カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 もう10年近く前のことです。
次女が学生時代に神楽坂に住んでいて、娘の処に上京して神楽坂を散策していた時に、毘沙門天やケヤキ並木の神楽坂で、料亭や古民家のイタリアンなどがある狭い路地など歩いていた時に、民家のお宅に植えられていた庭木の白い縁が入った青い花がとてもきれいで気に入ったのですが、信州では見掛けたことがありませんでした。

 毎年、春と秋に定期的に庭を見ていただいている園芸店のナカツタヤに来客用の寄せ植えの鉢をお願いしました。いつもは家内がナカツタヤのスタッフアドバイスをもらいながら、自分でポット苗を選んで植え替えているのですが、その時は大切なお客様だからとプロにお願いしたのです。
すると、その内の一つの鉢に植えられていた花木が白い縁取りの清楚な青い花を付けたのですが、それはいつか神楽坂で見掛けた名前の知らない庭木だったのです。
調べてみると、デュランタという熱帯アメリカ原産の常緑樹の花木で、日本では気温のために冬は落葉するそうですが、暖かな沖縄などでは生垣にも使われていて、「日本では特に濃紫色の花びらに白い縁取りが入るタカラヅカが人気品種として多く栽培されている」とのこと。どうやら、神楽坂で10年前に見掛けたのも、今回夏用の鉢植えに使われていたのも、このタカラヅカという品種であることが分かりました。
 秋になって、春用の花壇の植栽の植え替えの時にいつものスタッフの方に、このデュランタが好きなので、是非花壇に植えて欲しいとお願いしたのですが、寒い信州ではデュランタは地植えでは99%無理で育たなだろうとのこと。鉢植えにして冬も暖かな室内に置けば、信州でも育てられるとのことから、庭木としての地植えは断念し、鉢植えにして育てることにしました。
花壇の所幾歳変更に併せて、デュランタも用意した鉢に植えておいていただけるとのことから、植え替えはプロにお任せしました。

 その後、一枝が枯れてしまったようでしたが、切った枝から幾つか新芽が伸びて新しい葉が開いて来ました。みずみずしい若葉です。
植え替えた直後の夏は花は咲かないかも知れませんが、その名に恥じぬ様な、タカラヅカの凛とした男役にも似た、あの青く清楚な花を咲かせて欲しいと思います。
 23日の朝、ホワイトクリスマスには一日早かったのですが、松本は今シーズン初めての本格的な降雪でした。随分湿った雪でしたが、3㎝程積って枯れ木に白い雪の花を咲かせていました。
 “冬来たりなば 春遠からじ”
青い花を待ち遠しくも、白い雪の花もまた見事です。

 12月最初の日曜日。
コユキを世話していただいた埼玉の保護団体からの連絡があり、その保護団体から引き取ったワンコたちの里親さんたちが集まる交流会として、毎年一回開かれている「里親会(卒業犬オフ会)」が埼玉県のドッグランで開かれるとのこと。今年が第9回だそうです。
せっかくの機会ですし、お陰様でコユキが元気に過ごしていること(第1469~72話を参照ください)、更にコユキのお陰で“先住犬”ナナも元気になったこと(第1480話)を是非報告させていただこうと、信州から参加させていただくことにしました。
場所は埼玉県の狭山市にある会員制のドッグランとのこと。トライアル中にコユキの緊急手術をしていただいた協力病院が同じく狭山市内でしたので、今回狭山へは3回目。ある程度慣れて安心のドライブです。

