カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
一昨年の夏、本ブログの第1833話でご紹介した通り、
『我が家のコーヒー。ずっとUCCのモカブレンドを粉で買っていたのですが、このところの値上げラッシュの中でのコーヒー豆の値上げ後、UCCのラインナップが変わりモカブレンドが無くなってしまいました(豆の配合が変わった≒モカの割合を減らしたためか、値上げした上で“リッチ・ブレンド”とかに変更・・・)。
そこで、少なくともこれ迄10年以上は購入してきた筈の(ポイントも軽く1000点を越えていたのですが、その点数では特に欲しいモノも無く)UCCを止む無く諦め、松本にも全国チェーンのジュピターコーヒーが松本駅の駅ビル内に店舗があるので、それ以降定期的にジュピターのモカブレンド(勿論UCCよりもかなり高くなりますが)を豆で買って、自分でカリタの手動のミルで挽いて、ドリップ式のメリタのコーヒーメーカーで淹れて毎日飲んでいます。』
学生時代の昔から変わらない、ちょっと濃い目で酸味が効いたコーヒーが私好みの味。ただ苦いだけの(としか私には思えぬ)シアトル系コーヒーとは一線を画します。
恐らく30年近く前だったと思いますが、昔LAに出張した時に、「最近地元で話題なんですよ!」と言って後輩の赴任者がランチの後に連れて行ってくれたのが、当時LAに進出して来たばかりという「STAR BUCKS」でした。その後日本にも進出し、コーヒーのセカンドウェーブと云われる深煎りのこのシアトル系コーヒーが、地方の県知事が地元への進出を要望する程のブームとなって、あっという間に日本中を席巻してしまいました。
するとその後、今度は日本独特の「純喫茶」をモデルにしたというブルーボトルコーヒーに代表されるサードウェーブと云われるコーヒーが或る意味日本に“里帰り”してきました。これは、謂わばコーヒーの“原点回帰”とでも言えます。
そのサードウェーブのスペシャルティコーヒーやシングルオリジンまでいかずとも、個人的には我が家でのドリップコーヒーはモカブレンドで十分でした。
というのも、これまた以前にご紹介した通り、コーヒー用の水に「平成の名水百選」に選ばれている「松本城下町湧水群」の一つで、個人的には一番美味しいと感じる「源智の井戸」の水を隔週で汲んで来てドリップ専用に使わせてもらっていますので、その水の良さも手伝ってこのモカブレンドで十分満足していました。
また一方で、昨年渡米した長女もコーヒー好きで、我々が上京すると連れて行ってくれた飯倉片町の外苑東通りに面した「VERVE COFFEE ROASTERS (ヴァーヴ・コーヒー・ロースターズ六本木)」でシングルオリジンのコーヒーをご馳走してくれたり、また松本に帰省して来た時には丸山コーヒーや市内にも何軒かある拘りの自家焙煎のコーヒーショップでスペシャルティコーヒーを買ったりしていました。
そして、次女の婿殿もお酒はあまり飲まない代わりにこれまたコーヒーが好きで、家内が次女の育児支援で孫たちの世話に毎月行く時のお礼にと、自身も飲んでいる勤務先の病院近くの自家焙煎のコーヒーショップのシングルオリジンのパナマ産「ゲイシャコーヒー」を、いつもお礼に豆で持たせてくれています。
因みに、このコーヒー豆で云うところの「シングルオリジン」とは、
『「コーヒーを農場単位で考える」ことで、シングルオリジンコーヒーという言葉の意味は、生産国という大きなカテゴリーではなく、農場や生産者、品種や精製方法などの単位で一銘柄としたコーヒーのことを指します。 ちょうどワインと同じように考えていただければ分かり易い。』とのこと。
そして、スペシャルティコーヒーは「生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされている」ことがその条件とされるなど、コーヒー豆におけるトレーサビリティやサステナビリティの概念がその背景にあります。
こうした長女や婿殿のお陰で、我々も時々はこうしたシングルオリジンやスペシャルティコーヒーの美味しさも知る様になりましたが、年金生活者の身では毎日ゲイシャコーヒーを楽しむという訳にもいきません。
・・・というのが、我が家のこれまでの“珈琲事情”だったのですが、ここで“異変”起こりました。それは、昨年6月の日経新聞でも報道されていたのですが、
『コーヒー各社が相次いで家庭用製品の値上げに動いている。味の素AGFは9月に合計116品目で最大30%価格を引き上げ、ネスレ日本は一部の商品について内容量を増やしながら値上げする。背景には気候変動による世界的なコーヒー豆の不作がある。
キーコーヒーは8月、家庭用コーヒー製品を約2年ぶりに値上げする。店頭価格は20〜30%上昇する見込みで、全国に45店舗あるキーコーヒーの直営店での価格も順次引き上げる。
価格高騰の背景にあるのは世界的なコーヒー豆の不作だ。インスタントコーヒーなどに使われるロブスタ種は、最大生産国であるベトナムで高温や干ばつなどに見舞われた。国際価格指標であるロンドン先物(中心限月)は6日、1トン4400ドル近辺まで上昇し、過去最高値を更新した。19年末比で3倍ほどに急騰している。』
こうした状況下に、更に円安と人件費や資材価格の高騰も加わってでしょうか、我が家で購入しているジュピターコーヒーも昨年秋の9月末に遂に一斉に値上げ。これまで買っていたモカブレンドが、200gで670円から1370円(税込1452円)へと、ナント倍以上に値上げされてしまいました。
ジュピターコーヒーでは四半期に一度くらいの頻度で30%OFFでの期間限定販売がされていて、この時期にはモカブレンドだと200gが470円!で購入出来たので、年金生活者としては大変有難く、その時に纏めて1㎏購入させてもらっていました(ジュピターではちゃんと酸化防止で真空パックしてくれます)。
それがいくら円安と不作の影響でコーヒー各社値上げとはいえ、またその状況の厳しさを十分理解出来たとしても、いくら何でもまさか一挙に2倍以上とは・・・。唖然として、何かの間違いかと値札を二度見して確認したほどです。しかも「イヤイヤ、どう考えても2倍は無いだろう!?」と、後日念のため再確認したのですが、残念ながら見間違いではありませんでした。
従って、値上げ後は仮に30%OFFで購入出来ても、モカブレンド200gが1000円を超え、一般販売期間では200gが1500円にもなります。これでは、例え30%OFFの割引期間ですら100gが500円前後で販売されている他のメーカーと同じで、通常価格ではむしろ他社よりも高くなってしまうどころか、下手をするとブレンドではなくモカ100%の豆が買えそうです。ジュピターコーヒーの他の輸入食品は知りませんが、これでは少なくともコーヒーを購入する意味が全く無くなってしまいました。

