カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 温泉の後、久し振りに「勝味庵」に向かいました。茅野市宮川にある“とんかつとイワシ料理”の「勝味庵本店」です。
思えば、この日は改元しての初めての天皇誕生日。せっかくの連休なのに、残念ながら新型ウイルス禍で普段よりも旅行客は少ないとはいえ、そこは三連休ですので少なくとも平日よりは混んでいる筈。
 ということで、開店時間の11時半に合わせて向かったのですが、到着すると既に行列で、20台程ある駐車場も残り数台。そして、呼ばれる順番を持っている間に駐車場は満杯になりました。殆どは諏訪や松本などの地元ナンバーばかりですが、県外ナンバーの車も数台。茅野という場所柄、観光客の一見さんというよりは蓼科の別荘族の方々だろうと拝察しました。因みに、3月末に茅野市内に東信が本拠のスーパーマーケット「ツルヤ」が初出店するのですが、軽井沢に近い御代田町の店舗同様(例えばチーズ類など、他の店舗とは全く品揃えが違うのだとか)、茅野店も別荘族相手なのだそうです。
 諏訪エリアの飲食店では、茅野のビーナスライン沿いにも蕎麦屋はたくさんありますが毎回蕎麦では飽きるでしょうし、またリゾートエリアにもジビエやビストロ系の有名店もありますが毎度毎度は厳しいでしょうし、あとは諏訪岡谷のウナギくらいなので、ファミレス(すかいらーく創業者兄弟は諏訪出身)やラーメン屋さん(餃子のテンホウは諏訪中心の中華チェーン)を除けば他にこれぞという店は余り無いので、分かりづらい場所に在るこの店にも地元を良く知る別荘族の方々なら多分来られるでしょう。それにしても、決して便の良い所でもないのに、しかも車でしか来られないのに、いくら他に行く処が無いとはいえ、この繁盛ぶりは大したものです。
その後も、何台も車が入って来るのですが、駐車場が一杯で諦めて帰って行く車が多い中で、玄関先や路上に停めて店舗に入って行く方も・・・。すると、暫くしてたくさんの箱を抱えて来られました。どうやら、事前に電話でお弁当を注文されていて取りに来られたようです。自宅の場所にも寄りますが、これなら多少冷めるとしても待つことも無く食べられますのでグッドアイデアだ思いました。

 さて、テーブル席に案内されると直ぐに取り皿やゴマの入ったすり鉢、野沢菜漬けなどの小鉢が運ばれて来ました。待っている間に、いつもの様に、お義母さんと家内がミックスフライ、私メには鰯定食、そして季節限定のカキフライも一品で追加して既に注文してくれてありました。
そこで、ゴマをゴリゴリと摺って待ちます。お母さんによれば、木曽檜のすりこ木は本数が限られるので、ゴマをすり終われば回収して他のお客さん用に使うのだそうです。摺りたての何とも香ばしい香りがします。単に摺りゴマでサーブするよりも、待つ間の時間つぶしも兼ねてなかなか良い趣向だと思います。
 たっぷりの千切りキャベツも。ご飯とシジミのお味噌汁もお替りOK。
鰯定食の、ショウガ醤油で食べる刺身はプリプリ。ポン酢での揚げ物、フライもさくさく。鮮度の良さが分かります。カキフライも岩ガキかと見紛うほど大粒。どれも確かに旨い!前回同様、店のイチオシのトンカツは当然として、山国信州で、このイワシとカキの鮮度なら文句なしどころか大満足。
築地、松本、甲府の市場から都度新鮮なイワシを毎日買い付けているのだそうですが、需要さえあれば、山国でも海浜に負けぬ鮮度で食べられるのだと納得しました。
そういえば、昔、松本市内の割烹での忘年会の時、その店の売りである“活魚”の旨さに感動してご主人にその旨感想を伝えたら、お客さんの需要次第で、見合うコストを払って食べてもらえれば、松本だってこの程度の魚はちゃんと食べてもらえるのだと教えてくれました。だから、時間とお金を掛けてでも、長野や伊那谷からもわざわざ食べに来るお客さんもいると仰っていましたっけ(第581話参照)。

 それにしても、タイやヒラメならばいざ知らず、鰯料理です。しかも同じ庶民の魚である鯵よりも更に足の短い鰯です。確かに、過去に一度だけその日イワシが確保出来なかったらしく、鰯ではなく鯵だった時もありましたが(三昧にはならず、刺身とフライでした)その意味で、いくら需要次第とはいえ、フム、「勝味庵」恐るべし! そして、女将さん始めスタッフの皆さんの気持ちの良い接客もこの店の人気の理由でしょうか。今回も、
 「ご馳走さまでした!」