カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 夏至から一ヶ月。この時期は朝4時を過ぎた頃地元で“東雲街道”とも呼ばれる美ヶ原や鉢伏山などの東山々系が次第に白んでいきます。
梅雨明けで本格的な夏到来の一方で、先行する昼夜の時間は既に逆転し、夜が次第に長くなっています。

 さて、7月15日の早朝。5時近くだったでしょうか。
キキキキキキ・・・という音がどこからか聞こえてきました。ヒグラシです。名前的には夕暮れですが、昼間ではなく、朝晩に鳴く蝉。漢字では蜩(ヒグラシ)。夕暮れに聴く鳴き声の方に、古来(日本人は)風情(哀れ)を感じたのでしょうね(俳句の季語としては「ヒグラシ」は初秋とのこと)。
 『夕立の雲もとまらぬ夏の日の 傾く山にひぐらしの声』式子内親王(新古今集)
 『暮れがたき夏のひぐらしなかむれば その事となく物ぞ悲しき』在原業平(続古今集)

 毎朝大体同じ時間に起きていますが、松本の我が家周辺での初鳴きです。但し、ヒグラシは別名カナカナゼミとも言われるので、擬音的には一般的に“カナカナカナ・・・”なのでしょうか。
これが、ミンミンゼミなら“ミーンミーン”ですし、アブラザミは“ジージー・・・”。そしてツクツクボウシは“オシーツクツク・・・”と擬音も何となく定まっているようですが、ヒグラシの“カナカナ”は、そうは聞こえないような気がします。蝉も少しずつ季節の移ろいで、主役が替わっていくようです。

 今年の梅雨は異常で、梅雨前線が暫く北上せず南に居座ったままで、九州に大雨を降らせた一方で、長野県は例年より2週間近く遅れての梅雨入りでした。台風11号の影響も消えた19日に、関東甲信に梅雨明け宣言が出されました。平年より二日早いとか。
その梅雨明けを待っていたかのように、20日に我が家周辺で今度はミンミンゼミの鳴く声が初めて聴かれました。聴感的にも、いよいよ真夏!と実感させてくれる音でしょうか。
蝉も、地上に出てからの短い期間を精一杯生きるように懸命に鳴いています。蝉時雨・・・今日も暑くなりそうです。