カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 専業主婦(House Wife)に対する専業主夫(House Husband)。
年末からこの2ヶ月はちょっと違いまして、松葉杖で自由に動けぬ奥様のため、当然勤めをしながら家事をしなければならないという日が続きました。いわば専業ならぬ兼業主夫。

 朝起きてから、会社に行く前にチロルとナナの2匹を一緒に散歩に連れて行きます。彼らも事情を察してか(多分)、それなりに気を使ってくれます。例えば、一方が匂いを嗅いだりしていると、ちゃんと待っているのですが、もし双方道の反対側に興味を持ったりすると、これが大変です。両手が目一杯拡がって・・・。「こらぁーっ!そっちへ行くなーっ!」
彼らもストレスが溜まっては可哀想なので、週末は個別に散歩に連れて行ってあげます。

 夜会社から帰宅後は、その日の夕飯の準備です。
食材は週末にまとめて買い置きをしておくのですが、出来るだけ作り置きが可能だったり、簡単に作れるメニューを考えたりするのが大変。その点、冬のおでんには重宝します。日が経つほどに大根やコンニャクなどは味が滲み込むのが有り難い・・・などと日々悩みます。パートとは言え仕事を持っている家内や、共働きの女性の皆さん方は毎日やってらっしゃるのですから、何もせずゴロゴロしている旦那さまに愚痴を言いたくなるのも良く分ります。皆さま、週末くらいは手伝いましょう。
       
 料理そのものは、母よりも上手だった父に似たのか、私自身も好きですし(但し食べた後の洗い物は嫌いですが)、シンガポールから帰任して子供が小さい頃は、私が日本の勉強を見るとすぐに怒ってしまうので分担し、家内に子供たちの勉強は任せて、代わりに(少なくとも週末の)料理を私が担当しましたので、今でもそれほど苦にはなりません。ただ、アイロン掛けだけはどうも苦手なので、座ってもできる奥様にここはお任せです。

 でもなぁ、疲れるなぁ。早く直ってくれないかなぁ、と願う毎日です。
術後ここで2ヶ月を経過し、このところ片手の松葉杖だけで大分歩けるようになり、あまり動かなければキッチンにも立って調理や片付けも出来るようになりました。あと1ヶ月くらいで杖が取れるかな?

 先月のことですが、平日お休みをいただいて、朝から相澤病院へ奥様の通院とリハビリへ。
昼過ぎに漸く終わって、「ナントナクおそばが食べたいなぁ!」とのお仰せに、然らば・・・と帰路お連れしたのは、我が家から車で数分の城山にある「長寿庵 そばの花」。以前から名前は聞いていましたが、訪れるのは今回が初めてです。3回呼んで漸く奥から返事がありました。

 和風の落ち着いた店構えで、4人掛けで4卓と小上がりに2卓と結構ゆったりした店内ですが、平日でしかも昼時刻を少々過ぎつつあるせいか、お客さんは私たちだけでした。壁にはマエストロ・オザワの色紙が。
蕎麦好きのマエストロは、SKFで滞在中に、浅間の「かどや」(田舎そば好みだった父のイチオシ)だけではなく、市内の色んなお蕎麦屋さんに出没されているようです(そう言えば「井川城」には弟さんの色紙がありました)。

 十割の田舎そばは一日10食限定のようですが、更科系が好みの我々は、二八のざるの普通盛り(1000円)と大盛り(1200円)を注文。
こちらには温そばもあり、また天ざるもあるので、母のような天婦羅大好きの信州のお年寄りを連れて来るにはイイかも。
 ほどなく運ばれてきました。写真の大盛りは200円増しにしては、倍以上のボリュームがありそうです。逆に、この量で普通盛りの1000円はちょっと高め。蕎麦は二八にしてはかなりもっちりしていますが、この日の打ち加減か、逆に少々柔らかめ。そばつゆは、信州蕎麦にしては辛めで徳利に入って量もたっぷり。しかし、返しが甘いのか、辛めですが江戸前風に半分付けると舌に残らないというか、さらっとしていて蕎麦に絡めてもコクが余り感じられません。そば湯は「C-cube」ほどではありませんが、蕎麦粉を混ぜているのか、どろっとして濃くて美味。

 場所は城山の高台なので窓からは市街地も望めて、きっと夜景も綺麗だろうと思いますが、残念ながら現在(表の看板に消した痕跡がありました)夜は営業されていないようです。うーん、惜しいなぁ・・・。
奥様もお好みではなかったようで、「松本だと、やっぱり井川城かな?」との仰せ。家から近くてイイのに、うーん、惜しいなぁ・・・。
(元気を出して頑張ってください!)

