カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 素人が料理をする中で、憧れる調理テクニックは“フライパン返し”ではないでしょうか。
上手くやらないと、フライパンの中の具材が外に零れてしまいますが、上手く出来ると、炒めている具材がまるで空中で宙返りをする様で、その鮮やかなテクニックに惚れ惚れします。
一見すると素人には難しいのですが、出来てみると、意外に簡単だったことに気付きます。

 最初は、どうしても具材をひっくり返そう(宙返りさせよう)として、手の動きそのものも弧を描くように回してしまうのですが、そうすると却って失敗して中の具材がフライパンから勢い良く飛び出してしまいます。むしろ弧を描くのではなく、ある程度の勢いで前に振り出したフライパンを少し後ろにさっと引くと、中の具材だけが前に行く勢いが付いているので、フライパンから離れて空中で宙返りをしてくれます。従って、必要なのは“円運動”では無くて、前後の“ピストン運動”。ひっくり返すイメージが強すぎると何となくフライパンそのもので弧を描けば良いように思うのですがそうではなく、中の具材だけが戻る様な動きをさせるのがコツ。

 この「フライパン返し」は、勿論単なる調理中の“カッコ付け”が目的ではなく、フライパンの表面を擦ることなく、炒めている中の具材を自然に混ぜ合わせることが一番の目的。従って、理に適った調理方法であることが分かります。勿論、フッ素コーティングやテフロン加工された様な最近の焦げ付きにくいフライパンでないと、動作が合っていても上手く出来ないのは言うまでもありません。またどんな料理でも必要なのではなく、チャーハンなど混ぜることが必要な料理に向いています。従って、例えばお好み焼きを裏返すのにこれを使う必要は無く、むしろフライ返しを使ってしっかりとひっくり返した方が良いでしょう。
成功したことに気を良くして奥様に聞いてみると、
 「出来るに決まってるデショ!!」
さも当然!とばかりのお言葉でした。
 「ナルホド、料理をしていると誰でも自然に身につくのか・・・」
と些かガッカリはしたものの、この“フライパン返し”。一度出来てしまうと、意外と簡単だったことに気が付きます。調理が上手くいくだけでなく、何となく、料理そのものも上手くなったような気分に錯覚させてくれますので、どうぞお試しあれ!

 我が家のガーデンスペースは4つに区分されています。雑木林風ガーデンと、階段状のフラワーガーデン。芝生ガーデンと、一坪のハーブガーデン。
 雑木林ガーデンでは、その樹下を活かして、家内が大切に世話をしているクリスマスローズと共にアジサイが何株か植えてあります。
一つは最初から植えてある真っ白なアナベル。そして清楚な青のガクアジサイが二株と、白い縁の入る青いアジサイ。ガクアジサイと縁入りアジサイは鉢植えでしたので、移植しても寒い松本では地植えで育てるのは難しいかもと、定期的に庭の管理をお願いしている園芸店の方には言われたのですが、何とか定着し今年も花を咲かせてくれました。


 また芝生ガーデンを自作した時に、その美しいシルバーグリーンの葉に憧れて、我が家のシンボルツリーとして植えたのが、園芸店に頼んで取り寄せてもらったプンゲンスホプシー。30年たって大きく成長し、正しく我が家のガーデンのシンボルツリーになりました。
 最後に余談ですが、春の花壇の植え替えで植えられていた真っ黒なペチュニア。
一般的にはブルーやピンク、白系が多いと思いますが、星形に入った黄色の縁と真っ黒な花びらとの対比に驚きました。チューリップやクロユリ、チョコレートコスモスとか黒系の花も無いではありませんが、こんなに真っ黒な花弁は初めて見ました。

 一昨年、レモンが余ったので初めて作ってみた「塩レモン」。市販もされていますが、ただレモンを切って塩をまぶして熟成させれば簡単に作れますので、自家製で十分。
元々はモロッコの伝統調味料だそうですが、最近では万能調味料として日本でも人気になっています。しかし我が家ではあまり人気が無く、一年くらいは冷蔵庫に眠っていたのですが、たくさん頂く葉物野菜(ホウレンソウや小松菜、野生のクレソンやセリなど)を大量消費すべく選んだ常夜鍋。ポン酢で頂くのですが、そのポン酢にたまたま塩レモンと好みでブラックペッパーを混ぜて食べたところ、これが絶品!以来、常夜鍋に限らず、鍋物の際は必ず塩レモンを付けダレに入れるのが必須となりました。
そのため、一年間眠っていた塩レモンもあっという間に終わってしまいました。まさに“魔法の調味料”の看板に偽りなし!で、以来我が家でも常備の鍋用調味料になりました。従って、必然的に主に使うのは寒い冬を中心に秋口から初春に掛けての鍋シーズンとなります。

