カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 東京滞在中、午前中の多少は涼しい内に少しウォーキングを兼ねて歩いてみました。但し、赤道直下のシンガポールで学んだ、“クソ暑い日の早歩きは禁物!”で、ただ汗が噴き出るだけですのでゆっくり歩きます。それにしても、今年の猛暑は一体どうなっているのでしょうか!?

 この日は麻布台から神谷町へ下り、愛宕神社の下のトンネルをくぐって虎ノ門へ。この隧道は、東京都の東京タワーや芝公園に近い愛宕山を貫いている昭和初期に掘られたトンネルで、正式名称は「愛宕隧道」。この愛宕山の上にはNHK放送博物館や愛宕神社があります。
余談ですが、私が子供の頃って、NHKへのリクエストハガキなどの応募先住所って、現在の渋谷の放送センターではなく、確か日比谷の「内幸町」だった筈です。
あの玉音放送も、阻止しようとする陸軍から守り通したレコード盤を使って、この内幸町に在った旧放送会館から放送された筈。それが出来る以前は愛宕山に送信所を兼ねた建物が在って、それが現在の愛宕山の「NHK放送博物館」なのだそうです。いつか、神社に参拝したら併せて見てみたいと思っています。
因みにこの愛宕隧道は、東京23区内にある唯一の“道路山岳トンネル”(要するに山をくり抜いたトンネル)だと言われているそうです。愛宕神社へ上る参道の86段の石の階段は「出世階段」とも呼ばれ、3代将軍家光の時代の逸話として講談等でもお馴染みです。以前虎ノ門のマンションに長女が済んでいた時に、家内は長女のビジネスの成功を祈願するために何度か愛宕神社へお参りしたそうです。
 「(子供たちのために)お参りして行く?」
 「いや、この暑さに階段上りたくない。今度秋以降に来た時にお参りする!」
と、今回は回避させてもらいました。

 虎ノ門ヒルズは何棟目かの新しいステーションビルが完成し、これに伴い地下鉄虎ノ門の駅も改装されたのだとか。個人的にはあまり関係無いので、「はぁ、左様か・・・」程度の感想しかないのですが・・・。
むしろ個人的に興味を持ったのは、虎ノ門ヒルズの森タワーからオーバル広場に抜けて行く途中、フロアの隅に展示されていた人間大の白い“像”でした。その説明書きに由ると、
『22世紀のトーキョーからタイムマシンに乗ってきました。ネコ型ビジネスロボット、トラのもんです。』
という、どこかで聞いた様なセリフの人形が鎮座しています。これが、虎ノ門ヒルズのキャラクターとして誕生した「トラのもん」なのだそうです。これ、イイなぁ・・・グッズ欲しいなぁ・・・。
 「ネェ、ちょっと何してんのぉ!?もう行くわよ!!」
(えっ、あっ、残念・・・。でも、この遊び心イイなぁ、“座布団一枚!”級だなぁ・・・)