ツルヤには他にも京都発祥の老舗である小川珈琲の有機栽培の豆が最近販売されているのですが、マイルド、リッチといったブレンドだけで、その中には残念ながらモカはありませんでした。
そこでスーパーマーケットでの豆購入は諦めて、今度はマンションからも近い征矢野に塩尻が本社の「三澤珈琲」の松本店があるので、時々家内が夜コーヒーを飲みたくなった時のためにデカフェコーヒー(カフェインレスコーヒー)を買いに行っているのですが、この三澤珈琲も軽井沢の丸山珈琲同様に、世界中から厳選したコーヒー豆を自家焙煎して業務用中心に家庭用でも小売りしているコーヒー専門店です。今度は、三澤珈琲で色々試して好みの豆を異探してみることにしました。
地球温暖化に伴う世界的なコーヒー豆の不作の影響で、どうやら“コーヒー豆狂騒曲”が暫く続きそうです。
8月29日付けで、タブロイド判の郷土紙「市民タイムズ」に掲載されていた記事(記載されていたお名前はアルファベットの頭文字に変更しました)。
『松本市中央3の市特別史跡「源智の井戸」の清掃活動が曲がり角を迎えている。30年以上にわたって活動を担ってきた地元・宮村町一丁目町会(B町会長)の「源智の井戸を守る会」が、高齢化と後継者不足のため5月に解散。現在は有志が細々と続けているが「先が見通せない」と不安の声が上がる。地域のシンボルで観光名所でもある井戸を安定的に存続させるため、行政の関与を求める声もあり新たな対応が求められている。
会解散後は、「そうは言っても井戸を放っておけない」と60~80代の町会有志4人が「井戸と花の会」(O代表)をつくり、月2回集まって井筒内の砂利に付いた藻を取り除いたり周囲の雑草を取ったりしている。(中略)
守る会は7月、井戸を管理する市の担当課に解散を報告し、今後の市の関与を求めた。同課は、地元主体の現在のやり方は難しくなっていることを認めつつ「井戸は地域のシンボルであり地元が関われる体制は必要。業務委託も含め、来年度に向けて持続可能な形を模索したい」とする。
中心市街地には、観光資源や災害時の生活用水として市が平成10年代から改修・整備を進めた井戸が21カ所ある。そのほとんどが町会などを通じて住民が日常の手入れを担っているが、少子高齢化や町会加入者の減少などで源智の井戸のケースと同じ問題を抱えるところは少なくない。
B会長は「井戸は地元の誇り。清掃できなくなったからといって任せっ放しにはしない。どんな関わり方がいいのか地元としても考えていきたい」と話している。』
環境省の「平成の名水百選」にも選ばれている松本の「まつもと城下町湧水群」の中でも、戦国時代の世から“当国一の銘水”と謳われた井戸であり、我が家では毎日のコーヒーのドリップ用に10年前からほぼ隔週で水を汲み行って戴いて来ているので、これまでも何度かブログでも紹介させていただいています。
はっきりとした四季があり、温帯に属する日本列島はある意味“水の国”であり、水資源に恵まれた列島です。四季の中で、雨季である梅雨や台風、そして雪などのお陰で降水量も多く、世界平均と比べて我が国の年間平均降雨量は約1.6倍にも及ぶと云います。
その水の豊富さと共に、この国の“水の旨さ”をそこに暮らす我々日本人はあまり意識していないかもしれませんが、海外に行くと容易にその違いに気付かされます。
水に関して、例えばエッセイストの平松洋子女史の「水の味」(以下、第497話より一部引用)に、日本の水について興味深い記述があります。
『「・・・煮る、さらす、浸す、茹でるといった水を中心とした調理法で、微妙な味わいで素材を引き立たせる日本料理は、京都の軟水だからこそ進化した」という件(くだり)でした。その逆で、フランス料理は硬水だからこそソースがミネラルと結合することでしっかりと主張し、切れが出るのだとか。シチューのようにコトコトと煮込む欧州の料理も硬水だからこそ、なのだそうです。また、我国でも関西の軟水と江戸の硬水の違いにより、お米の炊き具合が全く違うのだとか。その結果、「硬水で炊くために米が“粒立つ”江戸では、一粒一粒がくっ付かず、空気を含めてフワっとなるからこそ握り寿司が発達し、一方の軟水の関西では米粒が融合し交じり合うことから棒寿司(箱寿司/押寿司)が発達したのだ」・・・。』