 冬に大量消費するため、終わってしまった塩レモン。
そこで次の冬までに熟成させるべく、このタイミングで塩レモンを作ることにしました。
塩レモンは皮ごと使うので、表皮にワックス不使用の無農薬栽培の国産レモンに限りますが、今では普通に地場のスーパーにも国産レモンが並んでいます。そこで、新鮮な瀬戸内産の国産レモン2個。更にたまたま古くなりかけの国産レモンが安く売られていたので、鮮度の良さそうなモノを選んでこちらも2個買ってきて、今回は前回よりも多めに4個で2瓶作ることにしました。
レモンに対し10~20%の分量という塩は、前回は10%にしましたが、我が家では冬の鍋シーズンに向けて冷蔵庫に入れて長期保存をするので、今回は多めに15%強でまぶします。殺菌のために熱湯消毒をした密閉容器(一つしか空いているガラス瓶が無かったので、古いレモンの方はプラスチック容器)に入れて、発酵を促進させるべく一日一回振って先ずは常温で保存。
やはり、古いレモンの方が熟しているのか発酵が始まるのが早かったのですが、双方とも一週間程でトロミが出始めて、発酵が段々と進んでいくのが分かります。最低一日一回瓶を逆さまにして振っていると、日毎トロミが増してきて、一ヶ月も経てば完成です。そうしたら冷蔵庫に入れて保存。
 これで、来る鍋シーズンには足りなくなることなく、調味料として十分活用出来る筈。二瓶あるので、今年は“万能調味料”としてレパートリーを増やすべく、チキンソテーや鮭のムニエルなど、他のレシピにも塩レモンを使ってみようかと思います。

 美ヶ原登山での三城からの帰り道。
この日の天気予報で、場合によっては雨に降られてズブ濡れになるかも・・・ということもあり、帰路、途中にある扉温泉の日帰りの公共温泉「桧の湯」に立ち寄るべくお風呂道具も車に積んで朝出発していました。
下山して、三城の駐車場に到着したのが2時半過ぎ。多少雨に濡れたのと、それ以上に汗をかいたので、さっぱりすべく朝の予定通りに途中温泉に寄って行くことにしました。

 三城いこいの森から少し下ると、「扉温泉、桧の湯」との看板があり、近道らしい林道桧沢線を行くことにしました。
一台がやっとという感じの狭く曲がりくねった細い道です。三城からは峠の様な暫く上り道が続き、上り終わるとずっとカーブの連続する下り坂が続きます。細いこと以上に、むしろ時折拳大よりも大きな落石が道の所々に転がっているのが些か不気味です(しょっちゅう落石があるというよりも、あっても誰も片付ける人が居ない・・・ということだとは思いますが)。
三城経由での美ヶ原高原へのビーナスラインと扉温泉への分岐点から入るよりも、三城からですと桧沢線を通る方が遥かに近道だとはナビの地図からは察しられても、カーブの連続する細い道は結構な距離に感じられます。しかし、全線舗装されていて途中一台もすれ違わないのに、県道なのでしょうが、走りながら「何だかなぁ・・・?」。
地元の方々の生活道路や、林道なので、林業のための産業道路であれば納得ではありますが、税金を使って舗装する必要があるのでしょうか・・・。

