カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 松本市の“県文”ことキッセイ文化ホールで年3回程開かれている「まつぶん新人寄席」。
1月28日が第17回だそうですが、私自身は今回で2回目の観賞です。「あしたは真打ち」と銘打たれているように、二ツ目さんだけが高座に上がられます。県文といってもホールではなく、200名ほどのパイプ椅子が並べられた会議室です。二ツ目さんとはいえ、4席聞いての木戸銭(チケット)1000円は格安ですが、シニア(60歳以上)と学生は更に半額の500円とのことで有難い限りです(但し、そうとは知らず、前回は1000円で購入しました)。
 今回は落語協会会長である市馬師匠のお弟子さんの柳亭市弥さんがトリ。入船亭小辰さんは扇辰師匠のお弟子さん。お二人共2012年に一緒に二ツ目になられたそうです。また市弥さんは、イケメン落語家としても特に若い女性に人気なのだとか。
当日、会場は前回の1.5倍の入り。地方にまで“落語ブーム”の波が押し寄せつつあるのか、たまたま今回が人気の二ツ目さんなのか、続々とお客さんが来られ、スタッフの方が都度椅子を運んで来られて列がどんどん増えて行きました。ただ、客層はやはり我々の様な年配者が中心で若い方はまだ少ないので、そこは未だ都会とは違うのかもしれません。しかし、入りが良ければ、今後も続くでしょうから盛況で何よりです(仲入り後に、この日の来場者232名との紹介がありました)。

 この日のネタは、前半に市弥さんが「ん廻し」と小辰さんが「転宅」。仲入りを挟み、後半に小辰さんが「松山鏡」、トリに市弥さんが「妾馬」という演目でした。勿論、CDやTVを除き、生落語で聞くのは初めてのネタです。
個人的に感心したのは、入船亭小辰さん。声に張りがあり、トーンも高めでイイ声です。ですので、女性を演じても艶っぽさが声に感じられます。そして落語とは関係ありませんが、ナント、お姉さまが松本市に嫁いでおられるのだとか。
また柳亭市弥さんは、いかにも女性に人気のあり気なイケメン噺家で、NHKラジオの「日曜バラエティー」にもレギュラー出演されているのだそうです。前日には、我が母校岡田小学校で子供たちへの「落語ワークショップ」をされて来たのだとか。ホント、ありがとうございます。今の子供たちは幸せですね、SKOが聴けたり、落語を聞けたり・・・。

 市弥さんの「妾馬」を聞いて、CDで聞いた志ん生や志の輔といった大看板の噺ではなく、「どうらく息子」で二ツ目に昇進した夏の輔が演じた“若い”「妾馬」を思い出しました。夏の輔が、寄席に出演する兄夏の輔にその日の大学合格を知らせに来た弟(落語家になると夏の輔が家を飛び出したため、二ツ目昇進の節目にも寄席にお祝には来ない両親に代わって、合格発表の外出先からそのまま兄の高座にお祝に駆け付けた弟)を祝って、「妾馬」での妹を想いやる兄八五郎を通じての大ネタでした(それを知った師匠達も次々とお目出度いネタを高座に掛けます)。それにしても、「志の輔らくご」で聞けなかった「妾馬」にここで出会えるとは・・・。感謝、感激でありました。
まさか、順番で大ネタを演じられない小辰さんに代わって、会場に聞きに来ておられたという松本に嫁がれた小辰さんのお姉さまに「小辰さんは頑張ってますヨ」と聞かせたかった噺だったのだろうかと、独り穿った見方をしておりました・・・(んな訳ないか・・・!)。
でも小辰さんが演じた「松山鏡」(越後松山という設定)も方言が何ともホノボノしていてとても良かったです。
お二人共大変楽しみな二ツ目さんでした。また松本に来演される日を楽しみに、「待ってまーす!」
【追記】
次回の「まつぶん新人寄席」は、県文の開館25周特別公演として、二ツ目時代に新人寄席で来演されていた柳家小八(二ツ目「ろべえ」から改名)と三遊亭ときんのお二人の今春の真打昇進披露興行とか。イヤ、大いに楽しみです(何しろ、当日の前座として今をときめく春風亭一之輔師匠が一席演じられるというのですから)。
また、ちょうど「どうらく息子」でも錫楽が真打に昇進し、師匠の銅楽からの愛情溢れる口上が描かれていたところ。小八さんの師匠「喜多八」さんは昨年急逝されたとか。師匠に代わり、同じ小三治門下の〆治師匠が口上を述べられるようです。しかも師匠喜多八さんのご命日から10日後とか。いやぁ、泣けるなぁ・・・。