カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 東京ドームでの試合終了後、ダッグアウトからロッカールームに引き上げる選手たちを決まって労うスーツ姿が見られます。清武英俊読売巨人軍球団代表。読売新聞の元敏腕記者。昨シーズンからの山口投手に始まり、今年は松本外野手、オビスポ投手など「育成」出身選手の活躍で、その仕組みを導入した張本人として脚光を浴びています。
 その清武代表が、元新聞記者らしく週刊ベースボールに隔週でコラムを執筆していて、立読み(スイマセン!)を別とすればドラフト特集号くらいしか購入しませんが(注記)、時々そのコラム『野球は幸せか』を読んで元新聞記者ならではの筆力と共に感じるところ大なのです(過去掲載分をまとめて『巨人軍は非情か』というタイトルで出版もされているとのこと)。新聞社での元運動部長という経歴もあるのかもしれませんが、野球人ではなくとも野球に対する「冷静な」愛情が感じられる文章です。

 最近のコラムで、球団の編成調査室の内容が紹介されていました。調査室のスタッフは、言わばヘッドハンターとして、各球団のファームを巡回して、才能がありながら埋もれている選手を発掘しトレードで自チームに連れてくることが目的で、そしてそれ以上に他球団であっても若手選手の成長ぶりにも暖かな愛情が注がれています。
コラムで、先ず広島カープのファーム選手達の礼儀正しさに触れながら、スタッフ・レポートを紹介した中で、他球団のA選手に対し『本来なら中心選手として若手の手本になっていなければいけませんが、ビックリしたのは“金髪のモヒカン”スタイルです。プレー内容は良くなって一軍に上がるのは時間の問題でしょうが、他球団ながら情けない思いです。』
 一方、西武の06年度ドラフト1位木村投手(埼玉栄高)のことが実名入りで紹介されていました。
『3年目の彼はここまで(注:8月9日現在)全て先発で1勝10敗。防御率6点台。球威は素晴らしく、制球はない。しかし、何と言っても期待できるのが、決してストライクを取りにいかないところです。それが良いのです。因みにこの日のMAXは149キロ。若き日の村田兆治を見る思いです。この手の選手は、他の選手以上の我慢が必要なのです。我慢して使っている球団の育成方法は間違っていません。数年先には出てくることでしょう。』(レポートは調査室スタッフで元ロッテのエースでありロッテの二軍監督も務めた木樽正明氏)。これを読んだ本人はさぞかし励みになることでしょう。自球団ならともかく、他球団の代表から紹介されて・・・。
 さて、コラムの締めは『今年のドラフトは終わった。興奮が過ぎ去り、ルーキーたちが期待の重さに耐えかねるころ、バックネット裏から見守る、優しきヘッドハンターたちがいる。』
【注記】
どの球団であっても、即戦力で最初から活躍が約束された選手より、ドラフト下位指名であっても、長年のファーム暮らしの中で耐え力をつけて一軍に上がって来る選手達に感動し、20数年間のドラフト特集号の週刊ベースボールを、何でも捨ててしまう奥様には邪険にされながらも全て大切にとってあります。そして、苦節何年、一軍昇格を果たし活躍を目にした後で、入団当時のドラフト記事を探して、当時の評価と比べ「良く頑張ったなぁ・・・」と、一人「ほくそえむ」のがひそかな楽しみです。