カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 信州と言っても全県ではなく、栽培の盛んな安曇野(穂高)を中心とした松本地方(中信地区)で春のこの時期に食べられる「花ワサビ」。米粒の様な細かな白い花が咲き、ワサビ田の春の風物詩です。

 3月末から4月中旬に掛けて、地元のスーパーマーケットの野菜売り場に「ワサビの花」として20~30本の束で並びます。
定年前に上田の子会社に通勤していた時に、旬な「酒の肴」としてワサビの花を話題にしたところ、地元のメンバーは(少なくとも上田など東信地方のスーパーには並ばないので)誰も知りませんでした(逆に、東信ではポピュラーだという活鮒は中信地方では見たことがありません)。そこで、奥さまの知り合いの方から頂いた際に、全員には無理なので限られた職場の同僚だけでしたが、いただいた花ワサビを小分けの束にして、且つおひたし用の調理方法のレシピを添えて配ったところ(早速自宅で作ってもらった)飲兵衛のメンバーには(酒の肴として)大好評でした。

パスタなども含め、ワサビの花のレシピも色々あるようですが、やはり辛味のツンと効いたおひたしか保存の効く醤油漬けがお薦めでしょうか。
どちらも茹でるか熱湯で湯がくか。茹でると柔らかくなり過ぎることもあるので、多目の熱湯で湯がく方が良いでしょう。どちらも辛味を増すために砂糖で揉むのがコツ。甘味を増すというお汁粉の塩同様に、正反対のモノを少量入れると効果があるのか、この場合はワサビの苦みを砂糖が消して辛味をより際立たせるのだそうです。
 漢字では「山葵」と書くワサビ。日本原産のアブラナ科ワサビ属の植物で、古くは飛鳥時代から使われて来たのだとか。因みに、英語や仏語でもそのままwasabiと発音されています。湧水や水のキレイな静岡の伊豆や安曇野が代表的な産地ですので、産地故の食材なのでしょう。
 ワサビ田に咲くワサビの白い花。真っ白だった北アルプスの雪解けが始まり、常念坊などの雪形が現れる頃。どこからか“早春賦”が聞こえて来そうな、信州安曇野の春を代表する風景です。