カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 三連休となった秋のお彼岸の最終日。

 お得意様からご注文いただいた贈答用と親戚への巨峰の出荷発送が、先週と今週で何とか全て終了したので、結果一日だけお休みが取れました。
当初は、会社OBの先輩が所属されている男声合唱団の演奏会が岡谷であり、先輩からチケットをいただいてあったのですが、出荷作業が終わらない可能性もあったので、無駄にしないように男声合唱をやっている義弟に事前にチケットを渡してありました。

 そこで予定が空いたので、伝票発行など手伝ってくれた奥様への慰労も兼ねて、遠出は無理ですが、近間に “プチ旅行”に急遽出掛けることにしました。

 まだ新蕎麦の時期には少し早いだろうことから、思案の結果の行き先は、長野の善光寺とお目当ての長野県信濃美術館。ちょうど、没後100年を記念して『菱田春草展』が10月中旬まで開かれています。
そこで、先ずは善光寺にお参りして、隣接する美術館を見て、出来れば久し振りに蕎麦ならぬ『ふくや』のラーメンを食べて、というコース。
しかも今回は、家内を説得して、少しは旅行気分が出るように車ではなく電車(車中でビール飲まなくっちゃ!)で行くことにしました。
松本からは、特急しなので長野まで。往復の乗車券と4枚セットの信州特急回数券を買えばかなりお得(往復二人分で9040円が4860円)です。
篠ノ井線は、途中スイッチバック(普通列車のみ停車)の姨捨駅周辺(姨捨山伝説と“田毎の月”で有名です)からの刈り入れの進む棚田越しに眼下に千曲川を望む景色は、「日本3大車窓」(個人的には、残雪の八ヶ岳と南アルプスを背景に春の桃源郷を走る中央東線の方がお薦め)に選ばれています。

 JR長野駅で長野電鉄に乗り換えて、「善光寺下」駅から善光寺までは徒歩10分弱。ただ、参道ではないので全く風情は無く、歩くのを厭わない方は、長野駅から真っ直ぐに1.7㎞だそうですので、むしろ参道の中央通りを歩かれた(或いはバスで大門まで行かれて、仁王門から仲見世を山門まで歩かれた)方が、門前町として発展した『仏都長野』の雰囲気が楽しめると思います。

 仏教が幾つかの宗派に分かれる前、7世紀に創建されたという善光寺は無宗派で、また女人禁制のお寺でもなかった(大勧進と共に善光寺を支える大本願は尼寺です)ので、誰でもお参り出来た庶民のお寺。しかし、時の帝は、どうして都から遠く離れたこんな信濃の山の中に、6世紀に百済から献呈された大切な仏さま(現存する日本最古の仏像と言われる、絶対秘仏の阿弥陀三尊像)を安置されたのでしょうか。
“一度は参れ”と言いますが、この日も秋のお彼岸のためか、仲見世から続く参道はビックリするほどの人の波。老若男女の皆さんが善光寺参りに来られていました。
お参りの前に、朝仕事を済ませて慌しく出て来て電車に飛び乗ったために朝食も食べておらず、仲見世通りの御茶屋さんに入って自家製の蒸しおやきと飲み物のセットで先ずは一息。「・・・さかたのおやきの方が美味しいね!」と奥様が小声で一言。
そして、手を清め、お線香の煙で体をお払いしてから、国宝の本堂へ。娘たちや家族全員(+チロルとナナも)の分もまとめてお参りをしました。触ると病気や痛みを身代わりになって和らげてくれるという「びんずる」さんにもお参りです。500円で戒壇巡りもできますが、昔何度か体験済みのため今回はパス。また重要文化財の山門も拝観料500円とのこと。うーん、信心もお金次第なのでしょうか?庶民のお寺さんにしては、何となく違和感を覚えます。
 美術展の内容は次回に回すとして、その後少々遅めの昼食に県町の『ふくや』へ。途中、大門通りのレストランの前で“有機野菜のランチバイキング”に足を止めた奥様を引っぱって「初志貫徹!」。
信州と言えば蕎麦ですが、本場戸隠まで行けばともかく、これまで長野駅周辺で5ヶ所ほど食べましたが、もう一度食べたいと思うような美味しかった店は一つも無く、松本に比べて蕎麦の水準は落ちると思います。しかし、ラーメンは松本よりも長野の方が断然上。そこで、今回もお目当ては久し振りの“夜泣きそば”の「ふくや」です。ここは駐車場が無く、「車で来られた方は妻科店に行ってください」との張り紙。県町店は電車で正解です。
 醤油系のラーメン以外、他につけ麺などの今風のメニューも無く、“夜泣きそば”一本で勝負する至ってシンプルな店。あとはトッピングの追加があるだけで、卵も煮卵ではなく単なるゆで卵です。店はおばちゃん一人のため、券売機があり、ラーメンも水も全てセルフサービス。注文は普通盛り(700円)と大盛り(850円)。
独特の真っ黒いスープで、初めて食べる家内の反応が心配でしたが、ハルピンよりは美味しい(好み)とのことに、先ずは一安心。値段は、以前来た時よりも50円値上げされていました。
スープは、見た目ほど味は濃くは無く、煮込んだ野菜のエキスか、むしろ甘め(家内は砂糖甘いとか)。じっくりと煮込んだチャーシューが美味。ただ、家内は諏訪の『麺や さくら』のあっさりスープの方が好みだそうです。うーん、「さくら」もイイけど、個人的にはこの「ふくや」の醤油ラーメンがイチオシなんですけどね。私メは、大盛りをスープまでしっかりと完食。2年振りくらいでしょうか、満足して松本へ戻るために駅へ向かいました。
【追記】
昔長野に赴任されていたことがある元ボス(時々このブログをご覧頂いており、チェックが入ります)から、「長野の方が松本より蕎麦は旨いと思うが・・・」とお叱りをいただきました。大変失礼しました(でも、駅周辺には無かったのですが・・・。じゃあ今度、松本のお蕎麦もお連れします!)。
そこで教えていただいたのは、長野市は権堂にある『二本松』というお蕎麦屋さん。戸隠系のお蕎麦だそうですが、今度また長野に行く機会があれば、是非権堂まで足を延ばしてみたいと思います。長野での楽しみができました。ありがとうございました。