カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 時折(年に2回くらい?)、無性に焼き鳥が食べたくなる時があります。
しかし、昔(移転拡張前)の上諏訪『鳥せん』以上の焼き鳥屋は、松本には無い・・・と(実際に、これまでに幾つか市内の評判店に行ってみましたが、やっぱり)今でもそう思っていますが、上田はB級グルメの「美味(おい)ダレ焼き鳥」で町興しをしているので、もしかすると上田にはあるのでしょうか・・・?(でも、自腹でホテル代払ってまで焼き鳥を食べるのもなぁ・・・と、今のところは躊躇しています)。

 と、前置きには関係なく、焼き鳥なら安いからと説得し、緊縮財政発動中の奥さまに渋々ご了承いただいて、とある日曜日に一緒に向かった先は、中町に程近い「炭火やきとり 気らく家」(蕎麦「野麦」のすぐ隣)。
割と新しいお店だと思います。ここ、何とソフトドリンクが無料。「『焼き鳥が食べたいから』と、お酒を飲まずに車で来られる方もおられるので」とのことですが、一品が決して高くない焼き鳥なのに偉いなぁ・・・。お茶にまでチャージしようとした、どこかのそば居酒屋(第660話)の女将にウーロン茶の出がらしでも、ホント飲ませてあげたいくらいです。いや、アッパレ!

 店内は、カウンター席が7席くらいだったか、それと小上がりにテーブル席が3卓。着いた時は誰もまだ居なかったので、テーブル席にさせてもらいました。つくね、レバー、ネギ間、モモ(塩・タレ両方ありますが、特に指定しない場合はお任せ)。野菜はシイタケ、タマネギと大根サラダも。中では、大根サラダのドレッシングが秀逸。
家内はもっと焼いた方が良いそうですが、私メは(昔の鳥せんの様に)もう少し焼きが甘い(外は良く焼けて中はジューシー)方が好み。また、タレがやや濃いかも。モモは若鶏と親鳥の二種類があり、親鳥の方が固めですが、肉に味があるとか。ナルホドでした。
私メは、一年分の焼き鳥だったので、更に鶏皮と、今度はつくねを塩、レバーはタレ、そして最後に豚バラ(辛みそ)を追加オーダー。これまで何となく敬遠しがちだった鶏皮。脂の甘味もあって、初めて美味しく感じました。丸鶏で仕入れ、ご自分で捌くというご主人。素材の良さなのでしょう。満腹になりました(メニューにあった「卵かけごはん」を頼めなかったのが、些か心残り)。
途中から、常連さんなども来られ、ほぼ満席となった店内は和気あいあい。誠実な仕事振りで、(ソフトドリンク無料に象徴される)好感の持てるマスターの人柄も繁盛の要因なのでしょう。
二人で〆て6千円也(内1500円強は飲み物代)。どれも一本200円以下(80円から)ですので、安いと思います。十分美味しかったのですが、レバーのジューシーさは昔の「鳥せん」には負けるかなぁ・・・でも久し振りの焼き鳥に大いに満足でした。家内も「正ざわ」(第544話参照)より美味しかったそうで、そりゃ何より(斯くいう私メも、雰囲気含めて同感です)。
「あっ、そうそう、もう1軒気になる焼き鳥屋さんが縄手にあるんだけど・・・」
「もう、当分イイ!」
(ハイ、一年後に期待します・・・)
【追記】
・・・と、その後会社の同僚等を無理矢理誘って二度ほど参上しました。
最初は燗酒(松本の善哉)を初めて美味しく感じて(但し、一本目はバイトの子が知らないらしく、常温に近かったので温め直してもらったのはご愛嬌。マスターも恐縮してました)、後輩メンバーと飲み過ぎ(自転車で帰宅した彼は、途中転んで傷だらけになったとか・・・。私メは、お迎えに来られた方からの説教だけで済みました)。
そして満を持して、リタイアされた先輩と伺った前回、遂に〆で念願の「卵かけごはん」(250円)を食べることが出来ました。
メニューには、「鶏ガラ醤油ラーメン」(600円)の気になる文字もありましたが、そこまでの(お腹に)余裕はありませんでした。十分に飲んで食べて、一人5千円也でした。当分、焼き鳥はもうイイかも・・・。

