カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 ビッグコミック・オリジナルに『こだわりの店』という、“とっておきの店”を紹介する名物?コラムがあります。場所については「不親切ガイド」として、あえて最寄駅だけで、地図は勿論のこと時として店名も無く、「是非ご自分で(お腹をすかせて)お探しください」というスタンス。
 今回は、恐縮ながらそれと同様に私の「とっておきの店」を紹介させていただくと・・・、
   
 松本に“奇跡の店” とでも言うべき、創作料理のレストランがあります。
和風、フレンチ、イタリアン、エスニック・・・と色んな要素を取り入れた店(例えば、コースの締めは通常は日替わりパスタが入っていますが、なぜか手打ちうどんも裏メニューにあり、これがまた絶品!)。しかも、シェフは奥様で旦那様が店を切り盛りされていて、何とも(お二人の醸し出される)雰囲気のいいお店です。そしてお酒は、地元産を含め厳選されたワインと、そして選りすぐりの地酒もちゃんとおいてあります。
以前は東京で開業されていて、数年前に松本に移って来られたとかで、今でも時折東京時代の常連さんがわざわざ信州まで食べに来られるというのも「むべなるかな」と納得のレストラン。こんな店がこの信州松本の地にあること自体が、むしろ『小さな奇跡』のような気さえしてしまいます。

 私達夫婦もある方のご紹介で伺って以来、すっかりファンになり、結婚記念日などの特別な日は勿論、機会あると(鮨や蕎麦という指定・目的の時以外は)結局この店に行ってしまいます(未だ常連にはほど遠いのですが)。因みに東京から帰省してくる娘達も、外食する時にどこへ行きたいかと聞くと、最近はこの店の名前しか出て来なくなりました(学生である下の娘はともかく、就職した上の娘は、例えば蕎麦ならいざ知らず、創作料理では東京での選択肢には敵わないような気がしますが、ここ以外なら行かない!と)。
 もっと高級なお店(例えば以前、松本で評判の古民家を改装したフレンチと創作和風料理のお店に行って1万円のコース料理=最低8千円から=を食す機会がありました)も勿論松本にもありますが、コスト・パフォーマンス(こちらのコース料理は最低4千円から)も含め、他に行って(仮に倍以上のお金をかけて)も、ここ以上のワクワク感と言うか感動をすることがなくなりました。
例えば、オーダーした料理(コースの他に日替わりの一品料理もあります)を暫し待つ間、日替わりのお通し(+500円)が必ず出され、これがまた楽しみで、これまで一度として同じモノが出されたことがありません。ある時は「鮪の押寿司」?が出て、寿司メシの中に何とタクアン漬けの微塵切りが混ぜられていて、コリコリした食感にびっくり!また、今までのコースに入っていた中では、「殻付きカキの香草焼き」や「千代幻豚の炙り焼き」、「天然平目のカルパッチョ」、「ホタテのピカタ」も美味しかったなぁ・・・。 加えて、毎回異なる締めのパスタ。
 厳選された素材の良さに加えて、意外性というか、まさに創作という意味での「驚きと工夫」が、料理への愛情というスパイスを効かせながら、優しくそして丁寧に込められている気がします。

 ここは、ワイガヤの飲み会ではなく、是非気の合う方とじっくりと「料理+雰囲気」を味わうべき、そんな“至福の空間”です。

 そのお店は蔵造りが目印で、松本パルコの近く。パルコを背にしてお探しください。
ファンとしては、常に一杯で予約が取れないのも、また逆にガラガラなのも心配です。末永く且つ変わらずに、ここ松本の地でずっと続いて欲しい店・・・ということで、今回は“ビッコミ風”にてご容赦ください。
   
【補足】
第62話の『リストランテ・トレマーニ』の紹介で「松本で2番目」と書いたものですから、それを見た何人かの方から「じゃあ、一番目はどこナンダ?」と聞かれ、本当は「とっておき」は人に教えたくない(正に大事に「とって置く」べき)もの。ずっと掲載を控えていたのですが、止む無くこんな形で紹介させていただくことにしました。悪しからずご了承ください。
なお、どうしても店名・場所等をお知りになりたい方には、(ブログ上には掲載せず)個別にご案内させていただきますのでご連絡ください。