 それはともかく、ナビ上で分岐からの道に合流するかと思った瞬間、急に建物が現れて、そこが「桧の湯」。週末で、しかも(地元の方も野良仕事が出来ない)雨降りのせいか、二つある駐車場の内、建物側は満車。反対側も含め十数台は駐車していて、こんな山の中なのに「恐れ入りました!」。小さな温泉なので、混んでいるかと心配です。
今や高級料理温泉旅館としても知られる「明神館」の代表される、松本の奥座敷というには(多分松本の奥座敷たる温泉は、歴代城主に愛された浅間か、或いは大和朝廷にも聞こえ時の天武天皇が行宮を置こうとした「束間之湯」の美ヶ原、はたまた「大菩薩峠」の白骨でしょうか)些か山奥過ぎるこの扉温泉。温泉旅館が2軒とこの公共温泉しかない、まさに山の中の秘湯と呼べる様な扉温泉の一番奥に位置するこの「桧の湯」は、山辺地区の森林組合が運営する天然温泉で、毎分300リトル自噴というアルカリ性単純泉。因みに、泉質の良さは“西の白骨、東の扉”とか。
一度は来てみたかったのですが市内からは些か遠く、この日帰り公共温泉「桧の湯」は地元の方々だけでなく、夏場に三城でキャンプする人たちの立ち寄り湯でもあるそうなので、美ヶ原登山で三城まで来た今回が絶好の機会でした。
この「桧の湯」は地元森林組合運営ということもあってか、入湯料が300円という破格の安さ。そのため、シャンプーや石鹸などの常備はありません。タオルなども含め、一回分の石鹸やシャンプーなども窓口の自販機等から購入することも出来る様ですが、知っていれば事前に準備して行った方が良いでしょう。設備が揃った他の日帰り温泉は通常600円くらいしますが、地元の方は勿論風呂道具持参で来られ、休憩も不要で入浴後はすぐ帰られるので、設備が無くてもこれで十分なのでしょう。しかも夕方で営業時間終了の様ですが、街灯も無い山道故、崖下への転落事故防止のために夜間は営業しない方がむしろ良いかもしれません。
 掛け流しの温泉は40℃くらいか少し温めのお湯で、神経痛やリウマチイなどの他、コップが置いてある通り胃腸病にも効くのだとか。アルカリ性単純泉で、試しに飲んでみましたが苦み等は無く、心持ち硫黄臭がする程度でした。
内湯と露天の外湯があり、露天の方がノンビリと長く入れ様にするためか、更に温め。露天風呂には、我が家の雑木林ガーデンのリフォームの際に縁石にも使われていますが、今では採掘が禁じられているという地元産の山辺石(松本城の石垣にも使われています)がふんだんに使われています。露天風呂は渓谷沿いで谷底を望むような緑に囲まれていて、如何にも秘湯感が漂っていて気持ちがイイ。地元の皆さんが温めのお湯にゆったりと浸かっておられました。
この日は10名ほどのお客さんで、殆ど地元の方々とお見受けしました。洗い場はL字型で8ヶ所(蛇口とシャワーから出るお湯も全て温泉とのこと)。湯舟を含め、我が家から一番近い豊科の公共日帰り温泉「湯多里山の神」よりも広めです。個人的には「湯多里山の神」の方が温度も高めでスベスベする泉質も好みなのですが、山に囲まれた様な秘湯感はこの「桧の湯」の方が遥かに上。緑が実に清々しくて、何とも癒される様で、この温泉の人気の程が分かる気がしました。

 少し温めのお湯ではありますが、入っているとジンワリと体も温まりポカポカとして、お風呂から上がっても汗が出てきます。
先に上がって入り口の椅子で涼みながら家内を待っていると(休憩室もありますが、別料金の300円。外に別の建物で蕎麦などが食べられる「かけす食堂」もあります)、キャンプか我々の様な美ヶ原登山からの帰りか、男女の若い方々も10人くらい来られました。家内も上がって来て、この温泉には満足した様子でした。
 入り口にサイン色紙と写真が飾ってあり、見ると「グレートトラバース3」と「田中陽希」のサイン。日付は僅か一ヶ月前の2019年5月20日。
因みに帰宅後調べてみると、百名山の「1」、二百名山の「2」を踏破し、現在陽希さんは「グレートトラバース3」として三百名山を踏破中。その「グレートトラバース3日記」に依れば、5月16日に159座目となる群馬・長野県境の荒船山から佐久を経て、18日に松本からは反対側の旧武石村からの焼山沢ルートから160座目の美ヶ原で山荘に一泊し、翌19日に美ヶ原から鉢伏山を経て20日に下山途中の朝一番でこの「桧の湯」に立ち寄ってから松本城にも登城し、たまたま市中で開催されていたクラフトフェアも覗いた由。
その後24日には162座目となる鉢盛山に登り、ナントその後で「ノースフェイス松本店」主催と言いますから本町の「信毎メディアガーデン」だと思いますが、5月26日には「交流会」が開かれ、多くの山好きが押し掛けたのだとか。それで松本滞在が長かったのですね。全く知りませんでした。
最近は有名になり過ぎて、陽希さんの先回りして待ち構えるファンも多くなったため、登山道の整備された百名山ならいざ知らず三百名山ともなると中には未踏のルートもあろうことから、事故防止のために陽希さんの予定ルートや現在地を公開していないのだそうですが、
 「あぁ、すぐ近くにいたんだなぁ・・・。そうか、百を含めた三百なのだから美ヶ原に寄っても当然なんだ・・・」
と、一ヶ月前のサインを見ながら暫し感慨に囚われていました。
因みに、陽希さんは5月末から八ヶ岳を縦走した後、6月上旬からは南アルプスに向かわれた由。

