カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 ハーモニーホールが地震損傷での改修工事のため、あと1年くらいはあまりコンサートを聴きに行けないかな?と思い、代わりに選んだのが落語です。

 何年か前、東京に赴任された高校の先輩(この方は高校の落研OBです。奥様は合唱団の先輩)が休日奥様と寄席回りをされていて、一度生で聴いてみろと勧めてくれたもの。そう言えば、指揮者の佐渡裕さんも列車や飛行機での移動中聴いているのはクラシック音楽ならぬ落語(その時は確か桂枝雀?)だと伺った記憶があります。また、“ビッコミ”連載の落語修行を描く「どうらく息子」(尾瀬あきら)を読んで、落語そのものにも興味が湧いてきたこともあります。

 古典芸能専門の北野文芸座がある長野に比べ、松本ではそうした機会があまり無いのですが、今回地元のTV局(日テレ系に非ず)が笑点でもお馴染みの歌丸・円楽両師匠による「二人会」と称して3月2日にまつもと市民芸術館で寄席が開催されることから行ってみることにしました。ただ奥様が「気乗りはしないが、行ってもイイ」との良く分らない反応だったので、拒否ではなかったものの遅れてのチケット購入になりました。そのため、生憎最後列の席しか取れませんでしたが、ま、イイかぁ・・・。

 ところが、当日夕刻から奥様が骨折以来2ヶ月振りに娘のところへ上京されることになり、せっかくのチケットを捨てるのも勿体無いので、代わりに「笑点」好きの母を連れて行くことにしました。

 まつもと市民芸術館は駐車場が少ないのが玉に瑕。かと言って近くのショッピングモールに停めていくのも気が引けます。開場前に着いたのに、既に満車。並んでずっと待っていると、隣接の才能教育会館へレッスンに来たらしい親子連れが出て行かれ、開演15分前に漸く入ることができました。3階席は閉鎖でしたが、階段状の1~2階席は殆ど満席の盛況です。会社の後輩も奥様と来られていてご挨拶。何でも落語好きで、週末を利用して奥様と上野や浅草にも時々落語を聴きに行かれているのだとか。イイですね。

 演奏会のようなパンフレット配布も無く、開演時間になって緞帳が上がると、出囃子の後「つる」の前座噺(三遊亭楽大)に始まり、翌朝仕事があるという桂歌丸師匠が最終のあずさで帰京するために前半で。休憩を挟んでの後半は、今風に言えばジャグリングの江戸神楽(翁屋勝丸)の後に三遊亭円楽師匠がトリという構成。演奏会と同じ2時間でしたが、あっと言う間に時間が過ぎていきました。

 当日の出し物は、歌丸さんが古典落語の『紺屋高尾』。円楽さんが桂米朝師匠の自作落語(桂ざこばさんに習ったとか)という『一文笛』。
どちらも人情話で、TVの笑点の時とは一味違ったお二人の味のある話芸の世界に浸ることができました。素人の感想ながら、年の功か、或いは円楽襲名後の気負いか、75歳という歌丸師匠の方が聴く者をゆったりとさせて話にも深みがあったように思います。
ただ、オペラハウス風の芸術館ですので、TVで見る寄席の雰囲気とは随分違います。ここは、やはり浅草や上野(或いは長野の北野文芸座)の演芸場で、昔ながらの寄席の雰囲気にどっぷり浸かって聴くのが宜しいようで。