因みに、本家本元のドラえもん・・・。
テレ朝が入る「六本木ヒルズ」のメインエントランス前の玄関口「66プラザ」に、この夏もドラえもんが登場!その名も「ドラえもん広場」とやらで、プラザ名に因んで66体のドラえもんが並んでいました。
ドラえもんと一緒に写真を撮りたかったのですが、若い子や子供たちしかおらず、イイ歳をした年寄りが独りでその中に入って行くのはさすがに恥ずかしく、泣く泣く諦めましたが、未だに心残り(・・・でした・・・)。
 話を戻して、愛宕山方面から来て虎ノ門ヒルズへの階段を上って、新橋側入り口から入った森タワーの2階。大きなガラス窓越しに見えるスッテプガーデンの緑に囲まれて、開放感溢れゆったりした雰囲気のアトリウムと軽井沢のカフェベーカリーのサワムラがあるのですが、その真上の3階に松本の「そば切りみよ田」が出店しています。
こちらの森タワーは、カジュアルな「虎ノ門横丁」のあるビジネスタワーと比べると人も少なく、とても静かで落ち着いた雰囲気です。
以前長女が虎ノ門ヒルズ近くのマンションに住んでいた時に、コロナ禍の影響もあったのかもしれませんが、「みよ田には殆どお客さんが居なかったけど、大丈夫かなぁ?」とヒトゴト乍ら心配していました。そのため気になって覗いてみると、その日は平日ですがほぼ満席で、順番待ちリストにも何組かの記名がありました。
この東京に、しかもヒルズのビジネスタワー側のすぐ横には、道路を挟んで老舗蕎麦屋の「砂場」が店を構える虎ノ門に「みよ田」は出店しています。
その虎ノ門の「砂場」は、秀吉の大坂城建設時に資材の砂置き場に蕎麦屋を開店したことに由来するとされ、家康が天下を統一した際に江戸に下って「大坂屋砂場」を始め、江戸三大蕎麦の一つに数えられているという、その「砂場」本家から明治初期に暖簾分けをした店なのだとか。今の木造の建物は関東大震災も東京大空襲も潜り抜け、虎ノ門ヒルズなど一体の建設での道路拡張工事のため、家の土台毎今の場所に曳家工法により、何メートルか奥に移動しています(下の写真は曳家工事後、2年前の「砂場」です)。
そんな150年も続く老舗蕎麦屋のすぐ近くへ、東京では無名の信州の蕎麦屋の出店だったのですから、おそらく何年も掛かったのかもしれませんが漸くお客さんが定着した様で、こちらもヒトゴト乍ら同郷の人間としては何となくホッとした次第。
松本にも明治10年創業の「弁天」や同じく明治末期創業の「こばやし」という老舗の蕎麦屋さんもあるのですが(私が子供の頃は松本の蕎麦屋はこの二つくらいしかなく、地元での人気を二分していました)、「そば切りみよ田」はそれらに比べて遥かに新しく、2005年に王滝グループが日穀製粉から経営を引き継いだ店なのです(尚、長野市にも「みよ田」がありますが、こちらは今でも日穀製粉が自社のアンテナショップ「そば処みよ田」として経営しています)。
店頭には、松本か豊科か、自社(王滝グループ)の製粉工場(小木曽製粉所)から届けられたと思われる、この日の信州産の蕎麦粉の原産地名がメニュー表にしっかりと記載されていて、何だか「ガンバレ!!」と声を掛けたくなりました。

 今回の東京滞在中、婿殿の夜勤の日に横浜の次女の所に一日行って来ました。
実は8月に二人目が生まれたのですが、入院中は実家のお義母さんが孫の面倒も見ながら泊まり込んでくださったので、その前に身重の次女に代わって、暇な年金生活者夫婦が娘夫婦の家の片付けと掃除をするため・・・でした。婿殿がいらぬ気を使わぬように、彼の当直の日を選んで行くことにしました。
因みに、私メの期待されている役割は・・・孫の遊び相手。次女曰く「精神年齢が同じくらいなので、孫娘の相手に相応しい」との“お褒め”のお言葉(ま、嫌われるよりはイイかも・・・)。

 その日は朝早めに着いて、早速掃除開始。家内も片付け開始です。
先ずは各部屋を掃除機掛けしてから、続いてフローリングの雑巾がけ。終ってから桟の埃も拭いて、見違えるようにキレイになりました(・・・と、自画自賛!)。途中途中で、孫娘と遊んでキャッキャ、キャッキャとじゃれ合いながら・・・。
 「良かったねぇ・・・、お仲間が来てくれて!」
(ハイ、お褒め戴き痛み入ります!)
と、午後1時近くまでやって一応目途が付いたので、皆でランチへ。

 娘がこの日の片付けと掃除のお礼にと、グルメ回転寿司の「金沢まいもん寿司」へ連れて行ってくれました。
以前次女が羽田勤務だった頃には、「美登里寿司」の回転寿司部門である「活」の蒲田店へ専ら行っていましたが、「活」は他よりも炙りと光り物が充実していました。
東京には北海道のグルメ回転寿司の「根室花まる」とか「トリトン」などもあり、また金沢の「まいもん寿司」も関東エリアに多店舗を展開していますが、東京では以前は郊外店ばかりでしたので、あまり行く機会はありませんでした。従って、横浜の次女の所に来た時だけは近くにあるので行くことが可能。それもあって、光り物が好きな私メのために、今回も「まいもん寿司」をチョイスしてくれました。
1時過ぎとはいえ、人気店ですので順番待ちです。暫くして我々の番になりテーブル席へ。「まいもん寿司」も今は回転レーンには寿司は回っておらず、全てタブレットからオーダーして、各テーブル毎に専用の引き込み線の様なレーンまで注文毎に運ばれて来る仕組みで、皿を載せた容器は溜まる毎に、店のスタッフが纏めてテーブルから下げてくれます。