 朝9時過ぎにナナとコユキも一緒に出発です。コユキは今回もクレートの中ですが、未だ慣れないのか、いつも車に乗る度に今度はどこに連れて行かれるのかと不安になるようで、大好きな家内と一緒でも暫くはブルブル震えています。これまでの彼女の“犬生”は、単なるビジネスツールとして扱われ、ブリーダーから不要として捨てられたコユキです。全く可愛がられることの無かったであろう8年間(推定)を取り戻してあげるのは、そう簡単なことではないのかもしれません。時間を掛けて気長に接してあげるしかないのかもしれません。
指定された狭山のドッグランの場所までは、NAVIで松本から215㎞、3時間半の表示。途中圏央道合流前に、談合坂のSAでワンコたちも一緒にトイレ休憩し、八王子JCTから圏央道へ。前回、狭山の動物病院へ行った時は平日だったのでトラックが多く混雑していた記憶があるのですが、この日は日曜日だったせいか、思いの外交通量が少なく快適なドライブでした。
NVI通り3時間半のドライブで、12時半からの受付開始に合わせて12:40にドッグランの指定された駐車場に到着。里親の方々の車が続々と来られます。

 武蔵野の風情を漂わせる様なケヤキなどの木々に囲まれ、ウッドチップが敷き詰められた会員制の静かで広いドッグラン。ドッグラン自体が里親だそうで、この日の午後はご厚意で保護団体の貸し切りにしていただき、里親会に合わせて、園内では支援団体からの寄付されたグッズのフリマなども開かれていたり、皆さん思い思いにワンコを遊ばせたり、犬談議(犬自慢?)に花を咲かせています。
我々は受付番号が73番だったのですが、午後1時の開始時刻には、それこそ101匹ならぬ100匹以上のワンちゃんたちが大集合。しかし、信州だと良く見掛けるゴールデンやラブなどは皆無。柴犬さえも数える程で、さすがに都会のためなのか、大型犬は少なく皆室内犬であろう小型犬が殆どです。それと驚いたのは、多くのワンコたちが真冬の“防寒着”を着ていたこと。この日、信州に比べれば遥かに暖かかったので、我が家のナナとコユキは、朝の散歩で着ている防寒ウェアは(持っては行きましたが)着ないで外出用のバンダナだけだったのですが・・・。人間も、真冬に上京すると(信州より暖かくても)皆さん信州以上に(若しくは信州よりも早い時期から)冬の装いでビックリすることがありますが、ワンコもきっと同じなんですね。

 さて、早速我々も受付を済ませ、コユキを引き取って一時世話をされていた保護団体の“仮親”Hさんにご挨拶。彼女はこの日受付担当で忙しく対応しておられたので、その受付終了まで、コユキを我が家まで車で一緒に連れて来てくださったHさんのご主人とお母様と暫し談笑です。
最初は怖がっていたコユキも、生まれて初めて可愛がってくれた最初のご家族を匂いで?思い出したらしく、すぐに尻尾を振って甘えています。
そのご家族だけではなく、仮親Hさんのブログでコユキの境遇とその後の経緯(コユキの手術をしていただいた、支援病院でもある狭山の動物病院と我が家の掛かり付けの松本の動物病院の院長先生同士が、偶然にも大学の同級生だったということまで)をご存知だった里親さん達が、それこそ何人もの方からすっかり元気になったコユキに「本当に良かった!良かったネー!」と声掛けいただいて、皆さん我が事の様に喜んでくださいました。
更には、コユキのお陰で奇跡的に元気になったナナの事も知り、最初コユキの里親が埼玉周辺の首都圏ではなく遠い信州と知って、我が家以外に何件もの里親希望の応募があった中で、なぜそんな遠くへトライアルに出すのかと当初怪訝に感じられたそうですが、結果、それも運命的と驚かれ皆さん納得されていました。
 しかし、ここに集まった幸せなワンコたちの様に、保護犬全てが無事に里親に引き取られていく訳ではなく、例えばコユキを世話してくださったHさんのお宅にも、NHK-BSで保護犬・保護猫の紹介をしてくれた番組にもその埼玉の団体も出演されてのですが、その際スタジオに出演した本当に大人しいミニチュアダックスのシニア犬や最近新しく保護された同じミニチュアダックス(先天的に視力が無いのだとか)は、その後もずっと募集は継続していますが未だ里親が見つからないのだそうです。でも、例え一時的な“仮親”であれ、そのHさんのご家族は皆さん彼等を家族の一員として分け隔てなく愛情一杯に可愛がっておられ、本当に頭が下がる思いでした。
そうした状況を伺う度に我々も気持ちは動くのですが、持病を抱えたナナとたった数ヶ月の“安寧”にまだどこか不安を感じているコユキの二匹で正直手一杯。もう無理だなぁ・・・。
 会場でHさんご家族に紹介いただいた、里親さんとそのワンコたち。
どのワンコも保護犬に至ったそれぞれの事情を抱えていました。中には、本当にキレイで可愛い犬なのに、動物病院へ入院させて引き取りに現れずに置き去りにされたという最初から確信犯の酷い前飼い主もいたのだとか。どんなにその子は迎えが来るのを待っていただろうに・・・。
この日の里親会に集まった元保護犬は、ミニチュアダックスとチワワが大半を占めていましたが、ファッションの様な一時の流行やCMでのブームで人気が出て飼われ、その後人間の身勝手で捨てられたのでしょうか?
しかし、ここにいるワンコたちはまだ幸せです。全国にはそうした犬が毎日の様にどこかで保護されており、自治体の中にはまだ殺処分をせざるを得ない所もあって、本当に胸が痛みます。個人ではせいぜい一匹や二匹でしかありませんが、一匹でも多くの保護犬が引き取られて愛情一杯に幸せな“犬生”を送れることを祈ります。