 暮れの父の葬儀に始まり2月の法要と相続手続き(まだ終わっていません・・・)、そして何より2月の二度の大雪。通路の雪を芝生の上に掻いたこともあり、一ヶ月近く積雪が消えなかったことが一番の理由ですが、色々に追われて週末が潰れ、後回しになっていた庭仕事。
    
 家内は、自分でクリスマスローズと蘭の手入れをし、玄関脇に置いた鉢の植え替えを済ませ、今度は秋に刈れず伸びたままの芝生の草取りを開始。
さすがに、任せっ放しでは「こりゃ、チトまずい・・・」と、ここで一緒に草取りをした後、意を決し枯れた芝生を埃まみれになりながら半日掛かりでの芝刈りです。そして、翌朝「どうせなら・・・」と芝焼きをすることにしました。

 17年前の新築時、庭までの予算が無く、翌年自分で作庭した、ベランダをL字に囲む芝生ガーデン。凡そ50㎡程はあるでしょうか。以前、庭のリフォームの際、園芸店の方からは「素人でここまで管理できていれば立派ですよ!」とお褒めをいただきましたが、芝焼きは3年に一度くらいで十分とのこと(そのため、前回の芝焼きは3年前。やはり4月上旬でした)。
 田の畔や土手の野焼きもそうですが、芝焼きの効果としては、害虫(卵)駆除や雑草(の種子)対策と共に、芝生の場合で特に重要なのが芝刈りで出るサッチ対策です(副次効果として、焼いた後の灰は肥料にもなります)。
サッチと呼ばれる粉のような芝の刈りカス(屑)が溜まって通気性が悪くなっているので、そのままだと高温多湿の日本では、梅雨時など蒸れて根腐れや病気の原因になります。
 本来芝焼きは、若草山を持ち出すまでもなく、萌芽前の2月から、野焼き同様に3月中が好ましいのですが、冒頭のエクスキューズで既に4月も半ば近くなってしまいました。
 「もう、芽吹き始めているけど、今頃芝焼きしても大丈夫なの?・・・」
と奥さまも訝しげ。
芝は元々雑草(我が家は日本芝の姫高麗芝ですが、洋芝は元々伸びの早い牧草の一種だったりしますし、野焼きをしても全く雑草の生えないという土手はありません)で丈夫なので、芝焼きで多少芽吹いた部分が焼ければ生え揃うのは例年より遅れるかも知れませんが、長い目で見ればやっておいた方が良いでしょうし、いずれ回復すると思います。

 事前にお隣にはお断りをしてから、先ず風下を確認し、エッジの木枠や庭木の根本、またエアコンの室外機周辺などに火が当たらぬように周辺に水撒きをした上で、場合によっては直ぐに水で消火出来るように家内にホースを持ってもらいながら、ガーデンタイルを並べて燃え広がるのを制御しつつ、一度焼いた後、金属製の熊手でサッチを掻き集めて二度焼きしながら作業を進めます。点火するには、ライターよりもチャッカマンの方が安全で便利です。この日は幸い風も殆ど無く、チリチリと少しずつ燃え広がりながら、3時間弱で終了しました。最後に、念のため残り火が無いように、また風で灰が飛び散らぬように十分に散水しました。芽吹きの既に始まっている個所は焼けず、多少部分的にムラが出来ましたが、「気にしない、気にしない」。遅ればせながらではありますが、(気分的にも)スッキリしました。      
 残った時間、プランターに昨年採取しておいたルッコラの種を蒔きました。生え揃ったら間引きつつ丈夫そうな苗を選んで、今年は多めにハーブガーデンへ移植する予定です。
 二週間経って、芝生も少し緑が濃くなってきました。

 既に葉桜になり、先週末で終わった松本城の夜桜のライトアップですが、まだ旧市内でも標高差のある高台では桜を見ることが出来ます。
(因みに、合併後の「新」松本市は標高の高い旧安曇村や奈川村も松本市ですので、5月連休明けの先まで桜が楽しめる筈です)

