カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 夏の甲子園もいよいよ佳境を迎えています。

 今年は終戦から65年。偶然にも8月15日終戦記念日の、恒例となった正午過ぎの黙祷のサイレンに、グラウンドに立っていた興南高校の沖縄球児たち。本土防衛のために唯一の地上戦の戦場となった沖縄に対し、“大和ンチュー”の一人としては、出来れば、紫紺に続き深紅の優勝旗も是非沖縄に渡らせてあげたいものですね。但し、既に沖縄県勢は、下手な同情無用の強豪県になっています。

 その甲子園大会開幕直前、8月5日の朝日新聞だったと思います。

 時々、スポーツ欄に辛口ながら愛情溢れるコメントを書かれている、朝日新聞現編集委員の西村欣也さんの書かれた記事(『記者有論』)が載っていました。

 それは2002年、ミスターこと長嶋茂雄さんと一緒に夏の甲子園大会決勝を観戦した時の長嶋さんの言葉が、今も印象に残るという書き出しでした。

『このトーナメントではね、優勝チーム以外の全ての球児にただ一度ずつの敗戦が配られるんです。甲子園の決勝でも、地方大会の一回戦でも、ただ一度の敗戦が、野球の神様から配られているんです。壮大なトーナメントの、大きな意義がそこにあると思うんです。つまずくことで得るものが、若者にはきっとある。』

 そんな長嶋さんの言葉を引用した後、西村さんは最後にこう締め括っています。
『グラウンドにがっくりとひざを折ったあと、立ち上がる少年たち。試合前と試合後のわずか数時間の間に彼等は成長する。スーパースターの誕生や名勝負にではなく、敗者に注目しながら甲子園を観戦するのもいい。』

 今年の夏も、挫折から立ち上がり、やがてしっかりと前を向くであろう、
甲子園の48校を含む全国4027校の若き“Good Loser”たちに、心からエールを送ります。

【追記】
遂に、沖縄県勢初の優勝で幕を閉じた今年の夏の甲子園。
第118話で書いたように、“沈黙なる贖罪”がここに完結しました。
来年からは、地元長野県を除いて、他の46都道府県と同じように、純粋に、客観的に沖縄勢を応援できると思います。
興南優勝おめでとうございます。