2012/02/22

593.堆肥入れ

 1月は家内の骨折対応で週末なかなか時間が取れず、例年よりも遅れて2月に入って漸く果樹園に有機の堆肥を撒きました。既に12月にはJAから今年は1.5トン購入し、リンゴ園に運び込んでいただいてありました。時間が経ったこともあるかもしれませんが、今年の堆肥は完熟していて殆ど匂いがありません。

 今年は寒いため、例年よりも降雪量が多いわけではありませんが、1回降った雪が融けずに残っていますので、一輪車で運ぶのも一苦労。一日がかりで終了し、真冬日の寒さでしたが、お陰で“ぽっぽ”として汗をかきながらの作業でした。

 写真は作業途中の様子ですが、手前はこれから撒くリンゴの木。奥の方のリンゴの樹下に、雪とは対照的に黒く帯の様に見えているのが撒いた堆肥です。

 さて、この後はリンゴの剪定作業。
今年は遅れ気味ですので、まだ暫く3月中旬くらいまでは続きそうです。
“1メートルは一命取る”(第245話参照)・・・脚立から落ちないようにしなくては。

 我々、生粋の“松本っ子”が当たり前と思っていても、県外から来られると驚いたり意外だったりすることも多いようです。そんな話題としてお送りします。題して「信州松本“ぶったまゲーション”」。

 例えば、私の会社でも県外出身で入社してくるメンバーが多いのですが、以前(30年も前ですが)採用を担当していた時のこと。
入社後からの4月の集合研修も終わり、それぞれの事業所に配属されていった彼ら。
その配属先の各事業所出社の初日、ある新入社員が朝来ないと心配した事業所の担当から連絡がありました。当時、携帯電話も無い時代。我々も心配していたところ、また事業所から連絡があり、彼女が泣きそうな顔をして遅刻をしてきたとのこと。その理由を聞いて、皆で(申し訳なくも)笑ってしまいました。

 朝、松本駅から大糸線の電車に乗り換えて、最寄駅で降りようとしてドアの前で開くのを待っていたら、ドアが開かずにそのまま電車が発車してしまったとのこと。
入社間もない4月は、まだ寒い日もあることから、列車内が暖房されているとその暖気を逃がさぬよう、乗降車時にロックは解除されても自動ではなく手動で開けるようになっているのです(昨夏は節電対策で、冷気を逃さぬために夏も手動でした)。
従って、誰も乗り降りせず、また最初の人が開けないと、ドアは閉まったまま。都会(彼女は正しく東京出身でした)ではありえないことから、自分で開けるなどと言う発想にはならなかったのでしょう(今は時々車内でその旨のアナウンスがされる時もありますが)。しかも慌てて次の駅で降りても、田舎では戻る電車は下手をすると1時間に一本あるかないか・・・。
因みに、乗車する時に誰も続いて来なければ、寒さが入らぬよう最後の人がまたドアを閉めるのがエチケット。

 更に最近では、大糸線の新型車両には、ドア横にボタンが付いていて、乗り降りの際に、そのボタンを押さないと開かない(押したドアだけが開く)システムも導入されています。
なお、全員が降車する終着駅では、さすがに自動で開閉されています。

 そう言えば、以前ブログを通じて、ハーモニーホールへわざわざコンサートを聴きに来られた県外の方から、松本駅から二駅の最寄り駅(大糸線島内駅)に着いたらドアが開かずにビックリしたというメールを頂戴しましたが、冬期間だけではなく晩秋から早春に掛けてはドアが手動になっていますので、松本(信州全域?)に来られて普通列車に乗られる時は、どうぞお気をつけください。

 もう10年以上も前のことです。
その年の冬も、前年に続き100年振りとも50年振りとも言われた大雪が松本地方に降りました。そのため除雪が間に合わず、市内の幹線道路は何とか除雪されても、脇道は長い間凍結したままでした。

 そんな2月のこと。いつものように早朝チロルを連れて凍った道に足を取られながら散歩をして家に戻ると、急に隣家の陰から庭に放し飼いにされているお隣の犬がチロルに向かって来て吠えたのです。驚いたチロルも向かって行こうとしたため、急に引っ張られて氷に滑って見事に転んで足首を骨折してしまいました。(骨折した家内のことを先日ボロクソ書きましたが、斯く言う私メもその昔・・・。でも隣の犬が悪い!)そして、2ヶ月近く松葉杖の生活になりました。