 この日、「まいもん寿司」には珍しく、夏のおすすめメニューの中に北海道産という「いわしの炙り」があったので、何皿も(家内と娘が呆れる程に)注文してしまいました(絶品だった「活」の炙りとろイワシを思い出します)。そして光り物(その美味しさを始めて知ったのは、次女が成田勤務だった時に何度か行った、成田「江戸ッ子寿司」で食べたイワシとアジでした)、とりわけ信州だとなかなか美味しいのが食べられないコハダが、ここのはネタが新鮮なので酢締めもそれ程きつくありません。エンガワの炙りも旨い!
(*右上の写真は一貫ずつ食べた後で一皿にまとめた、手前からコハダ、イワシ炙り、奥がエンガワの炙り)

マアジもプリップリです。他にも本マグロの赤身や中とろ、鯛などなど・・・。

娘のお許しもあって、ビールと(せっかくの「まいもん寿司」だからと)冷酒(石川は「加賀鳶」の純米辛口にしました)もいただいたので、酒のアテに玉子も追加して・・・。そして、デザート代わりの〆にフワフワな穴子も頂いて・・・、
 「あぁ、美味しかった!満足だぁ!」
大変ご馳走さまでした。でも、何だか掃除が却って高くついちゃって、ホント申し訳ない・・・。

 今回の東京滞在中のランチで唯一私がリクエストしたのが、田町にあるシンガポール料理レストラン「威南記 海南鶏飯(Wee Nam Kee Hainanese Chicken Rice ウィー・ナム・キー ハイナニーズ チキンライス)」でした。6月にも行ったばかりですが、今回がこれで三回目になります。
 前回はまだ6月で爽やかだったのでテラス席をチョイスしましたが、赤道直下のシンガポールを思い出させるような猛暑続きの今年の東京とはいえ、いくらミストが出ていてもテラス席にはさすがに誰もおらず、皆さん室内席。この日は日曜日でオフィスはお休みですので、食べに来られているのは近隣にお住いの方々だけでしょうか、ランチタイムも8割方の込み具合でした。
ここのヌードルの現地風の極細麺は他ではなかなか食べられませんので、今回も前回同様に二人共ローストチキンヌードル(1500円)をチョイス。そして、野菜料理は残念ながらチリ・カンコン(空芯菜)が無かったので、カイランのサンバルソース炒めにしました。店のメニュー表記はブロッコリーでしたが、カイランは中国野菜で「芥藍」と書きます。英語名はチャイニーズ・ブロッコリーで、シンガポールでは中華料理では小さめが好まれるのか、良くベビー・カイランと呼ばれていた様な気がします。因みに、最近日本でも栽培されているスティック・セニョール(茎ブロッコリー)はカイランに良く似ていますが、それもその筈。この中国野菜のカイランとブロッコリーを掛け合わせた野菜だそうです。
因みに、カイランは本来茎がメインですが、葉も意外と美味しいのです。以前、新宿の「ティム・ホー・ワン」で、その日の野菜がレタスのオイスターソース炒めしか無かったのですが、むしろカイランの葉を炒めた方が歯応えも良くて美味しいと思います。

また、同じく中国野菜の空心菜は、最近ではスーパーの野菜売り場で普通に見掛ける程日本でもポピュラーになりました。空心菜はシンガポールではカンコンと呼ばれていて、チリソース炒めで食べることが多かったのですが、日本のシンガポール料理店などのメニューにはサンバル・カンコンと記載されています。このサンバルソースという調味料は、東南アジアのインドネシアやマレーシアで使われる辛み調味料(チリソースの一種)で、干しエビや小エビを発酵させた塩辛状のペーストに赤唐辛子やトマトを加えた、ジャワ島を中心としたインドネシアの伝統的調味料です。民族的にはインドネシアもマレーシアも同じマレー系ですので、言語も8割方同じだそうですし、料理も似通っています。
因みにサンバルソースで炒めたチリ・カンコンを生まれて初めて食べたのは、赴任してすぐジョホールに在る関連会社の工場を訪ねた時。途中で同僚とお世辞にもキレイとは言えない道端のローカルの屋台で、ランチにぶっかけ飯を食べたのですが、そこで一緒に食べたチリ・カンコンが(生まれて初めてという印象も手伝ってか)その後の7年間で何十回、いや恐らく100回以上も食べたであろうチリ・カンコンの中で一番美味しかった気がします。
 この日のウィー・ナム・キーの野菜がサンバル炒めだったので、ヌードルの方に添えられていた野菜(多分塩茹でのターサイだと思います)もサンバルソースを付けて食べました。このサンバルというチリソースの味は、それこそ赤道直下の屋台で汗を搔きながら食べる真夏の料理の代表格ですので、日本でも真冬では無く、この猛暑の中で食べる方が相応しいかもしれません。
この日も家内はアチャーと、私メはタイガービールもオーダーさせていただきました。タイガービールが1080円もするのを家内が見て(しかも小瓶で。因みにキリンのハートランドは同じ小瓶で820円との表示)、
 「えっ、タイガービールって高いんだね!」
 「はい、モルトビールですから・・・。」
(相済みません、シンガポール料理店以外ではタイガーは飲めませんので・・・)

