カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 大事に、味わうように、じっくり二度繰り返して読んだ高田郁著「みをつくし料理帖第9巻 美雪晴れ」(ハルキ文庫)。

 巻末には、次巻予告として「2014年8月発刊予定 第10巻 天の梯」。そして続けて「みをつくし料理帖 完結」の文字が・・・。文庫書き下ろしとして刊行されて5年だそうですが、
「そうか、遂に終わっちゃうのか・・・。」
思い起こせば、何気なく本屋で手に取った第1巻でハマり、年2巻の発行を待ち遠しく感じながら、これまで全9巻を読み通してきました。

 淀川の大洪水で天涯孤独となった澪を偶然助けたご寮さんの芳に連れられ、奉公した大阪の名料理屋で、料理の味が変わった理由を明らかにしたことから料理の才を見出だされ、その後料理人として、幾多の試練を乗り越えながら江戸で成長をしていく澪。
全編に一貫して流れているのは、人の縁(えにし)と、その偶然“袖触れ合った”皆それぞれが、辛さを抱えながらも愚直なまでのお互いへの思い遣りでしょうか。
その5年間の途中では、実際に大震災の悲劇があり、現実が偶然の物語の設定にも投影されて、「物語とはいえ(いや、物語だからこそ現実への道標に)、何とか幸せになって欲しい」と、その“思い入れ”をより一層強めさせたのかもしれません。
「自分だけが幸せになれない」と、幼馴染を救うべく奔走する澪。
「雲上蒼天」の願いは叶うのか、皆に幸せな未来が予感されるのか・・・。
第10巻となる完結編を待ちたいと思います。