カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 米朝師匠の上方落語はまだですが、志ん生、圓生、そして小さんといった昭和の名人の古典落語は順番に借りて殆ど聞いてしまった松本中央図書館のCDライブラリー。ただいくら名人芸でも、録音が悪くて聞きとり難いのが玉にキズ(瑕)。そうした中に比較的新しい録音のCDも多少はあって、中でも「さん喬&権太楼二人会」や「志ん朝ベスト」など、“さすが!”とほれぼれする程でした。
 先日、他に何か新しいCD入ってないかと久し振りに見てみると、ありました!“当代の名人大集結!”と銘打った、2014年の1月24・25の両日に行われたという「第50回特選落語会」で収録された2枚組のCDです。
CDに収録されているのは、古今亭菊之丞「親子酒」に始まり、桂文治「平林」、柳家喬太郎「仏馬」、柳家権太郎「井戸の茶碗」。そして最後に柳家さん喬「雪の瀬川」という組み合わせ。

 ネタもともかく、各師匠の冒頭に喋るマクラとネタを演じる中で途中に入れるちょっとしたクスグリと言うのか、ブラックジョークの様な話の面白さ。実にイイんですね、これが!。
例えば古今亭菊之丞の「親子酒」の中での、酔っぱらった父親の云う「宮治の落語はウルサイね」。これは当日高座に上がった人気二ツ目の桂宮治をイジったのだそうですが、そう云えば「どうらく息子」の中でも、兄弟子志ん銅が総領弟子の小銀との兄弟会で演じた「親子酒」で、「ばぁさんや、ほら、あの小銀って噺家、ダメだねありゃ。・・・うるさすぎですよ。」を思い出しました。喬太郎師匠の世間話の様なマクラもイイ、人気振りが分かります。
また桂文治師匠の賑やかな「平林」。前座噺のネタですが、サゲが独自でさすが!でした。そして、初日のトリの権太楼師匠。珍しく、マクラ無しのいきなりの「井戸の茶碗」でしたが、さすがは“爆笑王”。
また二日目のトリを務めた柳家さん喬師匠の愚痴のオンパレードの様なマクラ。弟子の喬太郎を評して、「コイツはやっぱり凄いなと思いますね。バカなのか利口なのか分かりませんモノね」。ほんわかほんわか、ホント、イイなぁ・・・。そして、そのままネタに持って行きにくかったのか、或いは本当にどのネタを演じるのか決めていなかったのか、袖にお囃子さんが未だ居るのを確認した上で、突然高座から下がっての仕切り直し(突然のハプニングも、当日の寄席の雰囲気を楽しむべくそのまま収録とのこと)での師匠十八番の「雪の瀬川」の人情噺。しみじみと降る雪が如く・・・、本当に味がありました。

 イヤぁ、さん喬&権太楼二人会のCD以来、久し振りに大いに笑って大変楽しませてもらったCDでした。でもやっぱり、音楽同様に、落語も生に限ります、演ずる噺家さんの顔が見えますモノ。
第1258話でご紹介した、松本落語会第501回例会の「さん喬&権太楼二人会」。権太楼師匠の「不動坊」とさん喬師匠は「妾馬」でしたが、思い出しますね。また機会があれば“生落語”を聞きに行きたいと思います。