カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 4月上旬、上田駅近くで朝から会議があったので、昼休みに日頃なかなか来ることが出来ない駅周辺の有名店へ会社の同僚が連れて行ってくれました。勿論行先は、私メの“麺好き”を知ってのラーメン屋さんです。
 連れて行かれた先は、老舗の「福昇亭」。
こちらはあんかけの五目焼きそばが名物のお店で、ラーメンも昔ながらの醤油ラーメンとか。上田駅前から歩いて10分弱でしょうか、狭い路地を入った所にある小さなお店です。1階はカウンターとテーブル席で、20席ほど(2階にも座敷があるようです)。
両方食べてみたかったので、昼のラーメンセットを注文。ラーメンと小盛の五目焼きそばが付いてお得な850円。
ラーメンは、さっぱりしたやや甘めの鶏ガラスープの醤油ラーメン(単品だと確か550円)。よく濾されたスープが黄金色に透き通っています。麺は焼きそばと同じ極細麺。トッピングはシンプルに、刻みねぎと細い支那チクに中華街風の外側が赤いモモ肉のチャーシューが二枚。
ただ、せっかくスープに甘味があり出汁もまろやかなのに、食べ進むと少々塩味がきつ目に感じてきます。もう少し塩加減を抑えた方が良いのではないかと思いましたが、肉体労働には塩加減は濃い方が良いので(塩分が必須)、昭和30年代はむしろこうだったのかも知れません。でも、如何にも “支那そば”と呼べそうな、昔ながらの懐かしい味でした。

 福昇亭名物の五目焼きそばは、極細麺を揚げてあん(餡)が掛けられていて、所謂固焼きそばです。刺身の醤油皿を少し大きくしたような小皿が付いてきますが、お皿に酢と辛子を溶いてお好みの量を掛けていただくためだそうです。結構多めに掛けた方が味が締まるような気がします。美味しかったのですが、麺の揚げ時間が甘いのか、“しなっと”していて、個人的には揚げた麺がパリっとしているテンホウ(メニューでは「皿うどん」)の方が好み。一方、味付けは、テンホウはやや塩気がキツイ(店によって結構差がある)ので、(酢を掛けて調整する)福昇亭の方が好みです(掛けられた餡の上に載っているのは、麺ではなく錦糸卵。なお、単品の五目焼きそばにはチャーシューがトッピングされています)。

 ご夫婦で切り盛りされている現在は三代目とかで、創業60年近い、先々代からの味を守ってこられているようです。同僚も私と同年輩ですが、40年前の上田高校(すぐ近くです)時代に時々来られたとか(当時は今とは別の場所だった筈とのこと)。
この日も、既にリタイアされているであろう60歳代後半と思しきご夫婦が帰り際、「子供の頃、親に連れて来てもらったんですヨ。味が変わってないなぁ!」とご主人が懐かしがっておられましたが、昭和30年代は、町で食べるラーメンがご馳走でした。
この日は平日でしたので、2階席も含め、会社勤めと思われる方々やご婦人方など、次々とお客さんが来られます。どうやら五目焼きそばの注文の方が多そうです。そうした店で食べる方々だけでなく、持ち帰りで取りに来られる方もおられ、今でも地元で愛されている様子が伺えました。