 最後全員でワンコを抱いての集合写真を撮り、まだオフ会は続くようでしたが、我々は松本まで帰らないといけないので、この日知り合った皆さんにご挨拶して来年の再会をお約束し、先に失礼をさせていただきました。
 「ハイ、ナナもコユキもお疲れさま。さ、ウチへ帰ろうか!」
(後で、知ったのは、この日のオフ会への参加者は220人、ワンコが160匹とのこと。我が家もそうですが、カップルやご家族で参加された方も多く、また二匹連れの方も多かったので・・・。でもこの保護団体からの“卒業犬”が参加資格なので、保護されて今はそれぞれの里親に引き取られて幸せなワンちゃんが少なくとも101匹以上はいたのでしょうね、きっと!)
 余談ですが、帰路の途中で目に入った大規模な農産物直売所に立ち寄り、地元野菜の中から奥様念願のサツマイモ(今冬も薪ストーブの残り火で焼き芋にして、自家製の干し芋造りをスタートされています)をたくさん買って帰りました。
埼玉県では昔からサツマイモでは川越が有名ですが、直売所にたくさん並んでいた「紅はるか」という品種を買って、松本のスーパーで買うモノ(今年は高い!とブー垂れておられます)の倍の大きさで半分の値段だとホクホク喜んでおられました(それだけでも、埼玉まで来た甲斐があったのだそうです)。芋もホクホク美味しいと宜しいのですが・・・。

 あまり大々的な発表や番宣PRはありませんでしたが、NHKの総合で「みをつくし料理帖」の続編として、たった二夜ではありますが、前後編の土曜スペシャルとして放送されています。
 前回2017年に連続8回の放送だった土曜時代劇では、船頭に身をやつした“若旦さん”の佐兵衛へ、澪が「元飯田町のつる家にお寮さんと一緒にいる」ことを橋の上から最後叫んで伝えたところで終了していました。
何とも中途半端な終わり方でしたので、視聴者からすれば当然次の放送がされるものとばかり思っていたのですが、その後はナシのつぶてで、何も予告も無いままに時間が過ぎていました。
それが突然、予告版と共に、たった2回のスペシャル版として放送されることがアナウンスされたのです。
今回の内容を予告編から推測すると、勿論原作とは全てイコールではなく、変えてあるところもあるようですが、どうやら二回にギュッと凝縮したものになっているようです。