 その間、業務の都合で手術入院中を除きどうしても休めず、松本駅まで父に送ってもらって(迎えは当時上諏訪駅にエレベーターが無く、降りの階段が危ないため、毎日上諏訪の会社まで家内に迎えに来てもらいました。深謝!)の松葉杖での通勤(しかも特急に乗って、上諏訪駅からは毎朝タクシーです)が2ヶ月近く続きました。
      
 そんな“通勤”が始まったある日のこと。
エレベーターがある西口(現アルプス口)のホームを歩いていた時、改札を出る通勤・通学客の中の一人の若い男性が、すれ違う時にいきなり私に向かって、「大丈夫ですかぁ?頑張ってくださぁい!」と大きな声で励ましてくれたのです。そして、その“励まし”は松葉杖が外れるまでの2ヶ月の間、毎朝続いたのでした。

 そして漸く松葉杖が取れ、朝いつものようにホームですれ違った時、「おはようございます!」と言う私の声に、彼は全く応えることもなく素知らぬ顔をしてそのまま通り過ぎて行ってしまいました。翌日も、その次の日も無視したままで・・・。
       
 その若い男性は、知的障がい者の方でした。
後で分かったことは、北松本にある某企業の障がい者の方々が働く「特例子会社」に木曽から通われていて、大糸線の乗り継ぎが不便なため、松本駅から北松本まで毎日歩いて通っていたのです。

 後日、偶然にその「特例子会社」を見学する機会がありました。
責任者の方から会社のご説明を伺った後、もしやと思い駅での話をしたところ、「あっ、それはきっとウチのN君だ!」
そして、その職場に連れて行っていただくと、紛れも無く「あの彼」でした。
話し掛けてお礼を言っても、当のNさんはキョトンとしたまま。

 責任者の方のお話によると、彼等は自分達よりも“弱い人”に対して、本当に優しいのだそうです。
そして、その優しさが当時“弱者”であった私への励ましであり、その後“弱者”で無くなった途端、その私への励ましは不要になったのでした。
そんな純粋無垢な彼等は、誰彼と無く話し掛けるため、通勤の電車の中では気味悪がられて避ける人も多いのだとか。

 そんな“心優しき人たち”にすれ違う時は、せめて私も「頑張ってください!」と心の中で声を掛けています。

 この冬も12月から3月中旬くらいまで、我が家では薪ストーブが連日活躍中です。
これを一番喜んで、恩恵(“温恵”と言いたいくらいに)に浴しているのが、誰あろうチロルです。

 「もし買うと1本1000円くらいするんだからぁ!」
と言いながら、薪ストーブの“熾き(火)”を使って焼イモ作る奥様も、これまた別の意味で恩恵(こちらはさしずめ“温茎”でしょうか?)を享受されていますが・・・。

 さて、チロルは薪を入れるために自作したチェスト(少なくとも薪入れには利用されず)とストーブの間の大理石(壁と床の防火・断熱のため)を敷いた上の隙間に、ごろりと横になって暖かさを享受しています。
暖かそうだなぁ、気持ち良さそうだなぁ・・・。
暫くして、熱くなると、暫しストーブから離れて今度はフローリングの床にごろり。
寝る時にケージに入れられるまでは、そのウォームアップ?とクールダウンの繰り返し。一方、ナナは人がいるところが良いのか、はたまた寒くないのか、或いは火がまだ怖いのか、ストーブには近付かずに、いつも家内の椅子かソファの上で丸くなっています。

 毎年のことですが(体が夏と勘違いするのか)、早朝の散歩の後の毛鋤きとブラッシングで、最近チロルの毛が抜けつつあるのが気になります・・・。

 またまたお酒の話題で恐縮です(如何に飲兵衛か、自ら証明しているようなモノではありますが)。

 類は友を呼ぶと言いますが、今回も東京から来られたお客さまからいただいた、純米吟醸酒『獺祭』。
山口県は岩国の旭酒造拘りの酒。何しろ、吟醸酒しか造らない蔵だとか。しかも、杜氏や蔵人ではなく、社員だけで酒造りをしているというのだから驚きです。上槽に日本で初めて遠心分離機を導入しているそうです。また精米歩合も、究極の23%から50%まで。生産量が少ないので、一般にはあまり出回らず、良く行かれるお寿司屋さんにこの日のためにお願いして特別に分けていただいたのだとか。イヤイヤ、痛み入ります。

 なお、この見馴れない漢字は、ダッサイと読むのだそうです。「獺祭」とは、Wikipediaに依れば「川獺(カワウソ)が自分の捕った魚を川岸に並べる習性があり、人が物を供えて先祖を祭るのに似ていることから言う」とのことです。