 トラバースとは直接関係の無い松本城やこの「桧の湯」までBSで放映されるか分かりませんが、少なくとも美ヶ原の様子が放送される日を楽しみにしたいと思います。それにしても、「桧の湯」に立ち寄ったおかげで、登山に関わる田中陽希さんの「グレートトラバース3」までもが身近に感じられて、事前に納得した悪天候の中での山行ではありましたが、最後もちょっぴり得した気分の今回の美ヶ原登山でした。
 「イェイ、ラッキー!♪」

 信州松本は梅雨の真っただ中の、6月22日土曜日。
翌週に「女性のための登山教室」参加を控えた奥様が、足慣らしをしたいとのことで、兼ねてよりこの時期に行くならと考えていた美ヶ原へ登ることにしました。
 我々の様な初心者は冬山や雪の残る春山は無理ですので、雪の消えた初夏が登山シーズンの解禁です。そしてその6月は、美ヶ原や鉢伏、高ボッチなど、松本から望む東山々系ではレンゲツツジの咲く時期でもあります。
日々更新されている王ヶ頭ホテルのブログ写真では、美ヶ原の頂上付近のレンゲツツジの群落は未だ二分咲き程度とのこと。今年は少し遅れているのかもしれませんが、レンゲツツジではなく翌週の奥様のための足慣らしが主目的で、週末のこの日は母がデイサービス日で昼間不在のため、母を送り出してから三城に向けて出発しました。
他の日を選べなかったので最初から覚悟の上ですが、この日の天気予報は曇りで、しかも午後からは雨。生憎の空模様ですが他の日を選べないので、展望の悪さと場合によっては午後の雨降りも覚悟の上で、私メにとっては(奥様は既に山梨や神奈川の山で行われた登山教室に参加済み)シーズン開幕となる美ヶ原登山です。
途中のコンビニで昼食を購入し、我が家から「三城いこいの森広場」の無料駐車場へは40分足らずで9時45分頃の到着。思い立ったらすぐ行ける、このフットワークの良さが松本からの美ヶ原登山の魅力です。
駐車場には3台ほどしか停車しておらず、週末とはいえ梅雨の最中でこの日の天気予報では登山客も少なかろうと納得。駐車場からは、王ヶ頭のテレビ塔はこの日は雲に隠れて望めません。
駐車場のトイレが壊れていたので、センターハウスのトイレを使わせていただき(勿論、こちらも有料です)、9時55分にいざ出発。今回も百曲がりコースです。