 第一話の「心星ひとつ」は、“小松原”の澪に対する想いを知り、何とか二人の仲を取り持とうと奮闘する“小松原”の妹早帆。腎臓に良いという「ほうき草」の実を“小松原”の母に食べさせるべく一心に調理する澪。手間暇掛かる下ごしらえを経て作られたその料理に込められた澪の一途な心根を知り、身分の垣根を越えて息子との縁談をまとめようとする母。しかし、料理の道を捨てることが出来ずに、最後は“心星”である料理の道を他の幸せを諦めても選ぶことを決意する澪。第5巻「今朝の春」の「花嫁御寮」がベースでしょうか。大元の幹はともかく枝葉的には、原作とTVの脚本は些か展開が異なりますが、設定されている人物が原作とTVでは違っていて、例えばおりうさんも美緒もTVには登場していませんので、展開が違うのは止むを得ないとは思いますが・・・。
第二話の「桜の宴」は、吉原での桜の宴が舞台のようですから、これは第6巻小夜しぐれ」に収められている「夢宵桜」が恐らくそのモチーフかと推測されます。
・・・と、簡単に書けば、(特別編を入れて)原作全12巻の内の、第5巻からどうやら澪が目指すべき道を決断する第7巻「心星ひとつ」辺りまで(その後の経過まで含めれば第8巻)が、今回のスペシャルの2話の中に凝縮されているように思います。
しかし、それでこの物語が完結する訳ではなく、その後の特別編の第12巻「花だより」の後日談を待っての大団円だとすれば、今回分の後にはまだ4~5巻分の物語が残されており、連続物ではなくまた季節の特別版としてのスペシャル番組で放送するにしても、あと2回はやらないと完結出来ないのではないでしょうか。是非映像化して欲しい素敵なエピソード(個人的には、本筋ではないにせよ、下級武士の「徒組」が登場する第11巻「天の梯」の第2話なんて泣けて好きだけどなぁ・・・。それに肝となる“鼈甲珠”は未だ登場していませんし)がまだまだたくさん残されているだけに・・・。
しかし、今回のスペシャル版で、おかなりの部分が凝縮されてしまっている様な気がして些か不安にはなります。まさか、物語の将来を暗示させるだけでTVドラマとしては今回で終わりとするようなことは無いだろうかと・・・。
 本当ならば、NHKの2014年放送の木曜時代劇で、同じ高田郁著の文庫本一冊分の物語を連続9回とじっくりと描いた「銀二貫」の様に、また初心?に戻って是非とも連続物で放送してもらいたいのですが、配役のスケジュール確保等、我々視聴者には分らぬ制作現場での色々難しいこともあるでしょうから、でも原作を損ねぬ様に、是非とも丁寧には描いてもらいたいと思います。特に、主役のヒロインを演じる黒木華嬢が何とも原作の澪にピッタリの配役で好演だっただけに・・・。

 急拡大を続けてきた「いきなりステーキ」が昨年夏辺りから雲行きが怪しくなり、今年度更に悪化して二期連続の赤字見込みとのこと。昨年度の1億円ちょっとの赤字は、素人目にも無謀だと感じた本場NYへの出店に案の定失敗(11店舗中7店舗閉鎖)し、その閉店に伴う特損計上との説明だったのですが、今回は売上高自体が減少しており、明らかに全体の業績不振です。経済記事によれば、
『 いきなり!ステーキ」の運営元「ペッパーフードサービス」は11月14日、業績予想を発表し、2019年12 月期の連結業績予想を大幅に下方修正、株主への期末配当を無配にすることを明らかにした。
その発表によれば、売上高は約665億円と前回の予想からおおよそ100億減となっており、営業利益は約7億円の赤字に転落、純利益も15億の黒字予想から一転して約25億の赤字になる見込みとのこと。
「いきなり!ステーキ」は自社競合、店舗同士の客の“共食い”が起こっていることから、19年の出店計画を210店から115店へと縮小したものの、引き続き自社ブランド同士の競合などの影響が払拭できずに既存店の売上が落ち込んでいて、今後は同店の約10分の1となる44店舗を閉鎖することを決定したと併せて発表し、その特別損失を計上しての赤字である。 』
会社側の発表では、業績悪化の原因を「急激な成長に伴う店舗数の急拡大での自社競合」としていますが・・・。それって、違うと思います。