 4月20日の日曜日の早朝。ナナを連れて、我が家から車で5分程のアルプス公園へ行ってみました(17歳になるチロルは、さすがに足腰が弱って、長い距離の散歩は難しくなりましたので、先に散歩をしてお留守番です)。
 市街地からでも車で10分程の城山々系の高台に、拡張されて71haという広大な公園が広がっています。このアルプス公園は、元々は県の種畜場だったところで、私が小学生の頃でしょうか、塩尻市内への移転に伴い市に払い下げられて公園となりました。
種畜場の頃は余り人も居なくて、子供の頃は夏休みの昆虫採集をしたり、ボケーッと草原に寝転がって北アルプスを眺めたりと、裏山にある“自分の庭”のような穴場でした。その当時から植えられていた桜。今では種類も増え、600本近いソメイヨシノを中心に別の種類の若木も含めて1300本の桜が広大な園内(整備された部分が公園で、周辺は全て山)に植えられているという市内でも有数の花見の名所となりました。しかも、都市公園には珍しく火器使用が認められており、BBQや焼肉をしながらの花見が可能。市街地よりも200m程標高も高く、高原風で、北アルプス眺望の穴場でもあります。また、小動物園や遊び場もある(無料。ドリームコースターは有料)ので、地元の家族連れにもまた県外からの観光でも、どちらの目的でも楽しめます。朝は、犬連れの方もたくさん散歩しておられます。
 市内よりも10日ほど遅い桜は、8分咲き程度か、見頃を迎えていました。ソメイヨシノの大木ばかりではなく、ピンクの濃いオオヤマザクラ、またコブシの花も満開。この日は、幸い北アルプスも見ることが出来、三文どころか幾つも得した気分になりました。
 看板によると、「バケツBBQ」で食材も機材も全部貸し出しで4600円とのこと(何人前かは不明。数年前はもう少し安かったような気もしますが?)。何も持って来なくても、焼肉(公園内の店舗はジンギスカンが名物)で花見が出来そうです。
 アルプス公園であれば、まだ松本市中でも後一週間近く花見が楽しめそうです(この22日には満開になったそうですので、今週末で見納めでしょうか)。
【付録】
全山が桜に覆われた弘法山。若木1500本とか。ソメイヨシノ、シダレや彼岸桜など数種類が層別してグラデーションになり、また満開の時期も異なるのだとか。19日近くを通った際に撮影しました。小山が浮かぶように見えて、満開の桜。とても見事です。整備されて、古墳のある頂上からの眺望もまた見事ですが、周辺に駐車場が殆ど無いので、見に行きたくても路上駐車で大変なようです。金曜日に近くを通った同僚の話だと、観光バスも停まっていたそうです。旅行社にとっては、アルプス公園同様に無料スポットなのでコストメリット大なのでしょう。

 奥さまが大事に丹精込めて世話をしているクリスマスローズ。
園芸店の指導もあり、今年も冬の間に古い葉を全部刈取り、花芽が出て来るのを楽しみに待っていました。

 雑木林風ガーデンの樹下に、植えたのは多分20鉢くらいだったと思いますが、零れ種で毎年増えて、今年数えたら大小55株あったとか。
3月に入って次々と花芽が顔を出し、下旬くらいから白、赤、ピンク、紫、黄と、色とりどりの可愛らしい花が咲き始めました。やがて葉も出てきて、樹下はさしずめ“クリスマスローズガーデン”と言った趣。
 4月中旬に見頃を迎えました。
新聞での各地の桜の開花を知らせる記事を見ながら、
「同じ花でも、桜って幸せだね・・・。」
・・・と、ひっそりと樹下に咲くクリスマスローズに、いたく同情的でありました。
イヤイヤ、ご近所のご婦人方も、我が家のクリスマスローズガーデンを毎年楽しみにしていただいているようですヨ!
 また、冬の寒さで枯れた鉢植えのビオラなどを、先日ご自身でホームセンターから何鉢かポット苗を買って来られて植え替えられたようです。ベースは園芸店にお願いしたとはいえ、素人にしては中々の出来栄え。玄関先も春の装いになりました。

 ザ・ハーモニーホール(松本市音楽文化ホール。通称“音文”)の特徴の一  つは、メインホール正面に据え付けられた、高さ10mという独ベッケラート社製の、パイプ数3121本、ストップ数43、鍵盤3段、ドイツバロック様式のパイプオルガン。
“楽都”松本のシンボルとして音響の良さで知られるホールとはいえ、僅か700席の地方のホールとしては、或る意味随分贅沢なのかもしれません。
古くはNHKホール、またサントリーホールや国内最大級(因みにパイプ8286本、ストップ126本とか)という東京芸術劇場(しかも様式の違う裏表2台の反転式)など、今では全国各地にパイプオルガンを備えた大小のコンサートホールが増えましたが、長野県内ではここ音文が唯一の本格的コンサートオルガンとか。