『すると、ちゃんと井戸の掲示板に、市が県薬剤師会に依頼(H27.7.30採水)した、今年度の水質検査の結果報告書が貼ってあり(薬剤師会のHPにも掲載されています)、「源智の井戸」は「硬度140」だそうです(ネット上には「硬度113」と記載した別の記事もあり)。
国ごと、また規格によって必ずしも分類が統一されていないようですが、一般的には硬度100以下が軟水。300以上が硬水。その間を中硬水と呼ぶという基準に従うと、「源智の井戸」は中硬水となります。ところが、すぐ近くにある酒蔵の「女鳥羽の泉」は軟水とのこと(因みに、諏訪地域の酒蔵で使われる霧ケ峰の伏流水も軟水。硬水の代表格は灘。新潟も軟水だそうですが、「天狗舞」は中硬水とか)。
この狭いエリアでも、水源によって水脈が違い、その水質は異なるようです。因みに我が国の生活水の80%は軟水とか。逆に石灰質の地層の欧州(大陸)は硬水。一般的に、硬度は炭酸カルシウム(CaCO3)の濃度で表されますが、旨味はそれだけでは無いようです。一口にミネラルウォーターと言っても、例えば“南アルプスの天然水”は軟水(硬度30)で、エビアンは硬水(硬度304)。昔から飲みなれた軟水の方が、日本では好まれるそうです(お腹にも優しい)。硬度を示すカルシウムとマグネシウム以外に、カリウムとナトリウムもミネラル分とされています。
また、緑茶は軟水の方が旨味が出て、紅茶は硬水の方が香りが立つとか。そして、コーヒーは、同じ豆でも軟水の方がマイルドで、硬水の方が苦味が引き立つとのこと。要するに、硬度を示すCaCO3の数値だけでは水の旨さは表せないということでしょうか。
一般的に言えば、煮物などの和食用には、「源智の井戸」は中硬水で余り向かないということになりますが、果たしてどうなのでしょうか?
要するに、“自分に合った水を、自分の舌で探す”しかないようです。その意味で、「源智の井戸」はミネラル分が豊富で、さすがに当国(信濃)一と言われただけの美味しい水でした。』
(源智の井戸などの湧水が流れ込む榛の木川や蛇川にはニジマスが棲んでいて、また人が植えたモノかもしれませんが、清流にしか育たない山葵も生えていました)
これまで、ただ水を頂くだけでは申し訳なく、井戸の脇に有る小さな祠に僅かばかりのお賽銭を行った都度納めさせては頂いては来たのですが、自分にも何か出来ることは無いのかと、居ても立ってもいられませんでした。
そこで、市役所のH/P経由で広報課にメールを送り、もし必要があれば自分はボランティアとして井戸清掃に参加可能な旨を連絡してみました。
しかし特に何の反応も無かったので、新聞報道を受けて、きっと市や地元町会で今後の対応について何らかの対処がされたのだろうと思って安心していました。
ところが、連絡して3ヶ月も経った11月末。突然、市役所の担当課の方から連絡があり、どうやら報道後も特に状況は変わっていない様子。その担当の方から井戸を清掃している代表者の方の連絡先を教えられて、未だもし興味があったら連絡してみてくれとのこと。
早速電話で連絡をしてみると、藻の繁殖が弱まる冬季は月二回の清掃をしていて、連絡をした数日後がちょうど当月の清掃をする日なので、もし都合が良ければ見学がてら参加してみてくれとのことでした。
そこで、その当日。未だ明けきらずに暗い内に家を出て、渚から歩いて20分。朝6時半過ぎに「源智の井戸」に到着し、これまで水を頂いて来たお礼も兼ねて、地元の有志の方々の井戸の清掃活動に、私もボランティアとして参加することになりました。
二年前にナナが虹の橋を渡り、もうワンコはコユキで最後にしようと思っていたのですが、縁あってナナと同じシーズーの保護犬を迎えることになり、11月22日に松本の我が家にやって来た保護犬の「くるみ」(以下判別し易いようにクルミとカタカナ表記にします)。
その3日後から、奥さまはかねてからの予定通り長女のいるアメリカへ渡航し、彼女の帰国するまで18日間不在。
そして帰国したと思ったら、その三日後に今度は横浜の次女の所に“月例”の育児支援で、今回は10日間の不在。
ということもあって、当初は12月末からクルミのトライアルを(私メは)希望したのですが、仮ママさんも家内も「仮宅に慣れてしまう前に、里親宅でのトライアルを開始した方が絶対に良いから!」との仰せ。
そのため、止む無く“独居老人”+コユキと新たに迎えたクルミとで、一人VSワンコ二匹での“新生活”がスタートしたのでありました。