 やっぱりここの麺(ミー)は美味しい。オイスターソースがベースと思われる甘目のタレの味もですが(どういう配合か、自分では作れません)、固めの極細麺が何とも言えずに旨いのです(懐かしさが味を倍加させているかもしれませんが・・・)。
 「満足満足、また来ようっと!」
 「でも、ホント好きだよネ!?」
(相済みません、バカの一つ覚えで・・・)

 この日、奥さまはブランチ気味のモーニングでお腹が一杯になったので、お昼はいらないとのこと。そこで「シメシメ」と一人で軽く食べに行くことにして、向かったのは今回もやはりマンションから一番近い飯倉交差点近くのラーメン店「めん蔵」です。

 時間は昼時の混雑時間帯を避けて2時近かったので、店内にはお客さんは誰もおらず、結局最後までこの日は私一人でした。そして今回はいつもの醤油ではなく、田舎ラーメンをオーダーしてみました。こちらの田舎は、醤油ラーメンのスープが黒くて濃過ぎる人は、昔ながらの醤油ラーメン風の“田舎”を食べてくださいという前提のメニューなのだとか。
確かに出て来た「田舎」は、他店の醤油ラーメン風で醤油に比べると随分薄く透き通った感じのスープです。
トッピングで唯一の違いは、田舎ラーメンには海苔が載っているところ。
田舎ラーメンのスープは、確かに通常の醤油に比べれば薄いのですが、旨味が減って逆に塩味が際立ってしまい、塩分濃度は同じかもしれませんが、むしろ何だか醤油ラーメンよりも田舎ラーメンの方が却って塩辛く感じてしまいます。飲み(食べ)続けていくと慣れるのか次第に気にならなくなってはいくのですが、途中お冷を飲んで口がサッパリしてからまた食べると、その塩辛さがまた蘇ってきてしまうのです。
醤油ラーメンは新福菜館の様な真っ黒なスープで、ベースは豚バラを煮込んだタレに魚介ベースの様ですが、意外とアッサリで塩辛くありません。最初の一口はイマイチに感じるのですが、飲むうちに段々美味しくなってクセになるような・・・、そんなスープです。
「めん蔵」で選ぶなら、田舎よりもブラックな醤油ラーメンの方が個人的には遥かに好みでお薦めの様な気がしました(札幌系なら味噌がイチオシかもしれませんが食べていません)。
麺はどちらも同じで、スープに良く絡む西山製麺の中太の縮れ麺。それが、固茹でなのが嬉しい。トッピングは、田舎の海苔を除けば、二枚の豚バラチャーシュー、半分の固ゆで卵、メンマに刻みネギで同じです。今回も、追加でチャーシューのトッピング(+100円)をお願いしましたので、絶品のトロトロのバラチャーシューが6枚くらい載っています。
さすがに塩辛く感じたので、今回はスープを飲み干さずに残しました。
 その後、東京滞在の最後にと「めん蔵」で食べた時は、やはり醤油ラーメンに戻ることにしました。絶品のチャーシューをトッピングで追加して。相変わらずの固茹での西山ラーメンの中太麺がイイ!。その縮れ麺に真っ黒なスープが絡んで、麺も黒っぽくなっています。
スープの「田舎ラーメン」と「醤油ラーメン」の塩分濃度はどちらも変わらないと思うのですが、醤油の方がタレの旨味が濃いので、逆に塩味を余り感じなくさせている気がします。そういう意味でも、個人的には「醤油」の方がお薦めです。今回は、スープも飲み干して、
 「ごちそうさまでした!! 」

 飯倉交差点直ぐ近くの「めん蔵」の醤油ラーメン。また娘の所に来ることがあったら、必ず食べに来ようと思います。

 この日のランチも奥さまのリクエストで、ミシュランガイドのビブグルマン2023 に選出されたという、新橋御成門「天ぷら かき揚げ丼 之村」へ。
こちらも行列店とのことなので、11時の開店5分ちょっと前に到着しました。既に2人待っておられます。