 オートキャンプ場のサイトを抜け、登山道を沢沿いに広小場へ。
暫くはなだらかな道が続くのですが、梅雨で湿度が高いせいか何だかいつもより汗が出ます。そのため下にタイツをはいていて暑かったので、広小場の東屋でスパッツの下半分を外して半ズボンにして、水分補給をしていよいよ百曲がりの急登へ。
この季節の美ヶ原登山は初めてですが、実に緑が濃い。梅雨時で先週も雨が降ったのか登山道は結構湿っていて、場所によっては水溜まりがあってぬかるんでもいます。
梅雨時で多分湿度も高いのでしょうか、予想以上に熱くて汗が出て、何度もタオルで汗を拭います。そのため思いの外バテテしまい、何度か立ち止まって水分補給をしながら樹林帯を抜けると、漸く風が通る様になって体感上も涼しく感じました。それにしても、美ヶ原では今回登るのを初めてキツく感じました。奥様によれば、それも日ごろの鍛錬不足で怠けているせいだからとのこと。
「イヤハヤ、面目無い・・・」と、些かトホホでありました。
そのため百曲がり園地へは、今回は三城の登山道入り口から1時間40分掛かりました。事前の予想通りで、この日は全く展望が利きません。周囲360度全て雲の中です。従って、アルプス展望コースを行っても何も見えないので、園地から塩くれ場を経由して、牧場内を通って王ヶ頭へ向かいました。
既に牛の放牧が開始されていて、塩くれ場にはハイカーの一団が休憩されていましたが、梅雨時のためか週末ですが観光客も疎ら。美ヶ原のシンボル「美しの塔」も霞んでいましたが、歩いている人はあまり見当たりませんでした。
美ヶ原の最高地点となる2034mの王ヶ頭。東側の谷間から雲が流れて来て、半分は雲に隠れていて全く展望が利きませんが、これも梅雨時ならではの景色なのかもしれません。初めて来られた観光客の方々にはこの日の天候は気の毒ですが、いつでも来られる我々の様な地元民にとっては、これはこれでこの時期ならではの風景として楽しむべきなのかもしれません。
しかし“この時期ならでは”である筈のレンゲツツジは、百曲がりの登山道脇に何本か咲いてはいましたが、登山道や塩くれ場からの高原の牧場内には全く見ることはありませんでしたし、小梨(ズミ)の白い花ももう散っていました。
車でビーナスラインを来ると見られるのかどうか分かりませんが、このエリアのレンゲツツジの群落は王ヶ頭より先の自然保護センター周辺とのこと。しかしホテルのブログ情報に拠ると、山頂はまだ二分咲き程度で見頃を迎えてはいないそうです。従って美ヶ原高原のこの展望コースエリアの花の見頃は、高山植物の咲く盛夏からマツムシソウなどが咲く秋口になるのでしょうか。
 王ヶ頭ホテル前の広場に12時半過ぎに到着。少ないとはいえ、観光客の皆さんはホテル内の食堂で、また登山の若いグループの方々は広場のテーブル席でお湯をバーナーで沸かしてカップヌードル等でそれぞれランチ中。
我々も広場に座って、コンビニで買ってきたサンドイッチやオニギリで昼食です。それにしても、前回は二本(1.3リッター弱)持って来て殆ど手付かずだった水が、今回は予想以上の発汗で750㏄入りの水筒はもう殆ど空。そこで、念のためにホテルの自販機でミネラルウォーターを購入して、帰路用に水筒へ補充しました。
昼食を取っている間に雨がパラパラ落ちて来ましたし、この日の天候では王ヶ鼻へ行っても北アルプスの眺望は全く望めないため、午後一からの雨予報だったこともあり、ここ王ヶ頭から早めに引き返すことにして、せっかくですので、帰りはアルプス展望コースで百曲がり園地までのトレッキングを楽しむことにしました。
 尾崎喜八『高原詩抄』に収められた「松本の春の朝」第6編(昭和17年)に、
  『(前略)夜明けに一雨あったらしく、
       空気は気持ちよく湿っている。
       山にかこまれた静かな町と清らかな田園、  
       岩燕が囀(さえず)り、れんげそうの咲く朝を、
       そこらじゅうから春まだ寒い雪の尖峰が顔を出す。
       日本のグリンデンヴァルト、信州松本。(後略)』
果たして、松本の市街地に尾崎喜八の言うイワツバメが舞っているかは定かではありませんが、この王ヶ頭ホテルに巣作りをして群舞する様に飛び交っているのは正しくそのイワツバメでしょう。
生憎この日はコース名の様なアルプスの峰々の展望は全く利きませんでしたが、さすがに美ヶ原でのトレッキングを楽しむ方々は皆さんこのコースを歩かれていて、途中何組もすれ違いました。
烏帽子岩を過ぎてもう少しで園地という所で、先方から歩いてくる30人ほどのグループが見えたので、少し広い場所ですれ違うために我々が待っていました。
登山らしく、スイマセン、コンニチワと思い思いに挨拶を交わしながらすれ違います。我々同様に三城から登って来られたという、若い女性が多いグループでした。すると家内が突然「アッ!」と言って、グループの中に居た女性の方と挨拶を交わしています。そのため、私はてっきり「女性のための登山教室」でこれまでにご一緒された方なのかと思ったのですが、続いて家内が「この前、鈴木さんの講演も山岳フォーラムでお聞きしました!」というので良く見ると、ナント、山好きが高じて東京からご家族で移住されて今松本市の観光大使にも任命されている松本在住の漫画家、鈴木ともこさんではありませんか!