・・・ということで、以下の追記は、ほぼ一年に及んだ我が“躊躇逡巡の軌跡”・・・です。

*以下、ご興味のある方はお付き合いください。
【追記】 *昨年12月記載
 もしデザートにリンゴが入っていたら・・・小玉で出荷できなかったのを、こちらにお願いして使っていただいた当園の「サンふじ」です。奥様の手にかかって嫁ぎ先でどんな風に変身しているか楽しみです。
【追記 その2】 *4月
 先日、久し振りに伺ってきました。帰省してきた(ここへ行くのが目的だけのような僅か2日間だけのご帰還)下の娘のご指名でした。
 生桜海老や、ハマグリ、旬の野菜などの食材を使った、すっかり春らしいメニューになっていて存分に堪能(今回は遅かったので、コースではなく一品料理をオーダー)して帰って来ました。締めの手打ちうどん(今回は、桜海老のかき揚に大根おろしのぶっかけうどん)も相変わらずの逸品。
 最後に、我家のリンゴを使っていただいたジャムやチャツネまでお土産にいただいて、恐縮してしまいました。当園のリンゴは甘味と酸味のバランスがとてもいいと誉めていただきました。今回は、料理に使っていただいたり、常連のお客様に配られたりして、最後に私達用にと、ずっととっておいてくださったのだそうで、秋にまたリンゴをお裾分けとしてお持ちすることを約束して、有難く頂戴してきました。
【追記 その3】 *5月
 我が町内の氏神様のお祭りはなぜか5月5日(通常田舎では豊作御礼の秋祭りの方が多いと思いますが)。そこで、お祭りの客呼びの料理に花を添えるべく(?と言うより主役でした)、無理をお願いしてオードブルを何品か創っていただいたところ大好評でした。ドレッシングまで自家製で作って瓶で持たせていただき、娘達曰く「こりゃ、ドレッシングだけでも売れるワ!」
 料理が多すぎて、家から事前に持ち込んだ大皿二枚(それを見てお皿に合う料理を考えますからと)には載せきれず、貸せていただいた食器をお返しがてら、(あまり長くお借りしている訳にもいかないからと、不在の娘達への言い訳も考えて)また伺ってしまいました(鼻が利くのか、下の娘から食事中に家内宛に「今どこ?」と別件での電話あり)。水曜日でしたがほぼ満席状態。繁盛で何よりです。
 この日のお通しは春巻き。そして、スズキの和風カルパッチョ、アスパラガスのソテーのウニソースがけ、つぼ焼きサザエのブルゴーニュ風(二人とも必ずしも好物ではないのに、これはスープまで綺麗に完食しました)などなど・・・(締めは珍しくパスタではなく蟹炒飯でした)。しかし、毎回良くこうメニューが変わるものだと感心します。そして、何よりもソースが絶妙。素材の調理そのものが仮にシンプルでも(当然のことながら)「このソースは真似できないよね!」と家内と二人で唸りぱなしでした。
今回も身も心も満腹にて「ご馳走さまでした!」。
そして、帰る道すがら二人の独り(?)言・・・「やっぱ、松本で一番だワ!」
【追記 その4】 *8月
 お盆に帰省してきた次女のリクエスト(今回も「ここしか行かない!」)に応えて伺いました。それまで、何度か行こうと思ったのですが、貸切や満席で入れず、ホント久し振りです。
この日は、仕事の関係で少し遅めのスタートとなったため、アラカルトメニューからのチョイスと相成りました(個人的には、コースの方が満足感を含めてお徳だと思いますが、家内がダイエット!と連呼していることもあって止む無く)。
お通しの子羊のテリーヌ(カレーパウダーの隠し味が効いています)に始まり、
 その日の日替わりメニューから選んだ、ホタテとズッキーニの湯葉包み焼きのバジルソース、揚げナスと海老シンジョのあんかけ、カニとアボガドの生春巻きのアボガドソースなどなど。締めに極細麺の冷製パスタと海鮮あんかけヤキソバ。
