カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

(前話に続いて、信州の地酒の話題です)

 岡谷の豊島屋の『神渡』の純米旨口。これは酸味の利いたやや昔風の辛口でした。
そして岡谷には、もう一つ高天酒造の『高天』というお酒もあります。こちらは辛口でも旨みを感じる良いお酒です。
四半世紀前、新宿でボスに連れて行ったいただいた日本で最初の「日本酒バー」で初めて飲んで、信州の地酒とは知らず、カウンターの“日本酒ソムリエ”から叱られたお酒。
今回頂いたのは、純米寒作りと純米吟醸の二種類です。純米は、スッキリと爽やかな辛口。純米吟醸は、確かにフルーティーですが、高天にしては吟醸ゆえか甘めでふくよか。個人的には、やっぱり辛口の純米酒の方が好みです。

 「大雪渓」と同じ北安曇郡池田町は福源酒造の『北アルプス』の特別純米。とても真面目なお酒です。因みに福源酒造は、お隣のお婆ちゃまのご実家。
そして、客呼びに出した“とっておき”の『北アルプス 純米大吟醸』。
確かに大吟醸らしくフルーティーで旨みもありますが思った以上に甘口で、個人的にはやっぱり北アルプスはいつもの純米酒の方が好みかな。    
 最後に、地元松本の地酒『善哉』。今回いただいたのは、「安曇野だより」と名付けられた、名水仕込みという純米吟醸。
善哉は、松本の街中にある蔵で、“平成の名水100選”にも選ばれているという城下町湧水群の一つである「女鳥羽の泉」と名付けられた湧水を使っています(「おひさま」効果狙いか分かりませんが、松本は東山々系の伏流水ですので安曇野の水ではない筈・・・「松本だより」でイイのに)。
吟醸酒らしくふくよかな甘口です。酸味が口中に広がらずに、舌の上だけに留まっているような感じがちょっと不思議でした(写真無し)。

 そして、いただいたお酒が全て終了したので、ここでまた地元松本島立の酒蔵、我が定番の『大信州』の純米に戻りました。雑味の無いスッキリとした辛口の、これまた真面目なお酒です。

 超有名な全国ブランドは無くとも、酒蔵の数では米処、酒処の新潟を凌ぐと言う、謂わば“水処”の長野県。個性的で愛すべき信州の地酒のホンの幾つかです。
ワインも含め、所詮お酒なんて、自分の好みに合う銘柄がイチバンなんですから、自分にあったお酒を見つけましょう。
【追記】
昨年の6月末、上諏訪の古くから続く酒蔵「麗人」が、民事再生法の適用を申請したと報じられました。寛政元年創業で220年続くという老舗です。諏訪では「舞姫」が2009年に申請し、支援を受けて現在再建途上。どこも酒造会社は厳しいようです。
素材本来の味を活かした繊細な和食に合うのは、やはり繊細な日本酒、殊に純米酒だと思うのですが・・・(ただ端麗辛口でも、旨みの感じられない水のようなお酒は遠慮します)。
写真の最後は、上諏訪駅に昨年飾られていた“諏訪九蔵”(岡谷の「神渡」・「高天」、下諏訪の「御湖鶴」、上諏訪の“五蔵”「真澄」・「麗人」・「舞姫」・「本金」・「横笛」、茅野の「ダイヤ菊」、以上合わせて九つ)の酒樽です(何故か辰野のお酒も置いてありましたが、樽が10個ないと積み重ねるのに安定しないからでしょうか?)。みんな、頑張れ!
数年前から週末開催だけになったために会社帰りに参加できなくなりましたが、毎年10月には諏訪の五蔵の秋の「飲み比べ」イベント(最近ではアチコチでも開催されていますが、五蔵が固まっている上諏訪がその“走り”だったと思います)が開かれて、大変な賑わいだそうです。
さて冒頭の写真は、松本駅の自由通路のウィンドウにミニチュアの杉玉と共にディスプレイされた地元松本の地酒の幾つかです。