 市立のホールが完成した二年後の87年にオルガンが設置されて、“宝の持ち腐れ”にならぬよう1990年に専属のオルガニストとして着任(身分は市の嘱託職員)。ここで四半世紀を経て、後進に道を譲るために退官(特別職の公務員であれば、多分65歳定年?)される保田紀子さん(なお後任には、芸大の後輩でもある、東京芸大オルガン科助手の原田靖子さんが着任とのこと)。
“ありがとう-保田紀子オルガンリサイタル”と銘打ったコンサートが、入場無料で往復ハガキでの事前申し込み抽選により、4月12日に開催されました。ハーモニーメイトとして、保田さんへの感謝の意を込めてホールを満員にして見送るべく、事前申し込みの上、当日桜の咲き始めた音文へ家内と出掛けました。
開場直後には到着したものの、オルガンと正対する2階席は既にほぼ満席で、ステージに近い1階席前方へ。ここだと、ステージ上段に据え付けられたパイプオルガンを見上げる格好ですが止むを得ません。でも盛会で何より。
 プログラムは、バッハにも影響を与えたという17Cドイツの作曲家ブルーンスに始まり、J.S.バッハを4曲。休憩を挿み、19 Cの仏の作曲家ヴィドール、フランク、最後にリストのオルガン作品。
生でパイプオルガン単独の演奏を聴くのは初めてです。演目では、ヴィドールの「オルガン交響曲第5番」からのトッカータが、サン=サーンスの交響曲3番のオルガンを連想させる華やかな響きでした。また、リストが愛嬢の死を悼んで、バッハのカンタータの旋律をモチーフに作曲したという変奏曲が印象的でした。
オルガン演奏は、3段の鍵盤だけではなく、重低音は両足でペダルを踏み、さらには両脇のストップ操作(助手の方が譜めくりとストップ操作を手伝われていました)と、思いの外重労働とお見受けしました。
以前NHK-FMでの、バッハゆかりの聖トーマス教会など欧州を代表する各教会で録音されたオルガン曲の特集で、パイプオルガンは構造上(送風機で風を送り)空気で鳴らす管楽器(鍵盤で、鳴らす音のパイプを指定し、ストップと呼ばれるボタンなどを操作して、音の強弱や響きを変える)と聞いたことがありますが、風圧を感じる重低音から柔らかな高音まで。まるで天井から降り注ぐような響きに満たされました。
満場の拍手に応えてのアンコールは、ボエルマンの「聖母の祈り」という愛らしい小品。スタンディングオベーションやお弟子さんなのか、客席の若い女性お二人からの花束の贈呈もあり、カーテンコールの拍手鳴り止まぬ中、思いの外あっさりと終了。むしろ我々地元の聴衆の方が労いと感謝の想いが強かったのかもしれませんが、演奏家としては定年も無く、生涯現役なのでしょうから、感傷的になってばかりはいられないのかもしれません。ただ、最後に生で聴きたかったバッハの「フーガト短調(小フーガ)」や「目覚めよと呼ぶ声聞こえ」とか、せめてもう1曲アンコールで弾いて欲しかったと、チョッピリ残念でした。
終演後、ステージの壁には「ありがとう」の文字が映し出され、またロビーでは保田さんご自身も立たれて見送りをされていました。
音文での専属としての活動を、「オルガン仲間から随分羨ましがられた」という保田さん。長い間お疲れ様でした。こちらこそ、ありがとうございました。
 県内唯一のパイプオルガンですので、この日は松本だけではなく県内各地からも聴きに来られていたようで、ロビーに向かう途中、どなたかが「松本は羨ましいですね。」と感慨深げに仰っていたのが印象的でした。
当日配られたチラシによると、29日に音文でパイプオルガンの「新人演奏会」(日本オルガニスト協会主催 入場料1500円)があるそうです。保田さんの事前講演もあるそうですし、生のパイプオルガンの響きに魅せられたので、都合が付けばまた聴きに来ようかなと思います。