時間通りに暖簾が出され、入店。我々の前に待たれていたお一人は職人さん方の親方なのか、6人分纏めてテイクアウトとのこと。店内は意外と狭く、厨房前にカウンター6席とテーブル席は4名掛けと2名掛けが2卓ずつのみで、我々は一番奥のテーブル席に案内頂きました。
暖簾を出された方が大女将なのか、入口近くのカウンター内に座られて、帳場のご担当の様です。
「之村」のランチメニューは、
  ・かき揚げ丼 1,400円
  ・天丼 1,400円
  ・穴子天丼 1,700円
  ・ミックスかき揚げ丼 1,900円
  ・天ぷら定食 2,000円
他に天ぷらの一品物も注文出来るようです。そう云えば、最近天ぷら専門店て行って無いなぁ・・・。昔シンガポールにも天ぷらの専門店があって、カウンター席に座ってお任せで次々と色んなネタを目の前で揚げてくれるのですが、揚げ立ての天ぷらって美味しかったなぁ・・・。松本でも老舗の割烹が、支店でカウンターの天ぷら専門店を始めたので、以前懐かしくて家族で食べに行きましたが、そこは数年で閉めてしまいました。

 さて、ここは二人共先ずは名物のかき揚げ丼をチョイスしました。後から次々にお客さんが来られてほぼ満席になりましたが、やはり皆さんも注文はかき揚げ丼一本でした。
注文すると、丼のご飯の量を(値段は同じで)普通盛りか、大盛りか或いは小盛にするか尋ねられ、家内は小盛で私は普通盛りにしましたが、結果的には大盛りで正解だったのかもしれません。
丼には、シジミの赤だしの味噌汁と香の物として季節で変わるかもしれませんが、この時はカブとキュウリのぬか漬けが付いてきました。
待つこと10分程でしょうか。かき揚げ丼のかき揚げは小エビがたっぷり、というか20個近い海老オンリーのかき揚げです。それが絶妙な揚げ具合で、小エビの一粒一粒がプリっとしていながらも、しっとりで抜群の食感です。甘さを抑えた秘伝のタレの旨味とも相まって、そのたっぷりの海老のプリプリ感と衣のサクサク感が堪りません。かき揚げにはしし唐が一本添えられていて、茶色の丼の中で良いアクセントになっています。
ゴマ油?の揚げ油、或いは揚げ方、それともこのタレに秘密があるのか、驚くのは食べ進んでももたれた感じが全くせず、そのタレも甘過ぎずさっぱりしていて絶妙で、タレの染みたご飯がパクパクといくらでも食べられそうな程。ですので、大盛りにしても全然良かったかも・・・と思えるのです。
 因みに、こちらの「之村」は、虎ノ門に在るやはり天ぷらとかき揚げ丼の有名店という「光村」の姉妹店で、それぞれを兄弟でやられている由。そして、その「光村」は名古屋が本店とのことなので、道理で味噌汁が赤味噌というのも納得。ただこちらのシジミの赤だしは、赤だしの割には色も味もマイルドでした。また、大女将が漬けられたのか(と、帳場にどっしりと座られて店内に隈なく目を光らせている女将さんを見ていると、何となくそう想像してしまいますが、もしかすると兄弟でやっておられるということは、お母上が名古屋本店から上京し、息子さん二人の仕事ぶりに目を光らせている・・・と勝手に想像を膨らませてしまいました)、ぬか漬けも何だか懐かしくてとても美味しかったです。
食べ終わって大満足でした(因みに、こちらもランチは現金支払いのみでした)
  「うーん、ここはまた来たいなぁ!」
出来れば、今度は天丼や穴子天丼も是非食べてみたいと思います。イヤ、またやっぱりかき揚げ丼かなぁ・・・・??
  「ごちそうさまでした!」

 この日も奥さまのお薦めで、西新橋の「日比谷フォートタワー」一階にある「ビストロ LE PORTIER」へ。
正式名称は「LE PORTIER Par Aux Delices de dodine Toranomon」(ル・ポルティエ・パー・オ・デリス・ド・ドディーヌ)だそうです(ムム、読めない・・・。それに何のこっちゃら、意味も全く分かりません・・・)。
こちらのビストロは、以前長女の所に家内が上京していた時に、ウォーキングで虎ノ門や日比谷公園などを歩いていてこちらの行列を見つけ、一度家内一人で食べに行ったことがあり、そこの名物というポークソテーを私メが絶対に気に入る筈だからということで、今回行ってみることにしたもの。
ポークソテーは自宅でもこれまでに何度か作っていて、家内は美味しいと言ってくれるのですが、マーマレードを使ってフルーツ系のソースにしたものの、今一つソースには満足出来ずにいました。
ここのポークソテーはとても分厚くて柔らかいので、絶対にビックリするからとの仰せ。因みにこの店は、大門にあるミシュランのビブグルマン掲載店の姉妹店とのこと。

