カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 2月25日の月曜日の朝。通勤の車の中で聴いていたFM放送のニュースで、N響の桂冠名誉指揮者でもあったウォルフガング・サヴァリッシュさんの訃報を知りました。89歳とのことでした。
初共演から実に40年に亘り毎年のように指揮をされたマエストロは、放送中にN響からのコメントでもありましたが、 「N響の“育ての親”のような存在」でもあり、また最も団員から敬愛された指揮者だったそうです。

 私自身は、70年代くらいからでしょうか、TVでN響を指揮される姿に長年接してきました。思えば、マタチッチ、シュタイン、スウィトナー、サヴァリッシュと、独墺系の世界的マエストロたちが綺羅星のごとくN響の指揮台に登壇されていました。中でも大好きだったマエストロ・スウィトナーが3年前に亡くなられた時も大変ショックでしたが、これで、自分の中で一つの時代が終ったような気がします。もう誰も居なくなってしまいました。
N響は、長年に亘り独墺系中心の指揮者に鍛えられたために、そのサウンドは重厚でややもすれば保守的と批判もされ、その結果その後のデュトワさんが新たな色彩を加え鮮やかに変化させたと評価されてもいますが(ようですが・・・)、私自身の好みもあって、スウィトナーさんやサヴァリッシュさんが振るN響のドイツ的な響きは、個人的にはむしろ好きでした。

 マエストロ・サヴァリッシュは、フィッシャー・ディスカウ等のドイツ・リートの名伴奏者としても活躍されたように、ピアニストとしても一流で、またバイロイトの指揮を当時歴代最年少で振られたと記憶しています。
そのドイツ出身の若き天才指揮者は、帝王カラヤンにその才能を疎まれたのか、ドイツ出身の正統派でありながら結局BPOには呼ばれず、些か派手なフィラデルフィア・サウンドというイメージにはそぐわないように感じましたが、後年には団員からの“三顧の礼”でフィラデルフィアPOの音楽監督に迎えられたそうです。

 指揮振りは端正で、見た感じは穏やかな正にジェントルマン。雰囲気は、音楽家というよりも学者然としていて、むしろ見た目はバンカーというか企業経営者のような雰囲気でした。

年を経て、端正さにいぶし銀のような重厚さが加わり、SKドレスデンを振られたシューマンの交響曲は往年の名盤(但し、1972年録音とありましたので、まだお若い御年47歳での録音でした)であり、また我が愛聴盤でもありました。このところプレーヤーの調子が些かおかしくて、残念ながらLPが聴けませんが、マエストロの指揮振りは(N響との演奏でもそうだったかもしれませんが)大向こうを唸らせるような派手な演奏ではなく、背筋を伸ばし聴く人の心に染み入るような誠実な演奏だったように思います。

 謹んでご冥福をお祈りします。どうぞ、安らかにお眠りください-合掌

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