カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 良く、音楽ファンの著名人や音楽評論家などへの質問に、
「もし、無人島で暮らすとして、たった1枚しか持って行けないとしたら、どの曲を持っていきますか?」
というような質問がされますね。

 人間、悲しい時の慰めや、元気を出したい時の励ましや、時として心落ち着けるべき癒しや・・・。更に個人的には、加えて夜一人静かにグラス(私は冷酒ですが)を傾ける時も音楽は大切な要素です。
そんな様々なシチュエーションで聴きたい曲はそれぞれ異なりますが、それを全て満たさずとも、最大公約数的に出来るだけ兼ね備えたたった一枚を選ぶとなると・・・。難しいですね。クラシックだけではなく、ジャズもイイし・・・。

 もし私が選ぶとすると、やっぱり大バッハの傑作『無伴奏チェロ組曲』でしょうか。我が愛聴盤は、ミッシャ・マイスキー。そして、アンナー・ビルスマの全曲録音盤。
慰めにもなるし、元気も出るし、癒されもします。冷酒片手に夜一人・・・。イイなぁ・・・。
そう言えば、そんなにクラシック音楽好きでもない長女も、高校時代、受験生の時だったか、マイスキーのCDをずっと部屋に持って行って時々聴いていたようですが、気持ちが分かるような気がします。しかし、私がこの曲を「イイなぁ」と思い始めたのは、30代になってからなんですがネ・・・。
残念ながら年初の家内の骨折騒ぎで流れてしまいましたが、二人で旅行を画策していた時の彼女からのメール。「アーノンクール行く?」でしたが、その次は「ミッシャ・マイスキーがサントリーホールに来るよ!」でしたっけ。別に気にしなくてイイのに(でも、マイスキーかぁ・・・)。

 18世紀に書かれた曲とは思えず、時代を超越した普遍性を持つ不思議な曲。宇宙的な拡がりすら感じます。
カザルスが“発掘”し、広く世に広めたことはつとに有名ですが、それまで“埋もれていた”というのが信じられません。20世紀になって、漸く時代が追いついたのか?咽び泣く様な旋律と渋いチェロの音色が、現代人の、とりわけ日本人の感性に合うのか・・・?

 さて、リンゴの発送もひと段落したので、今宵奥様は久し振りに娘たちの所に上京して不在。
今夜はグラス片手に、一人静かにマイスキーでも聴くとしますか・・・。

 今週末、二夜連続で、ザ・ハーモニーホール(松本音文小ホール)で全曲演奏会(チェロ独奏:ジャン=ギアン・ケラス)が開かれます。