 4月上旬、上田駅近くで朝から会議があったので、昼休みに日頃なかなか来ることが出来ない駅周辺の有名店へ会社の同僚が連れて行ってくれました。勿論行先は、私メの“麺好き”を知ってのラーメン屋さんです。
 連れて行かれた先は、老舗の「福昇亭」。
こちらはあんかけの五目焼きそばが名物のお店で、ラーメンも昔ながらの醤油ラーメンとか。上田駅前から歩いて10分弱でしょうか、狭い路地を入った所にある小さなお店です。1階はカウンターとテーブル席で、20席ほど(2階にも座敷があるようです)。
両方食べてみたかったので、昼のラーメンセットを注文。ラーメンと小盛の五目焼きそばが付いてお得な850円。
ラーメンは、さっぱりしたやや甘めの鶏ガラスープの醤油ラーメン(単品だと確か550円)。よく濾されたスープが黄金色に透き通っています。麺は焼きそばと同じ極細麺。トッピングはシンプルに、刻みねぎと細い支那チクに中華街風の外側が赤いモモ肉のチャーシューが二枚。
ただ、せっかくスープに甘味があり出汁もまろやかなのに、食べ進むと少々塩味がきつ目に感じてきます。もう少し塩加減を抑えた方が良いのではないかと思いましたが、肉体労働には塩加減は濃い方が良いので(塩分が必須)、昭和30年代はむしろこうだったのかも知れません。でも、如何にも “支那そば”と呼べそうな、昔ながらの懐かしい味でした。

 福昇亭名物の五目焼きそばは、極細麺を揚げてあん(餡)が掛けられていて、所謂固焼きそばです。刺身の醤油皿を少し大きくしたような小皿が付いてきますが、お皿に酢と辛子を溶いてお好みの量を掛けていただくためだそうです。結構多めに掛けた方が味が締まるような気がします。美味しかったのですが、麺の揚げ時間が甘いのか、“しなっと”していて、個人的には揚げた麺がパリっとしているテンホウ(メニューでは「皿うどん」)の方が好み。一方、味付けは、テンホウはやや塩気がキツイ(店によって結構差がある)ので、(酢を掛けて調整する)福昇亭の方が好みです(掛けられた餡の上に載っているのは、麺ではなく錦糸卵。なお、単品の五目焼きそばにはチャーシューがトッピングされています)。

 ご夫婦で切り盛りされている現在は三代目とかで、創業60年近い、先々代からの味を守ってこられているようです。同僚も私と同年輩ですが、40年前の上田高校(すぐ近くです)時代に時々来られたとか(当時は今とは別の場所だった筈とのこと)。
この日も、既にリタイアされているであろう60歳代後半と思しきご夫婦が帰り際、「子供の頃、親に連れて来てもらったんですヨ。味が変わってないなぁ!」とご主人が懐かしがっておられましたが、昭和30年代は、町で食べるラーメンがご馳走でした。
この日は平日でしたので、2階席も含め、会社勤めと思われる方々やご婦人方など、次々とお客さんが来られます。どうやら五目焼きそばの注文の方が多そうです。そうした店で食べる方々だけでなく、持ち帰りで取りに来られる方もおられ、今でも地元で愛されている様子が伺えました。

 冬の寒さの厳しい信州では、多分温暖な地域とは異なり、遅れ気味の春の足音も、ヨーイドンで一斉に駆けて来るような感じがします。       
 花で言えば、梅が綻んだかと思うと桜も咲き出し、やがて梨やリンゴ、そして桃の花と、3月下旬から5月上旬までの一ヶ月ちょっとの間に競うように咲いて行きます。そして季節は若葉、青葉の初夏へと駆け足で向かって行きます。

 咲き誇る花の華やかさに隠れ、花が散った後でないとなかなか目を留めてもらえない木々の芽吹きですが、個人的には、梅や桜より先に春の到来を感じさせてくれる若緑があります。それは、柳の芽吹きです。