 松本でも一昨年の「イオンモール」開店に合わせて県内初出店し、即大行列店となり、その後長野、上田、諏訪にも相次いで出店しました。
そこで我々もモノは試しと、落ち着いたであろう一年後の昨年6月(しかも平日、早めの夕刻)にその評判に釣られて一度行ってみたのですが、食べた結果は、
 「もう、ここはイイよね!」・・・。
しかも、ブームに釣られて「肉マイレージ」カードまで手数料を払ってその場で作った(勿論何度も来るだろうという前提)にも拘らず・・・です。
(家内はお義母さんを茅野の公共温泉に毎週連れて行くのですが、当時諏訪の「いきなりステーキ」を結構年輩のオバサンお二人が絶賛していてビックリしたそうです)
その後、(イオンモールには何度も買い物に行って、時々はランチを食べることもあるのですが)「いきなりステーキ」に我々は二度と行くことはありません。
理由は・・・全然美味しくないから・・・です。
二人で5000円以上支払った対価として、肉のクオリティーやソースなどの味付け、更には店としてのサービスも、他では味わえないという程のレベルでは全く無かったから(詳細は第1339話を参照ください)・・・です。
例えば、昔テキサス州のエルパソに出張した時に、地元のメンバーが連れて行ってくれて、食べた大きなTボーンステーキ。シンプルに塩コショウだけ(ブラックペッパーの香りが実に効いていました)の味付けだったと思いますが、本当に美味しかった!!
もしあんなステーキだったら、多少高くても絶対に何度でもまた食べたいと思うのですが・・・。

 その後、「いきなりステーキ」に対抗して、ファミレスなど色んな店でも「いきなりステーキ」の真似をして、似たような価格のステーキをメニューに加える店舗が増えました。例えば、全国チェーンのハンバーグ店ではUSアンガス・ビーフがグラム当たり5.7円(450g時で)の表示で「いきなりステーキ」より安価です。
そういう店でも食べたことはありませんが、そうした他店と如何に差別化(「いきなりステーキ」の独自性としての、味と価格を提供)するのか、大変難しいだろうと思っていました。しかも、ステーキに一点特化しているのですから尚更です(その後、メニューにカキフライなども追加した様ですが、結果として全く効果無し)。
お客さんが外食する、その店、その料理を選ぶという理由には、家庭では或いは自分では作れないから。若しくは、自分で作っても美味しくないから(プロには敵わないから)。例え自分で作れるにしても、工程が大変過ぎる、時間が掛かり過ぎる。更には、自分で作るよりもその店なら遥かに安く食べられるから・・・というのが理由でしょうから、それらに合致して満足出来なければ選んではもらえない・・・ということになります。
そうした“選ばれるべき理由”が、果たして「いきなりステーキ」にはあるのか?・・・。

