カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 昨年9月にオープンした「イオンモール松本」。
オープン直後の週末は常に満車状態で、駐車待ちの車の列でアクセス道路が渋滞するなどしましたが、平日はそれ程でも無く、全体としても心配されていた程の渋滞にはなっていません。
しかし、テナントの中では県内初出店となった「いきなりステーキ」は常に行列で、なかなか行く機会がありませんでした。その後、長野、上田、諏訪と県内にも次々と出店していますし、イオンモールもオープンしてから1年近くが経過し落ち着いてきたでしょうから、平日なら「いきなりステーキ」もそれ程混んではいないのではないか?・・・と、初めて行ってみることにしました。
ランチメニューの方がコスパ的にはお得なのかもしれませんが、せっかくなので選択肢が多いディナーメニューにしました。そこで、混雑する週末ではなく、平日の夕刻に行ってみることにしました。
先日の下呂での飛騨牛に誘発されたことも手伝い、晩年まで登山前日には必ずステーキを平らげていたという「花の百名山」の著者でもある作家の故田中澄江女史ではありませんが、「年寄りもたまには肉を食べなくては!」とイワタニの「やきまる」を最近購入したことにも触発された気がします。

 行ったのは先月ですが木曜日の5時過ぎ。さすがに平日のこの時間だと夕飯にはまだ早いので、どのレストランもお客さんは殆ど居ませんでした。
お目当ての「いきなりステーキ」も、若者のグループと肉食系?の女性客、そして我々が3組目で、さすがに行列はありません。

今回は初めてですので、ここは定番をオーダー。通常のリブロース(税抜きで、グラム6.9円)と厚みのあるトップリブ(同7.3円)をそれぞれ300g。サイドオーダーとして、大根とレタスの和風サラダと私メ用には生ビールです。
待つこと暫し・・・で、テーブルにサーブされて来てからステーキソースを掛けていただきます。ソースがジューっと焼けて跳ねるので、その前に紙製のエプロンを掛ける様にとインストラクションがあります。
二つの肉を比べてみると、リブロースは謂わばワラジ状ですがトップリブは厚みがあります。双方共焼き加減は薦められたレアでお願いしましたが、ステーキ皿の鉄板プレートが焼けているので、トップリブはまだ良かったのですが、厚みが無いリブロースは次第に焼きが進み、最後の方はウェルダン状態になって肉が固くなってしまいました。
またお薦めのステーキソースは、「しょっぱ!」と思わず叫びたいほど。最初に掛け過ぎてしまい試せませんでしたが、別の甘めのソースか、或いはワサビなどの薬味も卓上に色々用意されているので、むしろ塩コショウなどのシンプルな味付けにした方が肉そのものの味を楽しめるのではいないかと思いました。
サイドメニューのサラダのすりおろし玉ネギのドレッシングは美味しかったのですが、作り置きで切ってからの時間が経っているのか、或いは切り方や保存方法に問題があるのか、しんなりしていて残念ながら大根にシャキシャキ感がありませんでした。
何度かイオンモールに食料品の買い物に行った度に「いきなりステーキ」の“大行列”を目にしていたので、今回も我々自身の期待感が高過ぎたのかもしれませんが、二人で5000円以上払うのであれば・・・、
 「うーん、もうイイよね!」
 「うん、これなら(同じ金額で)イイ肉を買って来て自宅で焼いた方がもっと
 美味しいかも・・・」
 どうやら、我々が下呂で買って自前で焼いて食べた、“あの”飛騨牛の味が“舌の記憶”として残っていたり、或いは自宅で焼いてみた「やきまる」クンでのGrain-fed (穀物飼育)ビーフ(しかもニュージーランド産ですが)が十分に美味しかったりしたことが、おそらくその感想の理由だと思われます。
・・・ということで、楽しみにしていた「いきなりステーキ」デビューでしたが、チョッピリ残念&大いにガッカリでした。結局・・・、
 「ホンジャ、またNZ産のGrain-fed (穀物飼育)ビーフでも買って来て、
 “やきまるクン”でウチ焼肉やろうかネ!?」
と相成りました次第。

 余談ながら、「いきなりステーキ」の県内初出店ほど話題になっていないかも知れませんが、個人的にはむしろそれよりも気になっているのが「串カツ田中」。長野県初出店となる松本店が6月20日に本町通りにオープンしたとか。
・・・ということで、今度は「串カツ田中 松本店」に期待していまーす!

