カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 1月中旬の小正月の三連休。休日は(奥様が起きて来ない故)チロルとナナの散歩に出掛けるのが遅いので、それまで間、NHKのBSプレミアム「特選オーケストラ・ライブ」を久し振りに見ていました。

 この日は、10月末に行われたという「NHK音楽祭」からのロリン・マゼール指揮のN響演奏会です。協奏曲のソリストとして登場したのは、お母上が日本人でミュンヘン出身の若手人気ピアニスト、アリス=紗良・オット嬢。演奏を見るのはこの日が初めてです。以前NHK-FMの「きらクラ」にゲスト出演されていた時の、「演奏会は一回限りなので、無難に弾くのではなく、ミスを恐れず常に挑戦したい」という趣旨の、非常に若者らしい純粋なコメントが印象的でした。

 この日のプログラムは、グリーグのピアノコンチェルト。
マエストロとN響の好サポートを受けながら、鮮やかなブルーのロングドレスに身を包んだ、痩身で清楚な姿からは想像できない豪快なffと、繊細なpp。ピアノが休みの時は、指揮者だけではなく、オケの演奏をじっと見つめていたり、時々客席を眺めたり。音だけではなく会場の雰囲気の中に身を委ねようとしているのでしょうか。
ミスタッチや、勢い余ってオケとのテュッティが一瞬ズレたりしたのもご愛嬌。演奏からは、彼女の持つ特性であろう、純粋さと一途さと、そして男勝り(?)の潔さが伝わってきます。演奏が終了し、ブラボーが飛び交う中で立ち上がってお辞儀する彼女。「えっ、裸足!?」袖に下がり、またカーテンコールで登場する時もやっぱり裸足・・・。裸足のピアニスト、初めて見ました。その方がペダルの感触がしっくり来るのでしょうか。でも、ステージにもよりますが、板張りのトゲが刺さったりしないのかと要らぬ心配をしてしまいした。でもイイなぁ、あっけらかんとして。うん、カワイイ!。
アンコールに、リスト「パガニーニの主題による大練習曲」から第5番「狩り」。お見事でした。

 巨匠マゼールの指揮振りは、最初のレオノーレから、その求心力はさすが!と思わせます。ミュンヘンPO主席指揮者就任をミュンヘンっ子が喝采を以って迎えたという記事を最近見ましたが、決して大袈裟な動作では無くとも、「ナルホド、カッコイイ!」と唸らせる指揮振りでした。
N響もマエストロのリードに熱演で応えます。散歩から戻って終楽章だけを聴いた、チャイコの4番の快演でのカーテンコールに応えて、アンコールには何とグリンカの歌劇「ルスランとリュドミラ」の序曲。既に御年80くらいかと思われますが、派手なアップテンポの曲を、そんな心配を吹き飛ばすようなエネルギッシュな演奏で応えます。聴き応えだけでなく見応えもあり、その場に居合わせた幸せな聴衆からの鳴り止まぬブラボー混じりの喝采も至極当然と感じられました。放送は途中でフェードアウトしましたが、当日は何度もカーテンコールが繰り返されたことでしょうね、きっと。

 余談ながら、この日のコンマスは篠崎“マロ”さん(史紀。NHK-FMで、“まろのSP日記”と称して、年数回SP盤紹介番組のMCもされています)。指揮者やソリストが袖に下がるのを見届けてから、次のカーテンコールに応えるまでの間の着席の際、振り向きざまに必ず燕尾をさっと翻して座る所作がなかなか決まっていて絵になるんですね、これが。ということで、これまたカッコイイ!

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