当初、クルミはクレートに入ったままで、用心してなかなか出て来てくれませんでした。しかし部屋に誰も人間が居ないと安心するのか、クレートから出て来るのですが、人間が部屋に入って来るとまた一目散にクレートに逃げ込んでしまうのです。
でも、コユキの時もそうでした。特にコユキはブリーダーが男性だったのか、特に私を怖がり、女性の家内とは(今でも差がありますが)接し方がまるで違っていて、私に慣れるのには随分時間が掛かりました。
ただ、クルミは食欲がすこぶる旺盛。仮ママさんの所でも、食事の準備を始めると、ドッグフードの袋のこすれる音や食器に入れる音とかがすると、クレートから飛び出して来るのです。これは我が家でも同じ。ただ、エサを十分に貰ったことが無かったのか、例えばお菓子の袋の音やコーヒー豆をミルに入れる音などでも食事準備の音と勘違いして飛び出して、すぐ近くまでやって来るのです。でも触ろうとすると、またさっとクレートに逃げ込んでしまいます。
そんな時は、後左脚の膝が固まってしまっていて曲げられないので、足を伸ばしきったままお尻を器用に左右に振って走って来るのです。食事の時は、食欲で興奮してアドレナリンが出ているのか、本当にお尻を振って跳ねる様に駆けて来ます。むしろ準備出来て食器を運ぶ時は、クルミの方がコユキよりも早いくらいです。仮ママさんが、
「クルミは障害があっても、繁殖犬としてこれまでの過酷で劣悪な環境を何とか生き抜いてきた子ですから、存外強い子かもしれませんヨ!?」
と仰っておられたのですが、確かにその通りなのかもしれません。