 経営側も恐らくその真因を分かってはいるのかもしれませんが、もし(真因の打開策がまだ見つからないからこその当座の弁解として)「自社競合」の“共食い”が原因だと本当に思っているのだとしたら(本当にそうであれば、共食い店を閉鎖すれば来期は完全にV字回復している筈)、このままでは再建回復は難しいだろうと思います。
「いきなりステーキ」の原価率は他よりも高い(平均60%)そうですが、一人3000円近く払うとして原価は2000円弱の300gのステーキです。
300gのステーキ用ビーフ(勿論輸入牛肉)をスーパーで買えば、高いモノでもグラム500円程度ですので、半値の1500円。ステーキソースも今では本格派まで色んな種類がスーパーの売り場に並んでいます。仮に全部で2000円掛かったとして、納得出来る1000円の差額を店で食べた時の満足感として “単品のステーキだけで”どうやって提供しうるのか?・・・。
 一時期そうした状況を打開するためだったのか、見る人によっては不遜と取られかねない様な、ただ経営者が登場して社名をアピールするだけの(初めての?)CMが盛んに流れていましたが、販促費の無駄か、経営不振の声と共に消えてしまいました。
この「いきなりステーキ」は、「俺のイタリアン」から始まった「俺の株式会社」が、「いきなりステーキ」の模範とするビジネスモデルなのだそうです。
以前、長女に連れて行ってもらった銀座「俺の割烹」。確かに、味と値段、そのコスパの良さに驚きました。評判になるのも大いに納得でした。客席のテーブル間の狭さと(音楽などの)店内の喧騒には(我々の様な年寄は)些か参りましたが、そこは一等地ゆえと我慢の範囲内でした(むしろ静かだと狭さゆえに隣席の他人の会話が聞こえて気になるので、多分、音楽などで煩くすることで客にそうした不満を言わせないための戦略ではないか、と思いました)。
もし本当に「俺の〇〇」を模範としているとしたら、その割にはコスパとしての満足感は「模範ビジネス」との大きな隔たり、「単品のステーキだけ」でのビジネスモデルとしての限界を感じます。
むしろ、一時期業績不振回復の切り札として、急成長を続けていた頃の「いきなりステーキ」と提携し、既存のラーメン店を「いきなりステーキ」のFC店に転換すると発表した「幸楽苑」。謂わば“他人のふんどしでの相撲”ですが、果たしてその効果がどうだったのかは知りませんが、少なくともその後の「幸楽苑」のTVCMでは期間限定メニューの投入など、(これまでの“安かろう”だけから、質の良い食材を使って単価もアップさせ)ラーメンそのものの美味しさの追及、提供という本質に回帰している印象を受けます。
「いきなりステーキ」も(単品ビジネスでは難しいですが)そうした本質回帰を考えないと、単なる一過性のブーム(ステーキを大衆化したという評価だけ)で終わり、或いはこのままじり貧でとなりかねないのではないかと感じていますが、果たして・・・?。

 今回はワンコ連れで、特にコユキにとっては初めての慣れない旅行だったので、彼等だけにしないように出来るだけ部屋食にして、結果として夕食での自炊も含めて昼も夜も部屋食で済ませました。
そこで、一点豪華に、伊豆最後の夜は唯一豪華な外食をすることにしました。旅行の一ヶ月前、色々調べて事前に予約して行ったのは、伊豆高原から車で10分ほどの別荘地の中に佇む「坐漁荘」。“座して魚を釣るが如く”というのが(のんびり過ごしていただくという)そのキャッチフレーズ。

 伊豆高原の別荘地の中に佇む「坐漁荘」は、創業50年の和風温泉旅館からスタートし、現在では6000坪という広大な敷地に宿泊棟やヴィラなどもあり、日本料理だけではなくフレンチや鉄板焼きのコースも選べ、まるで別荘の様な広いヴィラなどの客室は僅か32室という高級旅館なのだそうです。
もし泊まれば、一番お安いオフシーズンの平日で、最低でも一泊二食で一人4万円以上だとか。凄いなぁ・・・。2014年になって、台湾に本拠を置くABBAリゾーツ傘下になってリニューアル。
勿論、我々にはお値段が高過ぎて宿泊は出来ませんので、夕食でのコース料理のみ。せっかくの伊豆ですから、新鮮な海の幸に期待して和食での和会席コースをお願いしました。
予約は少し早めの夕刻5時半。伊豆高原から国道135号線を車で下田方面へ15分程度。八幡野の城ヶ崎海岸から続く段丘の別荘地の中に在って、グーグルマップでルートを確認しながら行ったのですが、別荘地内の道が分かりづらく、何度か迷いながらも無事到着しました。