 「やはらかに柳あおめる北上の 岸辺目に見ゆ 泣けとごとくに」

 北国岩手盛岡の北上川の岸辺の柳を想って、故郷の春への郷愁を謳ったであろう石川啄木同様に、冬の寒さの厳しい信州や東北も、花が咲く前に芽吹き、その若緑色が鮮やかさを増した柳の新芽が、漸くの北国への春の訪れを感じさせてくれます。まるで早春の光が宿ったように柔らかで、そして暖かな春色の“青”です。
 さて、320本という松本城の桜も、開花予想通りの4月9日に開花宣言が出されました。松本もいよいよ春本番。
今年も11日から20日まで夕方6時半から松本城外堀の桜並木が「光の回廊」でライトアップされ、今日12日から19日までは「松本城夜桜会」として本丸庭園が無料開放(17:30~21:00)されます。
お堀を埋め尽くす夜桜も見事ですが、雪を頂く北アルプスとお城をバックにした昼間の桜も見応えがあります(写真は2011年のお城と桜です)。

 バラエティー番組ばかりで見るものが無い(プロ野球のナイター中継もご覧にはなりませぬ故。個人的には中継の減った尻切れトンボの地上波より、試合開始からほぼ終了まで放送されるBS中継が増えたのはむしろ歓迎ですが)からと、奥さまが時々借りてくるDVD。
米国のTVドラマが多く、FBIのプロファイリングチームの活躍を描くCBSの“クリミナル・マインド”は、これまでレンタルされている全シーズンを借りてご覧になっているようです。個人的には、「ナンで、そう断定出来る訳?」と、プロファイラーの行動分析の飛躍に付いて行けず、むしろテレ朝の「科捜研の女」の方が論理性(科学的根拠)で勝っていると勝手に思っています。

 クリミナル・マインドの新シーズンのレンタルが始まるまで、今奥さまがハマっているのが、お友達から薦められたという、アメリカFOX のTVドラマ“TOUCH(タッチ)”。
「どういう内容?」と聞いても、「う~ん、説明できない・・・。見た方が早い!」との仰せに、私メも途中から見ましたが、論理の飛躍と偶然の積み重ねに付いて行けませんでした。
「ナンで、そうなる訳?おっかしいじゃん!」
「ウッルサイなぁ!黙って、もうちょっと見てなよ!」
と怒られて大人しく見ている内に・・・ハマりました。
(設定が複雑なので、途中からではなく第1話からご覧になるか、最初にダイジェストをご覧になってから見られた方が分り易いと思います)

 無言症(自閉症?)の息子ジェイクの示す数字に意味がある(過去・現在・未来が数字で繋がっている)ことを信じ、その指示を受け、その意味を探る内に、次第にジェイクの天才的能力を認識していく父マーティン(9.11で妻を亡くしたシングルファザー。残された息子の面倒を見るために、敏腕で鳴らした新聞記者を辞め、空港荷物の宅配をしている設定)。
ドラマの中で、場所も離れ(時によっては大陸を越え)、一見無関係な人たちが、その数字により導かれ、運命の調和によりやがて繋がっていきます。
数列の構成が次第に明らかになっていく数字そのものの意味は一話で完結しながら、その背後にある同じ無言症の少女アメリアが示した数列は、大きなうねりとしてドラマの中心で動いていきます。
一見無関係に見える人たちが、ジェイクの示した数字をマーティンが追う内に、次第に近付き、最後はマーティンの助けを借りて幸せになるという展開ですが、“無関係”が次第に絡みながら近付いて(最初に散り撒かれた偶然がやがて必然性を帯びて)行く過程が、息もつかせずハラハラドキドキ・・・。
鍵を握る“アメリア数列”は架空とのことですが、「宇宙は全て意味ある数字で成り立っている」と思わせてくれます(番組冒頭のタイトル映像は、ヒマワリの種の配列など自然界にも存在するという“フィボナッチ数列”を多分にイメージしている感じがします)。
 “オーパーツ”一つとっても現代科学では解明し得ないモノがある中で、宇宙や歴史における数字の支配も、もしかしたら「有り得るかも・・・」と思わせてくれる、如何にもアメリカ的な、出色の脚本だと思います(因みに、既に放送ではシーズン2まで終わっているそうです)。

 諏訪へ外出の折、今回もラーメンを食べることにしました。
この日は会議までに余り時間が無かったので、郊外の「麺屋さくら」や「ハルピン」までは回れず、“しょうゆ香る中華そば”の看板に惹かれて、湖畔道路沿いで諏訪市との境に近い下諏訪町高木の「中華そば大石家」(諏訪店)へ。

