カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 最近、後継者問題も含めて、長い間親しまれて来た老舗店舗の店じまいが目立ちます。
松本でも、3年ほど前に土蔵造りで親しまれていた中町のカレーの「デリー」が閉店してしまいました。確か、私が中学生くらいの頃開店したと思います。カレーではカツカレーの「たくま」も閉店してしまいました。
“蔵の街”中町に相応しいデリーの建物は、松本民芸作家のギャラリーとして再出発するとのこと。
 最近地元紙で、大名町にある古書店「」が閉店するという記事を見ました。「青翰堂」は古本だけでなく、切手や古銭も扱っていて、切手収集に熱中していた小学生の頃、お年玉やお小遣いを貯めては、「見返り美人」や「月に雁」に代表される切手趣味週間の切手やや国際文通週間の「東海道五十三次」の切手など、自分が集める前に発行され値段が高くなっていた切手を一枚、また一枚と買い集めるのが夢で、買えるだけのお小遣いが溜まると、それを握りしめて自転車に乗って「青翰堂」まで勇んで買いに行ったものでした。
その「青翰堂」は、松本城天守を模した三層の建物。閉店を知らせる記事に依れば、
『「若い山バトの羽」を意味する「青翰」。なじみだった画家が名付けた。時代の流れを読み、新たな感覚と価値観を提案する店に―との思いが込められている。松本出身の花岡重雄さん(故人)が終戦直後、中心市街地に創業した「花岡書店」が前身。現在地に移転したのをきっかけに現店名に変更した。
郷土誌、歴史、美術書、文学書、和紙を糸でとじた明治時代を中心とした「和本」など学術関係の他、漫画、女性向け雑誌なども置く。古い記念切手や海外の切手、戦中の絵はがきなども扱った。
国宝松本城天守が1950~55年の「昭和の大修理」で覆われ、姿を見られなくなったのを寂しく思った花岡さんが、それまでの店舗を現在の形に建て替えた。「祖父(重雄さん)は商売好きでサービス精神旺盛だった。人が思い付かない、すごいことをやったなと思う」と2代目店主、頼充さん(84)の長女(56、山形県)。
頼充さん夫妻が高齢となり、経営が難しくなったため店を畳むことに。頼充さんは「約70年の長きにわたり、多くの人に来店してもらい、感謝しかありません」。借り手は既に決まっており、貸店舗として再出発する。』
私も、昭和の大修理で松本城の天守閣が見られない観光客のために、店舗を松本城を模した三層のミニ天守閣に改築。街の名物として、店をバックに記念撮影をしていくお客さんが絶えなかったそうです。
私メは切手だけで古書を購入することは無かったのですが、今は亡き先代の店主さんには子供の頃お世話になりました。

松本城に行った折、大名町まで足を延ばして「青翰堂」まで行ってみました。前日が最終営業日だったらしく、店は閉まっていて中に入ることはかないませんでしたが、子供の頃のお礼をして帰って来ました。
「子供の頃お世話になりました。長い間ご苦労様でした」

 旧制高校があったからとはいえ、以前の“学都”松本は地方都市としては異常なほど本屋さんが多かったのですが、少子化やネット社会、そして子供たちがゲーム依存で本を読まなくなったことも手伝って、本屋さんがどんどん減ってしまいました。そして、古書店とはいえ「青翰堂」もその中に含まれてしまいました。
書店数というのは、或る意味その都市の文化度を測るメジャーだとか。残念ですが、また一つ松本の老舗が姿を消してしまいました。