カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 先日(4月4日深夜0時過ぎ)、何気なくNHK-BSを見ていたら、昨年11月に放送されたというNHKスペシャルが再放送されていて、引き込まれ最後まで見入ってしまいました。
それは「足元の小宇宙 ~絵本作家と見つける生命のドラマ~」という番組。登場したのは、京都の嵯峨野在住で御年86歳の甲斐信枝さんという現役の絵本作家。この(失礼ながら)お婆ちゃんがスゴイ!のです。何とも唖然とするばかり・・・。

 現役の絵本作家である甲斐さんの“その”凄いところ。
それは、何気ない足元の雑草を、それこそ“地べた”に新聞紙を敷いて腰を下ろし、絵筆をふるいながら一日5時間も6時間も観察し続けること。そして、それが一日だけではなく何日も何日も続くのです。その日々の観察から描き出された絵本。それは彼女の観察結果(例えば、彼女が「舞い舞いしているのよ!」という、タンポポの様なノゲシの綿帽子が風下だけではなく、草の周りを舞うように渦巻いて風に乗って拡がっていく様子。それがNHKのハイスピードカメラの撮影で実際に証明されていくところなど)により、単なる絵本ではなく「科学絵本」と呼ばれるジャンルなのだそうです。
しかも、時に“地べた”に這いつくばって虫眼鏡で観察しながら、その雑草たちを「コイツは、アイツが、この人は・・・」などと、本当に親しげに愛情を持って呼び接しているのです。いつの間にか、視ているこちらがニコニコとして、時々吹き出してしまいました。
そして素敵なモノを見つけると、歩いている見知らぬ人に声を掛け、その“宝モノ”を見せてあげるのです、「だって、こんな素敵なモノ、独りで見てらた勿体ないでしょ!」。
そして何よりも、そんな甲斐さんの姿が実にチャーミング!。子供の頃から家の中での勉強よりも野山に居る方が大好きだったという甲斐さん。そんな汚れを知らない純粋な少女がそのまま大人になった様な感じで、ある意味、そんじょそこらの“うら若き”乙女よりも遥かに可愛らしくて魅力的でした。特に“はにかんだ”様な笑顔が実に可愛い!のです。甲斐“嬢”とでも呼びたくなる程本当に、実にチャーミングな女性なのでした。
【追記】
先日、松本中央図書館で彼女の科学絵本を借りて来ました。
そこには、まさにTVで視たままの“小宇宙”が拡がっていました。
(本の巻末にあった著者紹介から。発刊が1972年でしたので、45年前の甲斐さんです。知的な佇まいで写っておられますので、先日のTVで拝見した86歳の今の方が可愛らしいかも・・・)。
因みに館内の端末で検索をすると、松本市立図書館だけで(分館を含め)30冊以上の蔵書がある筈ですが、本放送の時もそうだったそうですが、今回の再放送でもその後の(お子さんではなく大人の人たちからの)反響が大きいとのことで、私が伺った日も彼女の著作は僅か2冊しか見つかりませんでした。