すると、見た目はともかく、前にも増して食事準備の時には跳ね回る様になりました。そして日が経つにつれ段々慣れて来て、「コイツは危害を加える様なことは無さそうだ・・・」と理解出来たのか、私がリビングルームに居てもクレートに入らずに外の大きなペットベッドに居る様になりました(但し、触ろうとすると怯えてクレートに逃げ込んでしまいます)。
しかし、日数の経過に比例するように、クレートから出ている時間も次第に増えてきました。


朝起きた後や外出から帰って来た時などには嬉しそうにはしゃぐ様になり、じゃれて甘噛みをしたり、おもちゃの引っ張り合いをしたりする様になりました。そんな風に遊びたがるクルミは、もしかすると推定よりもっと若いのかもしれません。段々と家に慣れつつあるそんな様子をビデオに撮って仮ママさんに送ろうとすると、携帯が怖いのか、さっと止めて怯えた様に携帯の方を眺めています。一体、この子は今までどんな“犬生”を送って来たのかと、不憫でなりません。
最初の頃はプラスチックの袋がこすれる音がしただけで常にドッグフードかと関心を寄せていたのも、朝夕の同じ時間近くにでないと自分の食事では無いと分かったのか全く気にしなくなりました。これまで人の動きに常に敏感に聴き耳を立てていたせいのかもしれませんが、どうやらクルミは学習能力が高そうです。

コユキは先住犬のナナとは一緒にくっついて寝ていることも多かったのですが、クルミはコユキの所に行くことは余りありませんし、コユキも余りクルミを意識することありません。日中はそれぞれお互いに自分の居場所(コユキはソファーの上)でくつろいでいます。
1月に入り、動物病院で血液検査と二回目の薬浴をしてもらいました。先生もそしてナナと今はコユキも担当して貰っているトリマーさんも、クルミが見違える様に肌がキレイになったと驚いていました。また2㎏台だった体重も今回図ると4.2㎏とのこと。ガリガリで保護されて以降、仮ママさんのお宅にいた時からもう少し太らせようと食事を少し多めに与えてきたのですが、シーズーの標準体重である4~6㎏の範囲になったので、このまま維持していけば良いとのこと。クルミも漸く“普通”のワンコになったのかもしれません。後日届いた血液検査結果も、幸い異常無しとの診断でした。

仮ママさん宅でも一度も外には出なかったクルミにとっては、初めて家の外、未知なる外界への冒険です。
そこで先ずはすぐ近くの公民館の広場へ抱いて行って、子供向けの遊具のあるエリアが人工芝で覆われているので、そこでリードを外して遊んでみました。


何度か公民館の広場で遊んでいる内に、段々外の様子にも慣れて来て、次第に人工芝のエリアから土の上へと行動範囲が拡がっていきました。そこで、一週間くらい経った時、思い切っていつもの散歩コースを行ける所まで歩いてみることにしました。それまでも、公民館の広場での後、ナナやコユキの散歩コースを抱っこしながら一周して周囲の環境を見せてはいました。
しかし、クルミはこれまで生きて来た中で、リードを付けて散歩をする、人に付いて歩くという習慣も躾けもされていません。ましてや狭いケージの中に何年も居ただけで、救い出されるまで(不要と判断されるまで)外に出たことも無かった筈です。そのため、私に付いて一緒に歩くということはなく、行きつ戻りつしながら、自分の興味本位にクンクンと匂いを嗅ぎながら徐々に歩を進めていきます。そこで、何とかコースに沿って前進してくれる様にクルミの前方から声を掛けては前に進んで行きます。
道すがら、我が家に来てからの家の中では経験し得なかった、例えば電車が来たり、或いは人とすれ違ったり、時には鳥が鳴きながら近くを飛んで行くと、都度「一体何だ?」と興味深そうに立ち止まっては音のする方を眺めています。

諏訪発祥のラーメン店「ハルピンラーメン」。
40年前に諏訪に住んでいたこともあって、当時飲んだ後の〆に必ず食べに行っていたラーメンです。しかし、以前にもご紹介したことがあるのですが、今の「ハルピンラーメン」とは当時は経営が異なっていました。第525話でご紹介したその内容は、
『ハルピンラーメン・・・終戦で満州から引き上げて来られたご夫婦が、諏訪で屋台を引いて始めたラーメン。その味に感激した町の素封家婦人が出資をして、並木通りの踏切近くに店を出したのが始まり。この並木の店が、諏訪で飲んだ後に〆で必ず食べに行った店なのでした。
しかしご夫婦には跡継ぎが無く、出資をした素封家が経営権も取得して、その婦人の孫が経営を引き継いで、それまでの並木通りから新たに諏訪の中洲に移転したのが現在のハルピンラーメン。しかし、その際一つだけレシピの調味料を教えなかったという真(まこと)しやかな噂、諏訪の“都市伝説”があるのです。』
また、第997話では、
『まだ「ハルピン(哈爾濱)ラーメン」が諏訪の並木通りにあった頃(30年近く前ですが)は、飲んだ後の〆は決まってここでした。
その後(戦後屋台から始めたというご夫婦がリタイアして経営を譲り)中州に移転したために行けなくなりましたが、今では諏訪地区だけでなく、松本の並柳や塩尻の広丘にも出店し、松本エリアでもハルピンラーメンが食べられるようになりました(30年以上前の一時期、松本駅のすぐ横にカウンター席だけの小さな店がありましたので、松本平には再出店)。
昔懐かしのハルピンラーメン。ニンニクをベースに二年以上寝かせたという、他店にはない、醤油とも、味噌とも、醤油トンコツとも違う独特のタレ。基本は醤油がベースだとは思いますが、何年か熟成された結果、一見すると味噌の様に濁っています。移転後、少し味が変わったという評価も諏訪では時々耳にしましたし、実際に下諏訪で食べた時も、昔とは確かに違うかな?(昔の方が美味しかった)と感じました。
しかし、この日のスープは殆ど昔の味!(だと思えました)。
その日の舌(体調?)や下拵えでも、微妙に味は変化するとは思いますが、舌に残った味わいは30年前の記憶を呼び覚ましてくれました。かなり甘味の残る一方で、唐辛子系の辛さも舌に残るハルピン独特のスープです。細い縮れ麺に良く絡みます。そう、この味です。ただ、昔良く食べたハルピンラーメンに比べると、以前のチャーチューは、丼が隠れる程大きくて、煮豚的な味付けがされていて、しっとりとしたモモ肉のチャーシューだったように思いますので、全てが昔と同じではありませんが、ラーメンはやはりスープが命ですので、その意味では懐かしいこの味だったと感じました。』