 広大な庭園の中に配置された建物群。食事に拠って会場が異なり、和食は本館の和食処「さくら」。
車寄せに到着すると、スタッフが移動してくれるとのことで任せ、ゲストは玄関で着物の女性スタッフに出迎えられ、所々に中庭がしつらえられた純和風の建物内の回廊の様な廊下を進み、半個室の会食場へと案内してくれます。孟宗竹の竹林や光悦垣か格子の竹垣の中庭もそうですが、廊下の至る処に様々な美術工芸品が飾られていて、多少成金趣味的な趣きも無きにしも非ずではありますが、如何にも外国からの賓客が喜びそうな純和風の雰囲気です。当日も玄関先のロビーに大層賑やかな(≒騒々しい)中国人の団体客がおられましたが(親会社の在る台湾から?)、皆さん浴衣を着ていたのでどうやら宿泊客の様です。リッチだなぁ・・・。
事前に予約済みとはいえ、名入りの献立表がそれぞれの席に添えられていて、会席コースは食前酒の後、先付けに始まり、前菜、椀盛り、造り、焼き物、台の物、留鉢、食事・止椀・香の物、水菓子までの全9品。
 前菜の中の自家製というからすみ。そういえば城ヶ崎海岸には「ぼら納屋」がありましたが、江戸時代に春と秋に海を回遊するボラの大群を見つけるための見張り小屋もあって、昔神田川でボラの大群を見たことがあるのですが、そうした河口に集まるボラとは違って、季節に海を回遊して来るボラは江戸の将軍家に献上する程の美味な高級魚として、伊豆では盛んにボラ漁がおこなわれていたそうです。
コースの中で我々が一番美味しく感じたのは、椀盛りの「黒むつ真丈」。地場の黒むつは本当に柔らかで上品でした。塩味は抑えているのに何とも滋味豊かな味わいで、とりわけ出汁の旨さは出色。これ見よがしの押しつけがましさの無い、この絶品の椀物だけで、この日の料理は満足と云っても決して過言ではないくらいの感動モノでした。
お造りは、まだヒゲが動いている新鮮なイセエビと地魚の盛り合わせ。イセエビは甘く、地魚では特にイシモチがシコシコ、プリプリとした歯応え。
焼き物のノドグロもこれぞ、という程に脂が良く乗っていてとろけそうでした。
炊き立てのじゃこ山椒(京風に云えばちりめん山椒でしょうか)とシメジの釜めし。結構なボリュームでしたが、家内も「明日絶食すればイイかな・・・」と、最後はだし汁でお茶漬け風にして完食。しかも、最後のサツマイモのプリンと果物の別腹のデザートは、いつも通りに私メの分もしっかりとお食べになって、満足、満腹のご様子。
途中、ビールの外に、静岡県下の銘醸蔵の冷酒三種の飲み比べセットを注文。それぞれ焼津「磯自慢」純米吟醸、掛川「開運」純米大吟醸、そして由比「正雪」特別本醸造。それぞれ日本酒度が5、4、5度という辛口の味わいは勿論なのですが、注がれた切子細工のガラスのお猪口が何とも涼やかで、外国のお客さんはさぞ喜ぶだろうと思いました。
同様に、料理は勿論なのですが、盛られている器もまた素晴らしく、また器の盛り付けでも、料理ごとに伊豆らしい椿の花や蕾のついた枝、そしてモミジ、稲穂など、行く秋や、春の訪れが早い伊豆を連想する季節のあしらいもあって、より一層料理を引き立てています。
大袈裟ですが、これまで色々食べてきた中で過去最高の会席料理だったと思います。
 コースの途中で、この日感動したお椀物の美味しさを我々が仲居さんに伝えたからでしょうか、おそらく「我が意を得たり」だったのではないでしょうか。コースの終わりに、席まで総料理長さんがわざわざ挨拶に来られ、その日のコース内容や調理の特徴、例えば伊豆のワサビと信州安曇野のワサビの違いなどを説明してくれました。
地元の食材を積極的に使う“ふじのくに食の都づくり仕事人”として県から表彰されているという料理長さんらしく、この日の昆布〆にした「富士山サーモン」など地場静岡の食材に関しても色々教えてくださいました。
食事中対応してくれた仲居さん始め、スタッフの方々の応対も押しつけがましさも無くて皆さん感じが良く、滞在中実に気持ち良く過ごすことが出来ました。
帰りにロビーで採算をする際も、到着時のロビーのお客さん方の騒々しさをさりげなく詫びる言葉があった由。
確かに値段は高かったけれど、掛かったコスト以上の満足感を十二分に味わうことが出来、その意味では応分のコスパの良さを感じた次第です。

 フム、結婚記念日には二日早かったのですが、偶には(当然ながら偶にしか無理ですが)イイかも・・・。

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