 サッカーW杯で日本代表チームが予選グループを通過して、2大会ぶりに決勝トーナメントに進出しました。
最後セネガルとの得失点差も同じで警告数の差(フェアプレーポイント)で決まるという中で、最終戦のポーランドとの一戦での終了前8分間の時間稼ぎのパス回しに会場は大ブーイングで、試合後も賛否両論。

 そこで、スポーツファンの一人として一言云いたくなりました。
実際それをTVで見ていた私メ自身も、セネガルが一点取られて負けていたので、もしそのままで両試合が動かずに終われば日本が決勝トーナメントに進出可能と理屈では分かっていても、実際にTVの画面に向かって「オイ、一体何してるんだよっ!」と叫んでいましたから。確かに、これまでの日本には見られなかった様な試合運びに、私メも含めて皆戸惑ったのは事実だと思います。
海外の論評は総じて否定的。ただ、海外のサッカーファンは、自国チーム以外は、例えば非常にスペクタクルな試合だった決勝トーナメント初戦のフランスとアルゼンチン戦の様な面白いサッカーが見たい(前回王者で優勝候補のドイツが敗退しようが、ドイツ国民以外は関係ない)のだから、それにそぐわない試合は批判するだろうし、日本がグループリーグで敗退しようが関係無い・・・という立場です。
但し、某国のカンフーサッカーの如き、一試合24個(内イエローカード4枚)という大会最多ファウルを犯した試合をしながら、「自国は美しく散り、日本は醜く残った」などという隣国の“天に向かって唾を吐く”が如き論評には、「ほざくな!」と一括したくなりましたが・・・。

 大会2か月前になってハリルホジッチ前監督を解任し、西野監督に委ねた日本サッカー協会。それは、「参加することに意義がある」と云いながらメダル獲得を期待し、もし取れなければ(戦前煽った責任は知らんぷりで)掌返しで批判するオリンピックでのマスコミ同様に、今回のW杯もマスコミや我々国民もグループリーグを勝ち抜いて決勝トーナメント進出を期待し、だからこそハリルJのままでは絶対無理だと批判してきたのではなかったか?・・・。それを受けての大会直前の監督交代での西野Jのミッションが決勝T進出であるならば、どこかの国の様に20数個も反則を犯す試合をするのではなく、ましてや違反行為や不正などではなく、決められたルールの中でその与えられたミッションを達成したのであれば、少なくとも自国のマスコミと我々ファンはしっかりと彼等をサポートして然るべき!・・・ではないかと思った次第。
香川選手の開始早々での意表を突く大迫選手への縦パス一本で得点し、結果幸運にも1名多い布陣の中で中盤でのパス回しが可能となり、チームとしての自信を深められた初戦のコロンビア戦。その結果、内容は完勝だったセネガル戦。
であるからこそ、決勝トーナメント初戦の優勝候補ベルギーとの一戦での正々堂々とした勝利に期待します。

 東日本大震災の時は、サッカーの神様の計らいで“なでしこジャパン”が奇跡を起こし、打ちひしがれた日本に勇気をくれました。「あぁ、神様っているんだな!」って思いましたもの。
計らずも、直前に大阪での大きな地震被害で、初戦前の公式会見では西野監督とキャプテン長谷部選手からの地震被害を心配する発言から始まった西野JのW杯。今度は西野Jがパワーをくれるかも・・・。
 “ガンバレ、サムライジャパン!”
【追記】
ありがとう、西野ジャパン!
ベルギーとの一戦は本当に感動的な試合でした。でも感動だけではいけないのでしょうね。それは試合直後のインタビューに「(ベスト8進出のためには)何が足りないんでしょうね?」と声を絞り出した西野監督や、試合終了を告げる笛に、ピッチにうっ伏して泣きながら地面を両手で叩いて悔しがっていた昌子選手に象徴される様に、監督以下スタッフ&選手全員が分かっているのだろうと思います。
一次リーグの最終戦で、勝ち抜くために批判覚悟でしたたかな戦いぶりを見せただけに、2点リードした後、しかも後半だっただけに、勝ち切るためになぜ“したたかな戦い方”が出来なかったのか?を含め、“何か”足りない部分をこれから4年間を掛けて見つけて埋めて行かないといけないんでしょうね。
それにしても、長谷部選手のキャプテンシーは実に見事でした。そして、サムライブルーの選手の皆さん、本当にお疲れ様でした。

