カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 長女が京都に来る当日。夕刻までの唯一二人での京都観光に、
 「さてどこへ行こうか・・・?」
紅葉の京都はどこへ行っても混んでいます。三年前の嵐山から嵯峨野、伏見稲荷から東福寺も紅葉の人気スポットですので、人でごった返していました。そこで、今回は奥さまが今まで行ったことが無いと云う大原にいってみることにしました。大原へはバスでしか行けませんので、他の観光スポットに比べると多少は空いているのではと予想。当日は二日間乗り放題の「京都観光乗車券」を購入。地下鉄と市バス京都バスが乗り放題です。但し、京福や嵐電、京阪・阪急は対象外。地下鉄とバスで巡ることが可能な観光地なら絶対におススメです。
大原へは京都駅などから直行バスも出ていますが、我々は時間節約と混雑を避け、都大路を走る駅伝の折り返し地点でもある国際会館まで地下鉄で行って、そこからバスで大原へ向かうことにしました。全て乗車券一枚で行って来られます。

 京都大原は、デュークエイセスが歌いヒットした、永六輔&いずみたく「にほんのうたシリーズ」に収められている「女ひとり」で有名になった、“♪京都大原三千院 恋に疲れた女が一人~”で女性人気が高まったように思います。比叡山の麓の里らしく、天台宗のお寺さんが点在しており、私メも学生時代に入学してすぐ一人で来たことがあります。
また最近だと、大原はNHK「猫のしっぽ カエルの手」のベニシアさんが住まれる里として有名でしょうか。キョロキョロしながら大原の里を散策しましたが、残念ながらベニシアさんをお見掛けすることはありませんでした。
 国際会館からの大原行きのバスは結構混んでいました。アジアからの観光客の方々が結構おられるのには驚かされます。皆さん良く事前に調べているんですね。バスは高野川沿いに谷間いを走り、国際会館からは20分程で大原盆地と云われる様に山に囲われた大原の里へ到着。早速坂を登り三千院へ参拝します。谷川沿いの狭い参道は、途中お土産物屋さんや大原が発祥の地とされる柴漬けのお店などが並んでいます。門跡寺院でもある三千院。客殿と宸殿からの庭園を眺めてから、三千院のシンボルでもある往生極楽院へ向かいます。お堂に上がり、目の前の国宝の阿弥陀如来さまを中心とした三尊像を拝みながらお寺さんからの解説をお聞きします。京都には国宝の仏さま数あれど、手に取る様にこれ程間近に参拝出来る仏さまは無いとの由。お堂を出て、苔むしたお庭に佇んでいる最近人気という“わらべ地蔵”も参拝。
 三千院周辺にも幾つかお寺はあるのですが、時間の関係で宝泉院へ。額縁庭園と云われるお庭で有名です。見事な枝ぶりの松に竹林と紅葉。そして背後の大原の里を借景とした心落ち着く庭園です。お寺の拝観料が800円と些か高めですが、これはお抹茶込みのお値段です。縁側の赤い毛氈から庭を眺めながら頂くお点前に心癒されます。有名な三千院に比べると人も少なめでお薦めです。
 ここから、大原の盆地の反対側に佇む尼寺の寂光院へ向かいます。
寂光院は壇ノ浦で源氏に敗れ、安徳天皇と共に入水しながら助けられてしまった建礼門院徳子が亡くなるまで平家一門の菩提を弔い続けた寺としても知られます。都から離れた隠れ里である大原はそれに相応しい場所でもあり、寂光院という名称もそれに相応しく感じます。
 ご本尊の六万体地蔵菩薩を納める本堂は、2000年に放火に拠り消失。焼け落ちた本堂の中で、黒く炭化したご本尊がそのまま立っておられたのだとか。新しく復元されたご本尊が再建なった本堂に安置されていましたが、焼けた旧ご本尊は本来なら重文指定解除される筈が、黒く炭化しても原形を留めているとして国の重文指定はそのままで、毎年春と秋の二回一般に公開されているそうです。以前TVで、その公開期間に訪れた女優さんがその姿を見て泣きながらリポートしている場面がありましたが、災難を一身に背負われた様なお姿に画面を通しても感動を禁じ得ませんでした。いつか、一度お会いしたいものだと思います。
 帰路、バス停に行くと長蛇の列。臨時便も出ているようですが、国際会館行きは満杯で乗れず、続けて来た四条河原町行きに乗車して京阪三条で降りることが出来ました。
40年振りに訪ねた京都大原の里。混んではいましたが、洛中とは違い、なんだかほっこりした京都の山里でした。