相変わらずさすがの美味しさでした。今回もソースが凝っていて、自家製パン(今回はソースが「決め手」なのか、いつもはパンのサーブはありません)を幾つも(私だけはお替わりで)頂いてパンに付け、ソースもキレイに頂いてしまいました。
皆、満足+満腹です。(ここは信州流に)「いただきました! 」
「あれ?ダイエットって、しっかり食べたじゃん!」
「だっからぁ、デザートは頼まなかったじゃない!」はぁ、ナルホド・・・?
【追記 その5】 *9月
 9月の5連休、その間、長女が急なご帰還。で、案の定彼女も「行きたい!」と相成りました。
しかも前日夕方、次女の所に上京していた家内と一緒に戻って来て、翌日夜には帰京という慌しさ。20時の最終のあずさで帰京するという彼女のために(ゆっくりコース料理を楽しめるようにと)30分も早くお店を開けていただきました(こういう気配りが味だけではなく1st Bestの理由なんです)。お礼に巨峰をお持ちしましたが、昨秋のサンふじ同様、奥様の手でどんなデザートに変身するか楽しみです。
 さて、この日のコースは、タコと三色豆のピリ辛サラダのお通しに始まり、海の幸とアボガドのテリーヌ、御馴染み千代幻豚のメンチカツ、秋らしく栗カボチャと秋鮭のグラタン、白馬(村のブランド豚?)雅(みやび)豚のプルーンソースのソテー、締めはバジルのリゾット。デザートにアカシヤのハチミツのアイスクリームとカットフルーツが載ったココナッツのプリン。
 今回は、やや欧風スタイルの料理が多く、女性陣には少々重たかったようです(でもしっかりデザートまで頂いて、翌日の朝食を抜くのだとか)。
 前日、家内達は電車に乗る前に、新宿駅近くのデパート内の某レストランで昼食を取ったようで、その時にも出されたというテリーヌと比較し「テリーヌはこうでなくっちゃね!」とどう反応していいか判らぬコメント。「はぁ、左様で・・・。」
メンチカツは肉汁が溢れ出すほどジューシー。個人的にはグラタンが美味しかったなぁ。確かに男性も満腹でした。
 このお店をご紹介していただいた、ここの常連でもある家内の知合いのご夫妻も偶然後から来られてご挨拶。本日も予約だけで満席とのことで、何組も残念そうに諦めて帰られました。
【追記 その6・・・些か長文になったのでこれにて終了します】 *10月
 10月中旬、中生種リンゴとブドウ(巨峰)の出荷・発送作業を全て終了したので、本当はその三連休の最終日に行こうと思ったのですが生憎お休みらしく、その後平日に慰労会として伺いました。
 この日は、初めて念願の(以前、私が家内に「常連になって、いつかカウンターに座るのが夢!」と言ったのが、ここを紹介いただいた、家内の知己の常連のご夫妻を通じて冗談交じりに伝わっていて、「どうぞ!」とのことで)カウンターに座らせていただきました。「やったネ!」(我ながら単純ですが)
アラカルトで、いつも通りの美味しい料理(この日は、定番の炙り千代幻豚サラダ、二種類のソースの牡蠣フライ、絶品の里芋と海老のクリーム煮ともう一品。締めに手打ちうどんとどちらにしようか悩んだ末に、魚介類とバジルのパスタと、更に家内はデザートにイチジクのパウンドケーキをご注文)をいただきながら、準備作業の合間にカウンター越しにお二人と談笑。
 お二人は、奥様が地元松本のご出身で、旦那様は北関東とか。東京で知り合い、奥様ご自身はそのまま東京でシェフを続けたかったそうですが、何度か奥様のご実家に来られて山に魅せられていた旦那様が「松本でやるんだったら手伝ってもいいよ!」と帰郷されたのだとか。
女性陣には呆れられながらも、男二人は信州松本からの山の素晴らしさに意気投合し、大いに盛り上がったのでありました。
 そんな旦那さまのお陰で、この“小さな奇跡”のようなレストランがこの街に存在していることに感謝し、この松本でいつまでも続いてくれることを願って、これからもずっと応援していきたいと思います。