カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 先日、家から車で5分ほどのいつものお寿司屋さん『王滝』総本店へ。
成田表参道のお寿司屋さん『江戸ッ子寿司』(第478話)に伺って、その鮮度と値段に感動し、以来他で寿司を食べる気がしなくなり、少し足が遠のいてしまいました。
でも、成田には当分行けそうも無いので、たまたま割引期間中でもあり、久し振りに行ってみることに。ここは、魚が幾つかの漁港から直送されて来るので、松本にしてはネタが新鮮です。また卵焼きはナカナカの逸品です。
花金の8時過ぎでしたが思いの外すいていて、待つことなくカウンターへ。
      
 ふわっと握ってくれるからと、家内のお気に入りの板さんとは今回は残念ながら別の方でしたが、カウンターでのその板さんとのやり取り。

 ツマミやお寿司を食べながら、生ビールの後に、いつもは常備の大雪渓か、天狗舞か、黒龍辺りの純米酒を頼むのですが(リストには、他に久保田も百寿から万寿まで)、今回オーダーしたのは、震災もあって特別に用意されたであろう被災地宮城県石巻は『墨廼江』の特別純米。
チビリチビリと味わいながら飲んでいると、酒好きと思われたのでしょう。ご年配の板さんも日本酒が好きらしく、いきなり「先ずは黙って、この酒を飲んでみてください」と、カウンターの中からお猪口で一杯勧めてくださいました。

 飲むと、切れもありながら、ふくよかで旨みを感じます。
「ウン、美味しいですね!」
「今まで、私も色々な地酒を試してみましたが、これが一番旨いと思います。」
と言われて教えていただいたのは、讃岐うどんで有名な香川県の地酒で『凱陣』(がいじん)という銘柄とのこと。
不勉強ながら、四国では高知の司牡丹くらいしか知らず、初めて聞く銘柄でした。いやぁ、確かに旨いなぁ!

 その後、板さんと暫し地酒談義です。
私は、有名銘柄を別とすれば、県内の地酒くらいしか知りませんでしたが、板さんは地元の銘柄は勿論のこと全国の地酒のことも良くご存知でした。

 戦後の物資不足の名残である、醸造用アルコールを添加する醸造酒を、工業的に四季醸造で大量製造してきたナショナルブランドとは異なり、全国津々浦々、各地の水や土の違いなどの四季折々の自然が育んだ、例え小さな蔵でもまだまだ本当に美味しい地酒があるんですね。

 全国的には未だそれ程知られていない地方の銘酒。そんなお酒に出会うと、その酒を育んだ風土と、造った人たちの拘りと誇りを想い、お酒を通じて想像するこちらも何だか幸せな気分になります。「夏子の酒」的には“和醸良酒”でしたっけ・・・。

 素敵なお酒でした。教えていただいたばかりか、一杯試飲させてくださった板さんにも敬意を表し、『凱陣』に乾杯!