ランチタイムは 11:30~14:30で、予約は不可。どうせ行列で待つのだから、それだったらと開店15分前を目標に出掛け、チト早く20分前に到着。さすがに一番先頭でした。でも直ぐに我々の後ろに人が次々と並び始め、開店時には確かに長蛇の列になっていました。(但し注意書きに依ると、順番になってもメンバー全員が揃うまでは入店不可だそうです)
店内は、カウンターが6席、2人掛けと4人掛けのテーブル席で、合わせて30席程でしょうか。勿論一巡目で満席です。我々は一番だったので、窓側の席に案内していただきました。
こちらのランチのイチオシは、豚のグリル。家内は前回食べたのでポークソテーはもうイイとのこと。
店の前に張り出されていたこの日のランチメニューは、「前菜+パン+メイン料理」で1300円の一択。
前菜はカリフラワーの冷製ポタージュか彩り野菜のサラダなので、二人共サラダを選択。メインは三種類で、この日メニューに書かれていた内容は、「豚のロースト マスタードソース、豚バラ肉のトマト煮込み、鶏むね肉のロースト キノコソテー添え」。私メが家内お薦めの豚のローストを、家内はこの日は魚が無かったので、鶏むね肉のローストをチョイスしました。
因みに、ポタージュとサラダ両方を頼むことも可能で、その場合は+300円とのこと。また、パンはお替わりOKだそうです。
さすがはビストロらしく、ワインはメニューにありましたが、ビールが無かったのでドリンクはオーダーせず。各テーブルには紅茶の入ったジャグが置かれていて、こちらを水代わりに自由に飲むことが出来るのだそうです。
 最初にたっぷりのサラダと、編んだ布製の小さなバスケットに入ったパンが運ばれて来ました。フレンチ風のドレッシングが掛かったサラダには、低温調理か、しっとりと柔らかい鶏むね肉のスライスが添えられていました。
程無くメインディッシュが登場。確かにローストされた豚肉は、優に3㎝はありそうです。上には同じくローストされた玉ネギとニンジン。その上にカイワレ大根が添えられています。また、豚肉の下には、びっしりとマッシュポテトが敷かれ、たっぷりとマスタードソースが掛けられていました。余談ですが、ナイフとフォークではカイワレは食べ難くて、ハッキリ言って邪魔。彩だけだったら無くても良いと思います。或いはカジュアルに、カトラリーの中に箸も置いておいてくれたらもっと食べ易かったかもしれません。
さて食べ始めると、豚肉も一旦低温調理してからローストしたのか、確かに実に柔らかい。マスタードソースは意外とシンプルです。ただ思うに、左側にロース肉の脂身部分があったのですが、これだと初めに脂身の部分の方からナイフを入れることになってしまいます。そこだけを食べずに端に避けても良いのですが、食べ方としては決してキレイではありません。
 「あのさぁ、これってどう考えても逆じゃネ!?」
家内は「でも別にいいんじゃないの!?」とのことでしたが、イヤ、やっぱり豚肉の置き方は逆じゃないだろうか?(決して私メのだけを置き間違えたのではなく、視界に入っている他のお客さんのも同じ様に見えましたが、そうなのかなぁ・・・?)。
 家内の頼んだ、鶏むね肉のローストのキノコソテー添え。彼女曰く、美味しいとのこと。「魚じゃなくても良かった!」とご満足の様子。お互い少しシェアしましたが、確かに味付けはこちらの方が好みかな・・・。
と言うのも、ポークの方のソースは些か塩味が強過ぎるためにマスタード味に勝ってしまっていて、味に深みが無く単純に感じてしまいます。そのため、その肉のボリュームもあって、食べ進める内に段々飽きてきてしまうのです。残しては失礼と全部食べましたが、正直ここはもうイイかな・・・(多分、ディナーになれば全く違うと思います。ディナーは予約も可能とのことで、港区セレブ御用達なのでしょうか・・・)。
ただ、ソースは季節に合わせてか不定期で変わるとのことなので、他のソースの中にはもっと美味しいソースがあるのかもしれません・・・。
それと、ランチに関しては現金清算のみ。且つグループの場合個々ではなく一括支払いで、とのこと。しかし、今どき電子マネーやカードを認めないのは如何なモノか・・・。どういう店側の事情かは不明ながら(混雑しているランチタイムの会計時間短縮のため?)、オフィスビルに入居していて、会社勤めの方々向けのせっかくのコスパランチでしょうに・・・と(一見の客が大変失礼ながら)少々疑問を感じた次第です。