 我家の庭のシンボルツリーはプンゲンスホプシーです。
作庭してから20年以上経過して、漸く見栄えがしてきました。

 私メが最初にプンゲンスホプシー知ったのは松本空港でした。出張で松本空港から飛んだ際に、空港のエントランス前の植え込みに植えられていた何本かのプンゲンスホプシーを見て、そのシルバーブルーの葉に魅了されたのがキッカケでした。
そこで、自分で作庭するにあたり、“雑木林風ガーデン”、“ハーブガーデン”、“芝生ガーデン”の3つのエリアの中で、雰囲気的に合う芝生の中に我家のシンボルツリーとして植えようと思い、雑木林風ガーデンに植えたコナラやソヨゴ、ヤマボウシ、そして同じく芝生ガーデンに植える紅白のハナミズキを購入した際、地元のどの園芸店の店頭にもプンゲンスホプシーは無かったので、頼んで取り寄せてもらいました。
その頃は子供たちがまだ小学校低学年でしたので、シーズンにはクリスマスツリーとしてイルミネーションで飾ってあげようと思った次第です。
 プンゲンスホプシー、和名コロラドトウヒ。Wikipediaに由れば、
『コロラドトウヒ(Picea pungens)は、マツ科目トウヒ属の常緑針葉種。青色を帯びた葉色が特徴的で、別名プンゲンストウヒ、青トウヒ(blue spruce)、緑トウヒ(green spruce)などとも呼ばれる。
原産地はアメリカのコロラド州からワイオミング州一帯のロッキー山脈。観賞価値が高く、様々な園芸品種が生み出されている。』
とのこと。

 プンゲンスホプシーの特徴である青い色は、特に春先から初夏に掛けての芽吹きの頃に際立ちます。
ただ植えた最初の頃は木も小さいので枝が透き透きしていてボリューム感が無く、またせっかくの新芽もその後蛾の幼虫である毛虫がたくさん発生して食べられてしまい、10年経ってもお世辞にも見栄えがしませんでした。
その後庭の改修を園芸店にお願いし、毎年春秋2回の花壇の植栽の植え替えの際にプンゲンスホプシーも春先に消毒をしてもらっていますが、その効果で5年くらい経つと次第にボリューム感が増して来ました。
そして、漸く植えてから20年経って見事な枝ぶりで、我が家のシンボルツリーと言っても恥ずかしくないくらいに見栄えのするプンゲンスホプシーになりました。
既に15mくらいの高さになりましたので、それ以上伸びない様に先端を毎年春先に切り詰めてもらっています。
 自宅を建てた時に建築会社さんが玄関横に新築祝いとして植えてくれたナツツバキ(シャラノキ娑羅樹)が、コンクリートに囲まれた狭く(多分)浅いスペース故かその後枯れてしまい、改修時に園芸店が選んで植えてくれたのがやはり青色系のコニファー(多分ブルーヘブン)でした。
プンゲンスホプシーが15mくらいの高さでイルミネーションを飾るのが大変なので、今は玄関横のコニファーの方にクリスマスのイルミネーションを飾っています。
 花壇には他にも丸みを帯びた低木のコニファーが植えられていますが、日本でもすっかり定着し、我が国のガーデニングでお馴染になったコニファーです。

