カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 日経の朝刊では毎週火曜日に連載されている、小泉武夫センセの名物コラム『食あれば楽あり』。
料理の上で小泉センセに私淑する、言わば私メの教科書です。

 2ヶ月ほど前だったでしょうか?「イワシのフライ」が取り上げられていいました。それも開きではなく、刺身用の新鮮なマイワシを買ってきて、いつものようにセンセの厨房「食魔亭」で、ご自分で、しかも手開きで調理するというのが如何にも凄いなぁ、さすがだなぁ(最近歯医者さんで読んだ“本”・・・『魚河岸三代目』。これ、勉強になります・・・によれば、鰯は本来手開きが基本だそうです)と感心しつつ、ピュルピュル、ハフハフといったいつもの小泉ワールドを楽しみながら朝の通勤電車で読んでいたところ、フライに添える「キャベツの繊切り」という件(くだり)で、「えっ、千切りじゃないの?」と目が点に。
「でもなぁ、(定年で既に退官されましたが)大学教授の文章だからなぁ・・・。」

 調べて見ると、「繊切り、或いは千切りとも表記」とあり、どちらも正しいのですが、表記順からすると繊切りの方が本来の用法ではなかったかと思われます。
ただ、千切りよりもやや太め(字面からは更に細く切るように感じますが、これが逆)に切るのを「千六本」とも言いますから、数字も無関係ではなさそうですし、細かくたくさん切るという意味からは、数え切れないという意味で「千」という数字を当てたであろう先人の気持ちも良く分かります。

 一方で、キャベツの場合は、(丸ごとでなく、家庭で葉を数枚の場合は)葉脈に対して直角に刻んでいきますので、“繊維を切る”と書いた方が、何となく調理の際の道理に合っているような気もします。

 うーん、しかし調理用語一つとっても、切り方、剥き方で様々な言葉(方法)があり、繊細な日本料理らしく調理用語も奥深いなぁ、と本題のイワシのフライを離れ、「繊切り」の単語一つで暫し感慨にふけったのでありました。(ま、どうでもイイことかもしれませんが)

 なお、これもセンセのファンでなければどうでもイイことですが、フライ系でも断然醤油派だった筈の小泉センセですが、今回はウスターソースだったのが「なぁんだ、ソースでも食べるんジャン!」とソース派の私メとしては鬼の首でも取ったような気がして、一人ほくそ笑んでいたので、知らない人が見たら恐らく気色が悪かったかもしれません。

 さて、発酵学者らしく小泉先生が別の日に書いておられました。ご自身が福島県のご出身です。
「避難所生活などでは、パンやカップヌードルなどではなく、オニギリと味噌汁を食べなさい。お米は古来日本人の主食として民族のDNAに訴える力の源泉であり、また発酵食品には未だ解明出来ていないパワーが秘められている。日本人は味噌汁でイイ。インスタントでもイイから、必ず味噌汁を飲みなさい」と。

 私たち日本人の元気と健康の源は、やっぱりご飯と味噌汁のようです。