 レストランからの帰りに、少し足を延ばして日比谷公園へ寄ってみました。
会社勤めの頃の人事時代。会社の行って来た人事福祉制度が評価されて、会社が大臣表彰を受けることになり、日比谷公園の横にあった旧飯野ビルのイイノホールでの授賞式に、大臣の代理として当時労働政務次官だった釜本邦茂氏からの賞状と盾を社長に受けてもらいました。
すっかり忘れていたのですが、その時に視界に入っていたであろう周囲のビル群や公園の光景が、「あれっ!ここ来たことあるかも?・・・」とデジャビュの様に急に思いだされて来て、何だか不思議な感覚に一瞬包まれたのです。
建て替えられて高層ビルになった新しい飯野ビルから、一本道路を渡るとすぐ横が日比谷公園です。
その園内に在る、創業100年を超える老舗洋食屋「松本楼」。今や季語にまでなっているという秋の風物詩、松本楼の“10円カレー”。
それは日比谷公園で1971年に行われた政治デモでの混乱で、デモ隊が投げ付けた火炎瓶で松本楼が延焼。その後ファンからの応援もあって再建出来た御礼にと、1973年から始まったという毎年9月25日一日だけの“10円カレー”です。食べられた皆さんは、料金の10円以外に差額や本来の料金以上を寄付されていく方が多く、それらは毎年纏められ、更に松本楼からの寄付金も上乗せされて、交通遺児育英会やユニセフ、或いはその頃起こっていた災害見舞金などとして渡されているのだそうです。
都心のオアシスの様な広大な公園の、大きなヒマラヤスギや都の木である公孫樹の大木、公園のシンボル大噴水・・・。そして周囲の高層ビル群。
 「うーん、東京はやっぱり緑が多いなぁ・・・」

 日本列島が猛暑続きとなった、今年の盛夏。
この間、少し長期で東京に滞在する必要があり、その滞在中に食べて印象に残ったグルメを幾つか紹介したいと思います。
但し我々は年金生活者ですので、決してセレブ御用達といった様な高級店ではなく、飽くまで庶民的で美味しいと評判の人気店や料理が中心です。

 先ずは、東京ミッドタウン六本木のカジュアルなレストランやショップが集結する、地下一階の飲食店街「ガレリア」から。
各店舗との間の仕切りはありますが、半オープンなレストランが通路を挟んで両サイドに軒を連ねます。通路からは店内が丸見えの店が多いので、中にはテイクアウトがメインなのか、人が歩いている通路のすぐ横にイートイン・スペース用のテーブルがあって、一応通路との擦りガラスの間仕切りがあるものの、見ようとしなくても食事中の人が視界に入ってしまう様な小さな店もありますので、もしかすると気になる人もいるかもしれません。その場合は、上階の「ガーデンテラス」に行けば高級店(?)が並んでいます。
このB1のレストラン街の中で、唯一(?多分)開店前から行列を作っているのが、日本橋「つじ半」です。そのH/Pに依れば、
『日本橋で大行列の一杯で二度三度おいしい「ぜいたく丼」をもっと多くの人に召し上がって頂きたい!!どうぞつじ半のぜいたく丼を存分にお楽しみください。店名の「つじ半」とは、「つじ田」創業者でラーメン業界のつけ麺風雲児、辻田雄大と「日本橋 金子半之助」創業者の金子真也が力を合わせ作り上げた丼から辻田の「つじ」と半之助の「半」を取り、この名を名付けた。北海道最大手水産大卸会社キョクイチと組んで実現した究極の海鮮丼専門店』の由。