ラーメンが好きではない奥さまは誘っても絶対一緒に行ってはくれませんが、その奥さまは長女に会いに行っていて不在。そこで、平日庄内のホームセンターへ買い物に行ったついでに、近くに在る「ハルピンラーメン松本並柳店」へ食べに行くことにしました。
最近ではメニューも色々ある様ですが、個人的には「ハルピンラーメン」一択です(税込825円)。嬉しいことに、平日は大盛り無料とのことで、勿論大盛りでお願いしました。

スープもしっかり飲み干して、お会計の時にメニューにあった「並木」についてお聞きすると、にんにくを熟成させたタレがハルピンラーメンの3倍入った濃厚ラーメンで、並木に店舗があった頃のオリジナルレシピなのだとか。

さて、片や同じく諏訪発祥のラーメンチェーン「テンホウ」。
実は、こちらにも「ハルピンラーメン」に良く似たラーメンがあるのです。それが「特製にんにくラーメン」。
メニューの説明に依ると、諏訪市の「中華そばてんほう城南店」の店長が、「かぜをひかないように」と開発したメニューとのこと。
勿論「ハルピンラーメン」を意識したとは書いてはありませんが、これが結構ハルピンにスープが似ているのです。
「にんにくラーメン」というメニューそのものは、他のラーメン店にもありますので、もしかするとレシピ的に似ることがあるのかもしれませんが、いずれにせよ、食べる側としては車で遠い「ハルピン」まで行かずとも、歩いて行ける近くの「テンホウ」で「ハルピンラーメン」に味の似たラーメンが食べられるのであれば、「ハルピンラーメン」好きとしては、それはそれで有難い・・・と、そんな気がします。しかも2年か4年か(昔は2年というキャッチだったと思いましたが、今は4年になっています)知りませんが、そこまでハルピンの様に年数を掛けずともここまで熟成っぽく(?)出来るのであれば、それでもいいのでは?と素人考えで思ってしまいます。
ということで、テンホウでラーメンを食べる時は大概「特製にんにくラーメン」(税込760円)を注文しています。テンホウでは、大盛りが+100円というのも有難い!従って、にんにくラーメンに限らずですが、スープ麺を頼む時はいつも大盛りでお願いしています。
テンホウの「にんにくラーメン」は、スープはやはり醤油ベースだと思いますが、味噌の様にこってり感と甘味もあります。テンホウの麺は中細麺。そこに、にんにくラーメンは茹でモヤシ、メンマ、豚バラチャーシューにきくらげと、こちらも海苔がトッピングされています。惜しむらくは、テンホウのバラチャーシューはホロホロと柔らかくて持ち帰り用に別売りしている程美味しいので、もう少し大きめのチャーシューにするか或いは枚数を増やすとかしてくれると、個人的には大変有難いのですが・・・。
双方の値段を比べると、ハルピンが税込みで825円(但し平日は大盛り無料)、テンホウは税込み760円で、大盛りだと860円。どちらもイイ勝負でしょうか。