 こちらは、県内に何店舗かあるチェーン店の筈ですが、入るのは初めて。しかも看板に“中華そば”とある通り醤油ラーメン一本で、メニューは盛りの違いとチャーシュー麺のみ。お奨めとあった並盛(750円)をオーダー。
 値段は、「さくら」(平日ランチは、大盛り無料サービス)や「ハルピン」(同小ライス付)に比べると少々高め。
程無くお盆に載って運ばれてきた「並盛」は、壁の貼紙に「並々と」と書かれていた通り、丼から溢れんばかりのスープの量(写真は、動かすとこぼれそうだったので、これでも3~4口レンゲで啜った後です)。

 スープは、王道の鶏ガラ系の甘味のある醤油味。しかし、何口か飲み進むと、塩も結構効いていて、これだと折角のスープの量が無駄になりそうな(塩気がキツクて飲み干せない)気がします。
また、柔らかくて薄く味付けされたバラ肉のチャーシューは、他店では優に3枚に卸せそうなほどの1㎝はある厚切りで、3枚トッピング。チャーシューメン並のボリュームです。またナルトではなくかまぼこと、これまたあっさりと味付けされた厚切りの支那竹に刻みネギが添えられていました。麺は中細麺。個人的にはもう少し固茹での方が好みです。
昼時は既に過ぎていましたが、年配者を中心に結構混んでいました。
テーブル席もありますが、カウンター席の大きな窓からは、湖畔道路越しに諏訪湖が良く見えるので解放感があります。
また、客の好みに合わせて選べるように、テーブルには白黒両方のコショウが置かれていたのも良心的(第783話参照)だと思います。接客もキビキビしていて好印象でした。

 会社から車で5分程度。塩田平の、上田市街から別所温泉へ向かう県道177号線沿い(保野地籍)にある和菓子屋さん「御菓子司 喜八」。
若いご夫婦でやってらっしゃる小さな和菓子店ですが、地元では結構有名なお店で、「鎌倉伝」と銘打たれた小振りのどら焼き(136円)や豆大福が名物。
 以前出張の際に、客先へのお土産に秘書が手配して持たせてくれました。
上田に移動になったばかりで知らなかったこともあり、後日彼女が試食にと買ってきてくれました。自宅で甘いものが大好きな奥さまが食べたところ、甘過ぎず品があると絶賛。見慣れたどら焼きよりも一回り小さく、端まで粒餡がぎっしり。
好評だったので店の場所を聞いて、その後何度かお土産に買って帰りました。
また昨秋に奥さまと前山寺に来たついでに、お店にもお連れしました。家内の言うには、横浜の叔母からお土産で頂くどら焼きも鎌倉のお店らしく、家内が「鎌倉伝」の由来を店頭でお聞きしたところ、同じ店かどうかまでは確認出来ませんでしたが、ご主人が鎌倉の和菓子店で修業をされたためとか。
人気故、昼頃には売り切れてしまうこともあるので、事前に電話で予約してから行った方が良いそうです。

 先日も、仕事で世話になったお礼に、諏訪の本社の某職場にポケットマネーで持参したところ、お礼のメールが届き、
「今まで食べた中で、ベストどら焼きでした。
餡はふっくら小豆はほどよい甘さ、皮はふわふわ、しっとりしていて、  餡をやわらかく包みこみ・・・。諏訪に来て、初めて新鶴の塩羊羹を食べた時以来の衝撃でした。おいしかったです。ごちそうさまでした。(ぺこり)」(注記)
と、(身内だけの評価ではなく)やはりスイーツ好きの女性陣には好評でした(スイーツに関しては、女性の方が男性よりもボキャブラリーが豊富なので参考まで)。
 地元の或る人に言わせれば、上田グルメで絶対に外せないのは喜八のどら焼きと前山寺のくるみおはぎとか・・・。個人的には、ナルホドと納得です。
(因みに、他の“上田名物”について、全て知っている訳ではありませんが、少なくとも上田のラーメンのレベルは、県内では高いと思いますし、最近の“B級グルメ”では、上田は“美味ダレ焼き鳥”で町興し中です)
【注記】
文中にある塩羊羹は、下諏訪の諏訪大社下社前に店を構える老舗和菓子店「新鶴」の逸品です。