カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 このところ急に寒くなりました。昨日は松本で初霜が観測され、早朝ナナの散歩に行くと稲刈りの済んだ田んぼが白くなっていました。また、漸くの秋空で、久し振りに望めた北アルプスの山並みが見事でした。
“食欲の秋”と云いますが、サンマなどの秋の味覚は勿論、鍋物やおでんなど暖かい物が恋しくなります。暖か料理には、何といっても日本酒です(暑い夏も冷酒ですが・・・)。
 その日本酒。以前“dマガジン”で「サライ」の日本酒特集を読んでいて、思わず「我が意を得たり!」。
嘗て新潟の酒が席巻した“端麗辛口”が、数年前から“芳醇旨口”に変わって来たという主旨の記事でした。
そのキッカケが、山形の銘酒「十四代」だそうですので、日本酒愛飲家の間で話題になったのは既に10年以上前になりますでしょうか?所謂銘酒と云われる伝統の有名銘柄は勿論ですが、他にも青森の「田酒」など個性豊かなお酒がたくさんあります。また最近では、醸造する全てが大吟醸という、首相のお膝元山口の「獺祭」も異常な程の人気です。
個人的には、ベタベタ甘くなくスッキリした辛口のお酒が好きですが、ここ数年はずっと岡谷の地酒「高天」一辺倒です。残念ながら松本平では手に入らないので、奥さまが諏訪の実家に帰る度に、一升瓶で買って来てもらっています(未だ燗酒の美味さが分らないので、五合瓶2本に分けて冷蔵し冷酒で頂きます。唯一、吹雪の白川郷で寒さに震えて飛び込んだ休憩所で思わず注文した燗酒は本当に旨かった・・・!)。
「高天」の吟醸や大吟醸とかも試しました(以前、お義母さんが「いつもそんな安いお酒じゃなくて、たまには高いのにしなさい」と持たせてくれた由)が、さすがに吟醸はフルーティーですが甘味も出てくるので、個人的には専ら高天の純米酒です。一言で言えば、“芳醇旨口”+「辛口の切れ味」が高天純米の持つ特徴でしょうか(あくまで“美味しさ”は、それぞれの好みや嗜好で変わります)。

 高天になる前は、ずっと地元松本の地酒「大信州」の純米でした。これに更に何とも言えないふくよかな旨味を加え高めたのが高天だと、個人的に勝手に判断しています。大信州を飲んでいて初めて高天を口にした時、「あっ、これだ!」とすぐさま変更。以来、一切の浮気無く「高天」一筋です。

 日本酒は、酸味があった方が食事には合う(食中酒)と云われますが、個人的に昔ながらの酸味はあまり好きではない(特に燗酒では、酸がツンと鼻に付きます)ので、むしろ辛口でキレがありながら、まるで水のような端麗ではない旨味(旨口)がある酒の方が常々美味しいと感じていました。
そう言えば、嘗て「越乃寒梅」を筆頭に一躍有名となった新潟の端麗辛口のお酒の中に「水の如し」をウリにしているお酒がありましたが、“如し”ではなく全くの「水」でした。新潟でも、全国的に知られた「〆張鶴」や「八海山」など旨味のある美味しい銘酒もあると思いますが、一世を風靡した端麗辛口は個人的には全く好みではありませんでした。
そうした(辛口でも旨味のある)酒を“辛旨”と評した別の記事がありましたが、その通りだと思います。本醸造(醸造用アルコール添加)のお酒の方が辛口という人もおられますが、戦後の食糧難の時に生まれたという時代背景を含め、“混ぜ物”は個人的には好きではありません。やはり、お酒(ワインもビールも)は自然由来の素材のみの混ぜ物一切無しで、日本酒はその土地土地の天然水とお米だけ(+酵母菌)で造られるべきだと思っています。また、であるからこそ、酒は(ワインもリキュールも)その土地土地の個性そのものであり、地域の歴史的文化足りうるのだと勝手に信じています(と飲み始めれば、そんな講釈はどうでもイイのでしょうが・・・。自分に合うお酒を見つけましょ!っと。ま、先ずは一献!)