どちらも諏訪発祥で、地元では“諏訪のソウルフード”とまで讃え称されるハルピンとテンホウ。もし仮に、目の前にハルピンとテンホウと両方あったらどちらを選ぶかと聞かれれば、そこはやはり本家のハルピンラーメンを選びます。でもテンホウのにんにくラーメンもこれだけ食べられるのなら、歩いて食べに行けるという飽くまで我が家の至便性でテンホウのにんにくラーメンを選んでも、それはそれでイイのでは・・・と思っています。
12月21日、まつもと市民芸術館で行われた、まつもと落語フェスティバルでの「桂二葉独演会」。私としては待ちに待った落語会でした。
以前、全く以て“大きなお世話“ながら、第1836話の中でも書いたのですが、
『NHK新人落語大賞受賞をきっかけに、関西のみならず東京のキー局でのレギュラー出演もしている今や超売れっ子ですが、YouTubeで幾つかその後?の高座を聞くと(限られたYouTubeでしか聞く機会がありませんので、聴くことが出来るネタは限られますし、以前に収録された高座が多いので、もしかすると取り越し苦労で実際は違うのかもしれませんが)、枕が毎回ほぼ同じ(近所の“悪ガキ”の男の子との無邪気なやりとり)なのが少々気になりました。
バラエティー番組のレギュラー出演も全国的な人気取りには大切なのかもしれませんが、“大きなお世話”ながら、むしろちゃんと落語の修業を積んで、権太楼師匠が言われた通りもっと持ちネタを増やして、“女流”という修飾語など一切関係無い上方落語の実力派の噺家になって欲しいと、他人事ながら心配し、また大いに「 期待してまーす!! 」
(そして願わくば、大阪はちょっと無理なので東京の定席で、いつか一度は生で聴いてみたいと思っています。)』

今回は「まつもと落語フェスティバル」と銘打たれた公演で、桂二葉独演会と、続いて柳亭小痴楽独演会の二本立て。
小痴楽師匠もNHKの新人落語大賞で初めて視て感心し(その時は次点)、以降二つ目時代と抜擢での真打昇進後と二回、「松本落語会」に出演されたので二度とも見に行きました。
今回も実は12月中旬の「松本落語会」の月例会にも出演され、今回の独演会と月に二度も松本に来演されたのですが、松本落語会は都合がつかず、今回の独演会は家内が次女の所に行っていて不在で、二葉さんの独演会から連続で聴くと昼から夕方まで半日も家を留守にすることになり、ワンコたちの夕食時間に掛かってしまうため止む無く諦めました。
ただ後で知ったのは、この日小痴楽師匠がトリで「文七元結」を高座に掛けた由。いやぁ、小痴楽師匠の人情噺、しかも「芝浜」と並んで12月に相応しい「文七元結」、聴きたかったなぁ・・・。残念でした。


この日の会場は「まつもと市民芸術館」の小ホール。こちらには駐車場が無いので、自宅から歩いて向かいました。
続々と人がホールに入って行くので、全員が二葉さんの独演会かと驚いたらそうではなく、この日大ホールで別に演劇の公演がある様でした。
小ホールは座席数288席との案内ですが、関西だけに留まらず、さすがの全国区の人気噺家。どうやら追っかけの方も含め、ほぼ満席。

続いて、桂二葉さんが独演会として仲入りを挟んで三席演じられました。
最初がお馴染みの古典落語から「看板のピン」。
その前の枕。どんな枕か、期待していましたが、YouTubeで視ているいつもの悪ガキではなく、松本に因んだ内容で大いに会場を沸かせてくれました。さすがです。
先ずは独演会の経緯経過で、当初主催者から夏頃の公演を依頼されたのだそうですが、わざと11月以降に設定して貰う様彼女の方からお願いしたのだとか。その理由は「松本一本ネギ」。
お父上が松本平の知り合いから毎年取り寄せるのだそうで、二葉さんも「松本一本ネギ」の大ファンなのだとか。旬のネギを現地の松本で食べたくて、その時期の11月過ぎの高座をお願いしたのだとか。
「下ナントカネギよりも松本一本ネギの方がよっぽど甘くて美味しゅうて、あんまり有名になったら困るんやけど・・・。今日は無理にお願いして安曇野の宿を取って貰うたので、明日、堀金の道の駅に行って、松本一本ネギ買うて帰ろうと思ってますねん!」
また、彼女は至る所で「マサムラのベビーシュー」を絶賛しているのが知られているそうで、この日の楽屋にも差し入れで大量に届いてピラミッド状態とか・・・(しかし、よう知ってはりますなぁ・・・。マサムラのベビーシューは、数年前に雑誌「dancyu」のシュークリーム特集で表紙を飾ったことがありましたが・・・)。
「さすがに、いくらマサムラ好きな私でもそんなにはよう食べられません、八個くらいしか・・・」
そして、話題はレギュラー出演をしている「探偵ナイトスクープ」に話題を振り、ここでも客席を沸かせます。
「結果、皆さんどうなったって思いますぅ?ね、気になりまっしゃろ!?そしたら・・・、放送視とくんなはれ!」
イヤぁ、以前ブログで『枕が毎回ほぼ同じ(近所の“悪ガキ”の男の子との無邪気なやりとり)なのが少々気になり』、また『バラエティー番組のレギュラー出演も全国的な人気取りには大切なのかもしれませんが、“大きなお世話”ながら、むしろちゃんと落語の修業を積んで』とか書きましたが、ホント“大きなお世話”でした。枕も十二分に工夫され、この日もご当地ネタを盛り込みながら、客席を大いに沸かせてくれました。
そして肝心の落語そのものも、連続ネタおろしに挑戦するなどして幅も拡げておられますので、落語そのものでも本人が嫌がる“女流”という形容詞を軽く跳び越えて、古典落語に拘る噺家として順調以上に成長されているのが分かりました。大変失礼いたしました。

