カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 長女が渡米に向けて退職するためにワンルームマンションを引き払うべく、暫く生活するための必要最低限を残し、NYへ送る物と実家に送る物に分け、実家分を車で取りに行くことにしました。
彼女の借りていたワンルームマンションは虎ノ門にあり、ナント目の前には虎ノ門ヒルズ。私メも以前一度だけ日帰りで車で彼女を迎えに行ったことがあり、その時は目の前なので虎ノ門ヒルズに駐車したのですが、その自動化された近代的駐車システムに田舎モンのお上りさんは唖然とした記憶があります。今回は荷物のみを積んで、日帰りで戻って来ます。
事前に家内が手伝いに行って荷物は整理してあり、殆ど積むばかりにはなっているとのことですが、マンションには駐車スペースが無いため(目の前のヒルズの駐車場は、都度の荷物の積み下ろしでの出し入れは不可能なので)、出来るだけ路上駐車を避けるべく、付近(と言っても歩いて10分弱。一何近い駐車場は常に満杯で予約出来ずとのこと)のタイムズの駐車場を事前予約。そこに何度か往復して運べるものは運んだ上で、最後にマンション前に停めて重いモノを積み込んで帰って来る予定です。
 4月上旬の土曜日、首都高での多少の渋滞はありましたが土曜日故通勤ラッシュは無く、ほぼ予定通りに虎ノ門付近に到着し、予約した駐車場に車を停めて歩いて長女のマンションへ。家内が最後の整理や荷造りを手伝い、その間に私メが何度か駐車場との間を往復しながら、持てる範囲で荷物を車に運びます。何度も歩いて運んでいる内に、段々虎ノ門界隈の様子も分かって来ました(やっぱり車ではなく、自分の脚で歩かないと町の様子は分かりません)。
東京では桜の開花宣言から花冷えの日々もあったので、虎ノ門界隈にはまだ桜が残っていて、皆さん思い思いにヒルズに植えられた桜の写真を撮られていました。また虎ノ門ヒルズの前を予約した駐車場の方へ歩いて行くと「愛宕神社」という標識がありましたが、落語「愛宕山」の京都の愛宕神社の子社ということでしょうか。そして、彼女のマンションから歩いてすぐ、ヒルズのビジネスタワーの対面のコーナーにある一見ビル街に不似合いな古びた木造家屋が、「やぶ」、「更科」と共に江戸前蕎麦の御三家のひとつ「砂場」です。屋号は「大阪屋」で、その起源は秀吉の大阪城築城時の砂場に由来するという店。以前来た時は道路拡張に伴う移動(曳家方式)のための工事中で休業していましたが、それも終わって現在は営業中。昼時近くになってひっきりなしにお客さんが入店したり、写真を撮ったりしていました(斯く言う私メも)。信州から来て(写真だけで)蕎麦はイイかな・・・というのも、以前家内がパート勤めの時、東京出張の際に社長さんが「せっかくだから」と神田の「やぶそば」へ連れて行ってくれたそうですが、(蕎麦だけにはウルサイ?信州人にとっては)「全然美味しくなかった」由。

 とりあえず歩いての荷物運びが終わったので、「先にランチを食ベよう」とのこと。長女が、たまにしか来ない私のために前回来た時に全員に好評だった、ビジネスセンター地階のインド料理店(「エリックサウス」という南インド料理店でしたが)を予約しようとしたら、残念ながらこの日はお休みだったとのこと。「それじゃあ」と、以前娘が絶賛していた洋食「平五郎」をリクエストするも、こちらも土日は定休日の由。それに、2年前「孤独のグルメ」に登場して以降は以前にも増しての行列で、食べるのもなかなか難しいとのこと。彼女のマンションからすぐ近くで、コロナ禍で出社出来なかった頃に偶然“発見”して気に入って何度も食べに行ったらしく、「今日、何か撮影していたんだヨ!」と言っていたのが、その「孤独のグルメ」のTVロケだったのだそうです。その謂わば常連の彼女も、月一のカニクリームコロッケだけは何度もチェレンジするも既に品切れという時が続き、漸く一度だけ食べられたのだとか(だから、TVではいつでもある様な感じで井之頭五郎が注文するシチュエーションはヤラセなのだとか。しかしストーリーが、毎回「腹が減った!」と偶然見つけて飛び込みで入った店・・・という設定なので、そこは致し方ないですね)。
 ワンコたちが待っているため、東京にそう長居も出来ません。そこで虎ノ門ヒルズのビジネスタワーに在るたくさんのお店が集結した「虎ノ門横丁」に行って食べることして、エリアをぐるっと廻って、色んなジャンルの店が屋台風に軒を連ねている中で、選択権を委ねられた私メが選ばせてもらったのが「香港焼味酒家」という香港料理の店。現場香港のシェフが調理するその店看の板メニュー?の海老ワンタン麺が、何となく赴任していたシンガポールを思い出させてくれる様な感じで惹かれた次第。
海老ワンタンヌードル一杯が優に千円しますので、都心でも最上位クラスの虎ノ門という一等地の賃料を踏まえれば当然かもしれませんが、それにしてもちょっと高いかな。でも、単なるラーメンの中華麺とは異なる、東南アジア独特の細く縮れたコシのある麺。しかし現地からの直輸入ではなく、色々試した結果という日本国内での特注麺であれば、それも“むべ”なる哉・・・。
でも味そのものは、しっかりと香港や懐かしいシンガポールの味でした。出来れば千円超ではなく、また海老ワンタンや高級食材のシャークスフィンでもなく、ローカルフードで一般的だったフィッシュボール(要するにカマボコ風の魚のすり身団子)ヌードルやローストチキンのドライヌードルが食べたくなります。当時のホーカーセンターやチャンギ空港のフードコートで、せいぜい3~4S$でした。
お店はカウンター席も含め20席弱でしょうか。せっかくだからと、ヌードル以外にカイラン(ベビーブロッコリー)のガーリック炒めや、どうやって作るのか分かりませんが、まるできな粉のように粉末状に揚げたニンニクがたっぷりと上に盛られた豚肉の衣揚げなどの一品も頼んでくれました。どれもガーリックが良く効いていて、こういう時はコロナ対策のマスクを常にしているので助かりますね。

 食べ終わり、車をマンション前に停車して残りの荷物を後部座席とトランクに積み込んで、娘に見送られて虎ノ門ヒルズを後に、いざ信州へ。ワンコたちが待っているのでノンストップで帰りました。