 子供たちが巣立つ前までの“我が家で焼肉!”という場合は、炭火のBBQコンロを使って母屋の中庭や自宅のウッドデッキなど屋外で焼いていました。
炭火で焼いた肉の美味しさは勿論なのですが、焼肉に限らずトウモロコシなどでも炭火焼きに優るモノがないということもありますし、また特に味付け肉の場合は煙や匂いが部屋にこもってしまうので、室内よりも屋外で焼いた方が良いということがその大きな理由です。
ただ炭火の場合は準備や片付けが大変だったりしますので、BBQコンロではなく簡単にホットプレートでという場合は当然室内となり、煙と匂いの出易い味付け肉は諦めて・・・となってしまいます。
そのため、子供たちが巣立った後は、或いは我々が年を取ったことも手伝って、我が家の食材は、肉より魚、同じ肉なら牛より豚や鶏、そして牛肉の場合も調理方法は焼くよりしゃぶしゃぶ・・・と次第に変化してきました。
仮に、時々無性に焼き肉が食べたくなったら「牛角」へ、或いは昔を懐かしんで岡谷の「縁結び」へ思い切って足を延ばして・・・と、自宅ではなく焼き肉屋さんでと相成ります。

 そんな中で、ここ数年巷で話題となって個人的にも気になっていたのが、“煙の出ない”カセットコンロ、イワタニの“カセットガス・スモークレス焼肉グリル”「やきまる」です。
話題となった当初は、品薄だったり通販では一時期プレミアムが付いたりという状態で、入手することさえ困難そうでした。他にも自宅で焼肉という場合の候補としては、深夜の通販番組でお馴染の、遠赤外線の無煙ロースターである韓国製の「ザイグル」という製品もあります。ただ一番小さなモデルでも16000円はしますので、「やきまる」の3倍の値段と高いこともあって、 その“入手困難”と片や“高価格”にいつしか関心も薄れ、その存在すら忘れていました。

 先日、旅先の下呂で買って食べた飛騨牛が大変美味しかったこともあり、
 「“自宅で焼肉”もイイじゃん!」
そこで、改めて「やきまる」クンの存在を思い出しました。
調べてみると通販でも価格が既に5千円前後に下がっています。その内、たまたま地元のホームセンターでも税抜き5千円以下で販売されていたことから、通販での5千円以下の場合に掛かる送料を考えると(カセットコンロは既に我が家にあるので、カセットボンベの追加も不要)地元で購入した方が良いと、早速ホームセンターへ行って購入して来ました。
そこで、いつものスーパーでの週末の食料品購入時に、肉売り場に並んでいたGrain-fed (穀物飼育)ビーフ(しかもニュージーランド産でしたが)を買って試しに使ってみることにしました。
30年前のシンガポール駐在時にいつも購入していたのがGrain-fed US beefで(当時Kobe-beefなどの和牛は売られていなかったので)、柔らかくて、しかも(一般的な、所謂Grass-fedと比べて)臭みも無く、本当に美味しかった(海外に行くと肉よりもネギの方が高価で貴重と教えられていた「すき焼き」よりも「しゃぶしゃぶ」の美味しさに目覚めたのもシンガポールでのUS beefのお陰でした)記憶がありました(多分日本の半値で、現地での当時の価格はGrain-fed のUS beef でS$3。価格比較は、US>OG>NZでした)。
 煙が出ないイワタニ「やきまる」のポイントは、レビュー記事に由れば、
『やきまるで煙が出ない秘密は「温度」と「脂の通り道」にあります。
一つめの「温度」の秘密は、肉の脂が煙を出さず、かつ肉がおいしく焼けるという210℃~250℃にプレートの温度をキープすること。
そして、「脂の通り道」では、その名の通り、肉から流れ出た脂をプレートに溜めない仕組み。焼肉プレートは中央がわずかに盛り上がった形状で、プレート上の脂がスムースに流れるよう放射線状の溝が掘られています。さらに、プレート外周部にはスリットがあり、流れた脂が自然に下に落ちるため、肉の脂が炎に当たることがなく、煙も立たないというわけです。ちなみに、スリットの下には脂を受ける「水皿」があるので、落ちた脂がこれ以上加熱されることはありません。』
・・・とのことです。
個人的には、この煙の発生を抑える「温度」をキープする技術と発煙の原因となる「水皿」がポイントだと感じています。特に「使用時には必ず230CC入れなさい」というインストラクションにもある通りに、煙発生を抑えるためには「水」が一番重要だと思いました。
 但し、煙は出なくとも、通常のホットプレート程ではないにしても「匂い」そのものは発生します。
食べ終わった後で吹き抜けの2階上がった時に思っていた以上に(焼いていた1階よりも)焼肉臭がしましたが翌日には全く消えていましたので、やはり通常のホットプレートと比べると匂いの発生も「やきまる」の方が少ないとは思います。従って、「やきまる」であっても、使用時には出来るだけ換気扇を使った方が良いでしょう(実際、二度目に使用した時にずっと換気扇を回したら、二階でも匂いは殆ど気になりませんでした)。
そして何より一番重要なのは、煙や匂いも勿論なのですが、ホットプレートと比べて思っていた以上に(直火効果とのこと)焼いた肉が柔らかくて美味しく感じられたことです。
今回試したのは黒毛和牛でも無く、ニュージーランド産のGrain-fed (穀物飼育)ビーフなのですが、それで十分に柔らかくて美味しい!
もし「やきまる」クンで焼肉をするのであれば、
 「これなら、NZ産のGrain-fed (穀物飼育)ビーフで十分!」
だと感じました。
また、肉と同時に玉ネギとシイタケも焼きましたが、こちらも煙も出ずにこんがりと焼き色が付く程にしっかり焼くことが出来ました。