その一行は、鈴木さんの山好きのお仲間か、彼女を中心とするトレッキンググループでした(後で調べると、トレッキング雑誌主催のイベント中での「鈴木ともこさんと行く美ヶ原トレッキング」だった由)。
続いて百曲がり園地では、我々よりも遥かに年配の方々の男女のパーティーが、やはり百曲がりコースを登って来られました。「今日はどうでした?」という質問に、コースの様子をお話ししました。お話によれば、先頭におられた(失礼ながら80才位のお歳とお見受けしました)年輩の女性の方が、この美ヶ原でナント百座目なのだとか。「日本百名山全山登頂達成!」となる最後100座目が、この美ヶ原なのだそうです。そこで思わず、
 「おめでとうございます!」。
お話によれば、(車で来る?)他の方々と山本小屋(美ヶ原高原ホテル)で合流してから(?)頂上となる王ヶ頭へ記念登頂されるのだとか。そこで、きっと百座達成記念のバナー(横断幕)を掲げて、記念写真を撮影されるのでしょう。
それにしても、体力のあるお若い頃に槍や穂高などは登頂されたのでしょうが、80歳近くになって百座登頂達成されるとは凄い!の一言。(山好きの方々の中では、決して珍しいことではないのかもしれませんが、我々初心者にとっては夢の様な)偉業達成の機会に遭遇させていただいたことに感激し感謝でありました。
 ご挨拶をして、我々は帰りも百曲がりコースを下ります。
暫くすると男性の方が登って来られ、道を譲るべく待っていると、ポツポツと遂に雨が振り出しました。
 「午後は雨予報だったので、我々は王ヶ鼻も行かずにこれから下るところです。」
と言うと、その男性も、
 「ヨシ、私も引き返します!今日はもう行かない方が良さそうだ・・・。」
と、もう少しで百曲がり園地だというのに、さっと踵を返して一緒に下り始めました。こういう判断(≒引き返す勇気)が山登りではきっと重要なのでしょう。
その方の下山しながらのお話によると、この日は燕岳に登るつもりで早朝中房温泉に行くと、既に夏山シーズンか第一駐車場は満車だったそうですが、ラジオが雷の電波を拾ったようなバリバリという雑音がしたために西山への登山は諦めて、逆側である東山の美ヶ原に来たのだとか。
美ヶ原登山はどれ位標高差があるのかという質問にお答えすると、片道2時間弱で三城の登山口から王ヶ頭まで500m程の美ヶ原に対して、“北アルプスの女王”2763mの燕岳は、中房温泉の登山口から燕山荘(2712m)まで片道5時間で標高差1260mとのこと(高さも登山時間も2.5倍です)。
この日は足慣らしのトレーニングと言われるこの男性。お聞きすると、地元在住のお医者様で、登山が趣味のため、地元だけでなく松本エリアの東筑の中学校から依頼されて、学校登山に学校医として毎年何校も同行されるのだとか。この日も、近く燕岳への学校登山に同行するための予行演習として日帰りで燕岳へ登る予定だったのを、登山口で雷雨を予想して断念し、反対側の美ヶ原へ(休診日である週末での)トレーニングへ来られたのだとか。
「北アルプス3大急登」とも言われるキツイ燕岳への学校登山が最近は減って(最近の若い先生は登山未経験でもあり)、代わりに、例えば山頂近くまでバスで行ける乗鞍岳やロープウェイで行ける木曽駒などへ登る学校もあるが、どちらも3000m級の山であり、いきなり2500m地点から開始する登山は逆に高山病への注意が必要とのお話に、ナルホド!と、登山が趣味の先生らしい、色々医学的な興味深いお話をお聞きしながら一緒に山を下りました。
そこで、この日の天候でバテタことや、昨年唐松でへばったことをお話しすると、こまめな水分補給が不可欠とのことで、この日も先生は習慣で水2リットルを持参されているとか・・・。
 「ちょっと重いんですけど・・・ネ」
ナルホドと、この日美ヶ原なら・・・と750㏄しか持参しなかった私メは大いに反省することしきりでした。
雨が本降りになったため、カッパを着るべく、我々は先生とは別れリュックから雨具を取り出しました。この日の雨は、山沿いのためか(松本地方の)予報以上の本降りでしたが、三城の駐車場に着く頃になって漸く小振りになりました。
 残念ながら天候が悪く、展望は全く利かぬ様な悪条件での美ヶ原登山でしたが、地元在住とはいえ、漫画家の鈴木ともこさん、百名山達成記念の方、そして学校登山に毎年同行される学校医の先生・・・。今回多くの山好きの方々にお会いして、パワーや山好きの方々の気持ちの一端に触れさせていただいて、風景への感動とはまた一味違った清々しい山の良さが感じられた、そんな素敵な山旅でした。

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