この日、最初が博打打ちの古典落語「看板のピン」。大いに客席を沸かせた後、続けて「蜆売り」。
初めて聴く噺でした。これは上方落語の中の人情噺で、親方が昔掛けた情けが仇となって、結果家族を助けるために真冬に凍えながら蜆を売っている坊やを助ける噺。十日戎で賑わう今宮神社が噺の中に出て来ますので、年末年始のこの時期に掛けるネタなのでしょう。
後でネットで調べて知ったのは、この「しじみ売り」は、何でも桂福団治師匠に稽古をつけてもらって、11月末にネタ卸しをしたばかりとのこと。二葉さんにピッタリの蜆売りの子供の声と親方や姉さんとのやり取りを、見事に声色を変えながらしんみりと聞かせてくれました。
そして仲入り後は、いつもの声の甲高さをもじって「上方落語の白木みのるって、ゆうてますねん」といういつもの話題に触れて笑わせたかと思ったら、「まだ知っとる人いるんや・・・、安心しました。」と自虐的に沸かせてから、トリのネタは「くしゃみ講釈」。
この仲入り後の講釈師のネタに合わせて、高座には仲入り前は無かった机“演台”が上方落語らしく置かれました。二葉さん曰く、これは落語では「見台」と言い、必ず置かれる講談では釈台と言うのだそうです。
今回のトリに掛けたネタが、その講談を題材にしたネタ「くしゃみ講釈」でした。そのためネタ中に講談師が登場し演じますので、仲入り後に演台が置かれたのです。
因みに、人気の神田伯山などの講談師が高座で必ず左手に持つのが張扇(はりおうぎ)と呼ばれる竹の芯に厚紙を巻いたもので、場面転換や修羅場読みなどに釈台を叩きながら調子を取るのに使われ、右手には扇子を持つのだそうです。
二葉さんがこの日のトリに選んだネタの「くしゃみ講釈」は、米二師匠から稽古をつけて貰って5月にネタ卸しした噺だそうですが、しっかりと自分のモノにしていました。
やはりこの人には、アホな滑稽話が良く似合う。上方落語界の白木みのるという彼女の甲高い声がナントも心地良い。それでいて、皮肉一杯の毒を吐いて笑わせてもくれる。そして例えとちっても、それさえも笑いのネタに変えてしまう。この日の桂二葉という噺家。もしかすると、柳家さん喬師匠の「棒鱈」を聴いた時と同じくらい大爆笑したかもしれません。
そして、一年半前に書いた『NHK落語大賞を受賞した時に、審査員だった柳家権太楼師匠が言われた様に、もっともっと持ちネタを増やして“女流”という修飾語など一切関係無い上方落語の実力派の噺家になって欲しい。』
今回初めて生で聴いた彼女は、その通りの噺家への道をしっかりと歩んでいると確信出来ました。
大賞受賞後、「ジジイども見たか!」と啖呵を切った桂二葉。この日、田舎の松本まで来くれた独演会を、まさしくジジイが見させて貰いました。
これまで生で聴いた落語は決して数多くはないのですが、少なくとも今まで聴いた中では一番楽しめた落語会でした。
最後に、余談ながら、仲入り前はピンク系の淡い着物で、仲入り後は赤紅色とでも言ってイイのか、着替えての登場で、他の女流噺家の様に袴を履かれてはいませんでしたが、むしろ却って色っぽくて可愛らしく感じられてとても素敵でした。


「お気張りやす!!」