 焼く肉の量にも依りますが、我々の様な中高年夫婦なら十分ですが、若夫婦やお子さんも含めたご家族で焼肉をする場合は、交換用に予備のプレート(定価1200円との由)がもう一枚あった方が良いでしょうし、また調理中はスモークレスのポイントとなる水が蒸発して無くならない様に水皿を定期的にチェックしながら焼いた方が良いと思います。

 余談ですが、もう一つの発見。
それは、下呂で買った「創味」の焼肉のタレ。飛騨牛で食べた時は「創味」とは思えぬ程に只ただ甘く感じて、これなら“普通の安いタレ”と変わらないと思いましたが、然に非ず!。あれは飛騨牛そのものの“脂の甘さ”だったのです。
 「あっ、“創味のタレ”って、やっぱりこんなにお美味しかったんだ・・・!」
と、今回は目からウロコ。
今回我が家にあった「叙々苑」のタレと両方使ったのですが、「やきまる」クンのお陰で、どちらも甲乙つけがたい味と納得した次第です。

 松本市制施行110周年と市美術館開館15周年を記念して、3月から7月まで、満を持して(松本出身の著名な芸術家という意味では、西郷孤月は知る人ぞ知るで、他に居ませんので)“ALL ABOUT MY LOVE 私の愛の全て”と題して開催されている『草間彌生特別展』。
間違いなく混むだろうと予測して、後半になれば空くかもと待機していたのですが、案の定6月中旬に早くも10万人突破とのこと。さすがに地元出身の世界的な芸術家(女史曰く“前衛芸術家”との由)への関心は高く、美術館の展示の入場者数としては過去最高を更新とのこと。
そこで、どうせ見るなら、期間中に行われた特別展のギャラリートークイベントとして5月と6月に計4回行われた「スライドトーク in ナイトミュージアム 草間彌生が生まれた理由(わけ)」を聴講してから観賞しようと、二人分申し込んだ第3回となる6月16日に、こちらも満を持して市美術館へ行くことにしました。

