大曲や長岡の花火大会などはちゃんと実施したのに、諏訪はあっさりと早々に中止を決めてしまいました。代わって行われた毎晩10分間500発の打ち上げなど、今までも7月末から新作花火までの期間中毎年実施していたことです。まるで、コロナ禍での実施に色々苦労するくらいなら(嘗て“東洋のスイス”と呼ばれて精密工業が盛んでしたが、その拠点がある自治体は法人からの事業税で潤うので何もしなくても良かった過去があり、複線化には地域の説得が大変だからと何も努力せず、結果いまだ諏訪だけが単線のままの中央東線と同様です。そのクセ、上諏訪駅に特急が停車しないと文句だけは言う諏訪市長:是非、第1413話を参照ください。諏訪には会社員時代大変お世話になっただけに頑張って盛り上がって欲しいのに、ホント情けなくて考える度に涙が出ます)むしろやらない方が楽と判断したとしか傍から見ていて思えないのです。ホント、勿体無い・・・。

 話が横道に逸れてしまいました。閑話休題で、この時期楽しみな“新そば”。例えば、地元では蕎麦の栽培で知られる旧奈川村(とうじそば発祥の地)は、地元の新そば祭りが終わらないと、奈川産の新蕎麦は出荷しないのだとか。そのため産地によって、或いは店によって、新そばが食べられるタイミングが異なるのです。目印は店舗に掲げられる“新そば”と書かれた幟や「新そば始めました」というポスターです。

10月中旬、ウォーキングを兼ねて昼前に市内の何軒かの蕎麦屋を廻ってみました。店内はわかりませんが、店の外に「新そば」の幟が立てられたりやポスターが貼られていたのはチェーン店と二軒だけ。松本市内の蕎麦屋さんでは新そばは未だの様でした。また週末だったこともあり、“新そば”には関係なく人気店はどこも観光客の皆さんで行列。地元民としては並ぶ気がしません。そこで、“新そば”の貼紙があり、蕎麦以外の料理もある割烹料理店が全然混んではいなかったので入店。そちらは地元の契約農家からの塩尻片丘産の新そばとのことだったのですが、新そばとしては香りが全く無くちょっとガッカリでした。
 地元のタブロイド紙に依れば、旧奈川村や山形村の唐沢集落、旧美麻村の新行地区といった地元のそば処は、10月下旬から11月上旬に掛けて“新そばまつり”とのこと。その間は混むでしょうから、そこで“新そば祭り”が既に終わっていた美麻の新行に、11月9日の平日に行ってみました。そこで、せっかくの“ついで”なので、久し振りに途中の池田町の「安曇野翁」に寄ってから行くことにしました。こちらは木曽の「時香忘」(休業中?)と共に、我が家では県外からのお客さんが来られたら観光がてら案内する店です。但し、奈良井宿観光の後の「時香忘」と違って、「翁」は天気が良くて北アルプスが見える時でないと魅力が半減してしまいます。この日は、秋晴れが続いていて遠く白馬方面までクッキリと絶景が拡がっています。これなら観光で来られても、順番を待つ間も飽きずに山を見ていられます。
開店の11時を少し過ぎていたせいか、ちょうど一巡目が食べ終わる頃で、小上がりではなく、山の絶景が拡がる窓側の席に待つことなく案内いただきました。お聞きすると、北海道と茨城の常陸産は新そばに変わったそうですが、まだ地元の安曇野産の新そばは入荷していないとのこと(その時々で、各地の蕎麦粉をブレンドして使っているそうです)。そのためか、二八のざるは(特に二八好みの私メにとっては)相変わらずの美味しさでしたが、確かに新そばとしては香りがイマイチでした。
 そこから美麻新行地区に向かいます。平成の合併で大町市となった旧美麻村。“美麻”という文化財の様な歴史的な地名が、この先もずっと消えて終わない様に願います。
お目当ての蕎麦店には12時20分頃到着したのですが、ナント「受付終了」の文字・・・。店主のお婆さんが、
 「朝から頑張って打ったんだけど、もう足りなくなってしまって、せっかく来てもらっただに、ホント申し訳ないネェ・・・」
と、こちらが恐縮する程。残念でしたが止むを得ません。駐車場には、地元ナンバーに混じって県外車がビッシリでした。昔の美麻は、地元ではそば処と知られていても、ここまで凄くはなかったのですが、余りの人気ぶりにビックリでした。
 そこで、「安曇野翁」に拠ると地元産の新そばは未だとのことでしたが、せっかくですので帰路は有明の山麓線を走って、もし“新そば”の幟が出ている店があったら寄って帰ることにしました。グルメ検索的には有名店もある様ですが、電話してみるとそちらも売り切れの由。そこで走りながら目に付いた蕎麦店に入ることにしましたが、水曜日のためか、昔来たことがある「天満沢」を始め結構定休日の店が多く、結局入ったのは「富士尾山荘」という、山麓線沿いの温泉宿を兼ねている店で、暖簾に「元祖そば」とありましたが有明山麓では結構古くからの食堂民宿の様でした。
時間が1時半頃だったせいか、広い店内は我々だけ。温泉宿併設のせいか、蕎麦だけではなく丼物など他にも色々メニューがありました。
我々はそば一択なので、私メはざるの大盛りで奥様は中盛りにしました。品書きなどに拠ると、蕎麦は九一とのことでしたが、さすがに「翁」に比べると味やのど越しはともかく、こちらの店には「新そば」の幟は出ていたのですが、やはり蕎麦の香りはしません。
 「うーん、新そばってこんなに香りがしないのかなぁ・・・?」
でも、付け合わせの小鉢の自家製の野沢菜漬けが美味しかった!新漬けだと思うのですが、塩味だけではなく甘みもあって、我が家のお祖母ちゃんの野沢菜漬けを思い出しました。宿屋も含め、ご家族で切り盛りされているのでしょう。厨房から聞こえて来る女将さんとお嫁さんの会話もほのぼのと微笑ましくて、何だかほっこり・・・ごちそうさまでした!
【追記】
LINEで報告したら娘たちからは食べ過ぎと呆れられましたが、二人共さすがにお腹一杯だったので、その日の夕食はスキップしました。