 早速、冷凍庫で急冷させてお客さまと一緒に飲んでみることにしました。
事前にお客様向けに用意しておいた池田町福源酒造の「北アルプス 純米大吟醸」と飲み比べてみました。
大吟醸らしくフルーティーで甘い「北アルプス」に比べ、「獺祭」はフルーティーさもありながら決して甘くはなく、大吟醸とは思えないほど独特の旨みとこくもあって、むしろ純米酒に近い辛味も感じます。とても奥の深い味わいです。

 以前、お寿司屋さんの板さんから教えていただいた香川の「凱陣」といい、今回の山口の「獺祭」といい、信州にいるとどうしても北陸から東北といった米処の北に目が行きがちですが、伏見や灘はともかくとしても、中国地方にも拘りの地酒があるんですね。
中国地方には、広島の「酔心」や鳥取の「諏訪泉」という全国に知られた銘酒がありますし、山口の地酒では、以前割烹で勧められて、「貴」という一口目はクセがありつつも飲むほどに旨みが増す不思議なお酒を飲んだことがありましたが、日本も広いなぁ・・・。

 昨年6月に松本を襲った直下型地震で天井が損傷し、来年3月まで大ホール改修で使えなくなったザ・ハーモニーホール(松本市音楽文化ホール。略称“音文”)。小ホールは無事で使えるのですが、昨年楽しみにしていたOEKなどのオーケストラコンサートが幾つも中止を余儀なくされました。

 この音文会員が“ハーモニーメイト”で、先行予約と会員価格での割引の特典(他にも隔月情報誌「Harmony」の送付など)があり、我が家も家族会員に登録しています。直近の「Harmony」によれば、会員数(家族含め)は現在1700名とか。
会員資格は一年間(家族会員は年会費3000円)で、我が家は毎年1月に更新となるため、先日会社帰りに事務所に寄って2012年の会員登録の更新を済ませてきました。

 大ホールは改修で使用できませんので、オーケストラコンサートは県文(長野県松本文化会館)か同じ市営の市民芸術館で代替しない限り無理ですし、そのため開催されるコンサートはかなり制限さるでしょうから、もしかしたら聴きたいようなコンサートは今シーズンは無いかもしれません。
でも、こんな時こそ市民が支えなくっちゃ!と思い、寄付になってもイイヤ・・・と更新した次第。
因みに、6月20日には、ハーモニーホール主催で、スウェーデン放送合唱団の松本公演が県文の大ホールで開かれるとのこと。イイなぁ、行きたいなぁと思いましたが、当日は外せない出張があり、残念ながら聴きに行けそうもありません。

 大きなヒマラヤスギに囲まれて周囲の雰囲気も素敵なハーモニーホールでは、毎年派手さは無くてもクラシック好きも唸るような、結構渋くて魅力的なコンサートがラインナップされるだけに、一日も早く残響2秒という音響の良さを取り戻して、またコンサートが開かれるようになる日を心待ちにしたいと思います。

 昨年初めてH/Pからリンゴをご注文いただいた方から、年末メールを頂戴しました。そこにはお送りしたリンゴの感想と一緒に、注文をいただいた経緯が添えられていました。

 その方は指揮者の十束尚宏さんがお好きで、たまたま私も20年程前に縁あって十束さんの人柄に触れてファンになり、このところ殆ど見掛けないため心配していることを以前書いたブログ記事をご覧になって、「十束さんのファンの作るリンゴなら・・・」とご注文をいただいたとのことが書かれていました。

 加えて、十束さんがN響定期でマーラーの1番「巨人」を振った放送をビデオに録画されていて、リンゴの夜なべ作業で疲れるとこの曲を聴いて元気をもらっていると私が書いたことから、ダビングして送ってくださるとのこと。
ビックリして、既に我が家にはビデオデッキが無いこともありますし、ご迷惑をお掛けしてはと丁重にお断りしたのですが、過日ナント郵送でダビングされたDVDが郵便受けに入っていたのです。

 「押し付けがましいかもしれませんが」との書き出しで、本当に素晴らしい演奏なので、十束さんを好きな人に是非聴いてもらいたいとのメッセージが添えられていました。「分るなぁ、その気持ち」。
何でも、ちょうどビデオテープからDVDに保存編集をされているところだったとか。
驚くと同時に、お手を煩わせて恐縮至極に感じつつ、そのお気持ちに有り難く頂戴させていただくことにしました。

 一昨年には、やはりブログを通じて、上岡さん指揮のヴッパタール交響楽団の松本公演を聴きに来られたのが縁でリンゴを注文いただくようになった方もおられ、今年は十束さん繋がりと、思いがけない縁も出来ましたが、これも音楽の持つ不思議な力なのでしょうか。