 予約した際の美術館からの事前のアドバイスで、この特別展は(何らかの事情に由り)再入場不可なので、事前に学芸員の説明を聞いてから作品を鑑賞した方が良いとのことから、17時の開催時間に合わせて美術館に向かいました。このトークイベントが行なわれる土曜日も、“ナイトミュージアム”と称して開館時間を通常よりも遅い19時まで延長しています。
生憎、この日奥さまは急遽次女の所に上京する用事が出来たため、事前に1名分をキャンセルした上で当日は私メ一人で出掛けました。
 余裕を見て出たつもりでしたが、週末故のイオンモール周辺の渋滞に巻き込まれ、入場出来たのが5分前。今回の特別展は、シニア割引きやリピート割引きはありませんでしたが、松本市民は入場料が割り引かれての1000円とのこと。有難い事です・・・。
さすがに2階の会議室はほぼ満席。お馴染の市美術館のS学芸員からのスライドを交えての解説が始まりました。余談ですが、出身地ということもありましょうが、松本市で彼女の特別展が開催出来るのは、それ以上にこのS学芸員の存在を抜きにしては不可能なのだとか。それ程までに彼女からの信頼の厚いS学芸員なのです。
S学芸員の説明に由れば、山に囲まれた信州で周囲の理解が得られぬ中で、絵を描くことが大好きだった少女草間弥生が“草間彌生”として世に出たキッカケは、1952年に当時四柱神社の一画にあった松本第一公民館で開いた初めての個展。きっと見る人も少なかったであろうその無名の少女の私設の展示会に、たまたま訪れた信州大学の医学部精神科に着任していた西丸四方教授がそれを見て、同年東京での学会で“分裂性女性天才画家”として紹介したことで東京の有名画廊やデパートなどで個展が開かれることになったのだとか。氏は、その後も精神科医としても彼女を支え続けます。
渡米したNYでの制作活動の中で、ベトナム戦争反対を唱えての前衛パフォーマンス故に、一時期は“異常者扱い”され、そして地元松本出身であるが故に、より以上に“日本の、地元の恥”として当時批判されたであろう草間彌生。その後世界的に有名となってからは、まるで掌返しの状況ですが、その松本市民の一人としては、贖罪の意識と共に、結果としての感謝あるのみ・・・です。
 今回の特別展では、幼少期の作品も含め大小180点にも及ぶ彼女の作品が展示されています。新宿に開館した私設の草間彌生美術館は数カ月先まで予約で一杯と云いますので、有難い限りです。
しかしいつもそうなのですが、絵画は別として、「傷みのシャンデリア」(2011)に始まり、暗室全体が蛍光塗料の水玉で装飾された部屋など、「凄い!」と感嘆しつつも、その場所に長く滞在していることが出来ない程の強烈な圧迫感に苛まれてしまいます。作者からの(また作者自身へも含め)“生”への強烈な問い掛けに何とも言えぬ息苦しさを感じて、居たたまれずにそこから逃れるしかありませんでした。
特に彼女のトレードマークとも云える赤い水玉や黄色いカボチャなどのミラールームは、正に圧倒される程の、ただただ“凄い!”としか言いようが無い印象です。
また広大な展示室の第2会場を埋め尽くす様な、2月大歌舞伎での松本幸四郎親子三代襲名披露興行(第1298話)に使われた祝い幕の原画「落魄の墳墓、そして私の心の貧しさだけが全身を支配しているのだ」(2017)を始めとする最新の「我が永遠の魂」シリーズは、ナント全ての作品が撮影OK(但しフラッシュは不可)で、皆さん作品の横に立って思い思いに記念撮影をされていました。
そして展示の最後に、ミラールームでの「南瓜へのつきることのない合いの全て」(2016)は室内滞在が20秒限定のセッティングですが、逆にそれ以上室内に居ることは限界にさえ感じられました。
3階の第一会場、2階の第二会場以外にも、吹き抜けの空間を使った巨大なバルーンの「ヤヨイちゃん」と「トコトン」。そして、ロビーの一角には「草間屋彌生さんと一緒に撮影コーナー」も用意されていて、ナント常駐されているスタッフの方がシャッターを押してくださるサービスも。
また、屋外には常設の松本市美術館のオブジェ「幻の華」以外にも、今回の特別展に合わせて、芝生のパティオにはあの直島と同じ「大いなる巨大な南瓜」のオブジェが鎮座していました。
 今回の『草間彌生特別展~ALL ABOUT MY LOVE 私の愛の全て~』。
学芸員のSさんに由れば、「今、先生は創作に集中されていらっしゃるので、先生の故郷である松本の美術館としては先生の創作の妨げにならぬ様にしたいと思います。そのため、暫くの間はこれ程大がかりな先生の作品展示は出来ないと思います。」とのこと。
おそらく、今後数年間は松本での「草間彌生特別展」は無いだろうと思われますので、是非この機会を逃さずに観賞することをお薦めします。
因みに今回の特別展は7月22日までの開催です。

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