 こちらの海鮮丼を奥さまが所望。そこで、ランチに行ってみることにしました。
こちらの飲食店街は11時開店とのことで、勿論他にも幾つか人気店はあるのですが、12時前に着いた時に二三の店を除くと他の店は未だそれ程混んではいなかったのですが、この「つじ半」だけはもう結構長い行列が出来ていました。この日は平日でオフィス勤めの方々のランチタイムはまだですので、並んでおられるのは、我々の様なシニアのカップルを除けば殆どは港区女子と思しきマダムの方々。これが田舎だと、もし人がたくさん並んでいたら「じゃあまた今度にして、今日は他に行こうか!?」となるのですが、都会の方々は我慢強いのか、或いは“むしろ並ぶこと自体が好きで楽しんでいる”のではないか?・・・とさえ勘ぐってしまいます。
 さて、並ぶこと20分以上(・・・と、ずっと並んでいてくれたのは奥さまで、私メはその間を使って“お上りさん”宜しくこのフロアを探索してきました)で、漸く我々の順番になりました。
どうやら仕切られた奥に厨房がある様ですが、狭い店内は丼の盛り付けなどの対応をするキッチンを囲んで、僅か10席足らずのL字型カウンター席のみ。
こちらの店のランチメニューは、「ぜいたく丼」と名付けられた海鮮丼一本。トッピングするネタの種類によって、松・竹・梅、更に特上とグレードが4つに分かれていて、更にそこにお好みでトッピングを追加することが出来ます。
メニューの記載によると、スタンダードの「梅」が、まぐろ、中落ち、いか、数の子、つぶ貝、ミル貝、海老、いくら、きゅうり、ネギがざっくりと混ぜ合わされていて、グレードによって、その基本の梅に、いくら、かに、ウニが増量されます。更にどの丼にも鯛の刺身が4切れ別皿で提供され、その内の2枚は残しておいて、最後の出汁茶漬け用に使うべしとのこと。“一杯で二度楽しむ・・・云々”とは、そのことを指しています。
我々のオーダーは、二人共いくらが好きではないので、基本の「梅」(1250円)にカニの剥き身をトッピングで増量(+400円)しました。
 最初に黄身醤油と先述の鯛の刺身、それと漬物が目の前のカウンター出されますので、先ずは醤油(黄身と土佐醤油の合わせ醤油)に丼のワサビを溶いて海鮮の山に掛け、少しずつ崩しながら食べ進めます。
確かにネタがどれも新鮮で美味しい。これで十分なのですが、丼のご飯が1/3くらいになった所で、板前さんに頼んで出汁をお願いして、残しておいた鯛の刺身を丼に載せて熱い出汁を掛け、出汁茶漬けにしていただきます。私メは海鮮丼が美味しくて最初から追加するつもりでかなり食べてあったので、ご飯の追加をお願いしました。
濃厚豚骨魚介つけ麺がウリの「つじ田」とのコラボとのことなので、当然なのかもしれませんが、結構濃い目の出汁。個人的には、むしろ成田空港と新宿駅のルミネの「えん」で食べた、もう少しあっさりした鯛茶漬けの方が好みですが、奥さまは出汁茶漬けも絶賛していましたので「そりゃ何より!」。
蛇足ながら、食べ終わってみての感想です。
次女の様にいくらが好きな方は、他のネタと二つ併せてトッピングで追加するよりも「竹」の方がお得ですが、そうでない方は別に見栄を張らずに、基本の「梅」で十分だと思いました。
 この東京ミッドタウンそのものですが、周辺がオフィス街ということもあり、どの店もランチ用のテイクアウトにも力を入れていて、この「つじ半」も同様に店の一角にコーナーを設けていて、テイクアウトメニューもいくつかもあり(海鮮丼も蓋付きのカップで茶漬け用の出汁も別に用意されていて、テイクアウトが出来るようです)、その中でもギンダラの煮付け弁当とギンダラの西京焼き弁当がとても美味しそうでした。今度機会があったらぜひ買ってみたいと思います。

 ところで気になったのは、ランチタイムはテイクアウトの人たちも常時10人以上が順番待ちで、会計はレジが一つしか無く、食べ終わった飲食の客はテイクアウトの順番待ちの行列の一番後ろに並ぶ様に指示されます。狭いショップスペースなので止むを得ないのでしょうが、食べるのに行列して、更に食べた後の支払いでまた並ぶ・・・。食べた後の満足感が何だか少し削がれてしまう気がして・・・。
我が酒飲みの師にして高校の先輩でもある“居酒屋評論家”太田和彦センセの云うところの、良い居酒屋の条件“いい人、いい酒、いい肴”的に云えば、外食での満足感もその料理だけでは決して無い筈。
(年寄りは?/田舎の人間は?)せっかちと言われればそれまでですが、せっかくの料理でしたので、何か工夫出来ないのだろうか・・・と感じた次第。
ただ、もし「その分、値上げせにず頑張ってます」と言われたらそれまでですが・・・。とすれば、客側の防衛策としては、テイクアウトのお客さんが並ぶランチタイムを避けるしか無いのかもしれません・・・。